では収録内容の詳細を

PATH OF DESTRUCTION (UNCENSORED)     (165分収録)
@Chris Jericho vs. 2-Cold Scorpio vs.
 Pitbull #2 vs. Shane Douglas(96-7-13)
  本DVDのオープニングを飾るは、ECW−TV王座決定のための
 4コーナー・マッチ。
 何と冒頭から40分に渡るタフ・マッチが収録されており、生半可な
 姿勢ではこのDVDを鑑賞できませんでって、DVD編集者から挑戦
 を受けた気分になるでしょう。
 若きWWFウォッチャーさんにはECW時代のジェリコは新鮮やろし、
 マニアの方ならダグラスの名人芸を堪能するのも一興。
 またスコーピオやけど、こいつの芸風とブッカーTの芸風を見比べ
 ると、色々と詮索できそうで楽しいでっせ。
 またこの試合において、ピットブルズの飼い主であったフランシーンが
 『御本家』ダグラスのマネージャーへと寝返るんですが、このシーンは
 ホンマに見物ですワ。ここから長く、優秀なるプロレス頭を持ってECW
 を牛耳る事になる名コンビの歴史が始まるんや。
 ある意味、WWFにおけるオースチンの『3:16宣言』と同様の、団体に
 とってターニング・ポイントとなる瞬間を見事に収録してまっせ。
 とにかくECW=デスマッチとの観念を根本から覆してくれる事は請け
 合いの一戦ですワ。
  【追記】
  フィニッシュ・シーン寸前、ダブル・クロスをブチかましたフランシーン
 に対し、ピットブル1号(ゲイリー・ウルフ)も加わってテーブルへ向け
 てのスーパー・ボム(ピットブルズ必殺の合体技)が放たれ、これに怒
 ったダグラスがピットブル1号をTV王座のベルト目掛けてDDTで叩き
 付けるんですが、これがピットブル1号の首にマジで深刻なダメージ
 与えてしまいますんや。
 で、これを火種に、ダグラスもピットブル1号(及び2号)も当初は予定
 していなかったはず(多分)の過度な抗争アングルへと否応なしに巻
 き込まれて行くんです...。
  まずは次回8月3日の定期戦『The Doctor Is In』にてダグラスとピッ
 トブル2号との一騎討ちが組まれ、相方のピンチに首を大型の固定具
 でガッシリと固定したピットブル1号が思わずリング上へ。と、ダグラス
 が固定具を手で持ち、そのまま左右に振り回してピットブル1号を転倒
 させてしまいます。この怪我人に対する大暴挙で、一気にダグラスは
 極悪人のレッテルを貼られてしまい...。
 以下、詳細はまた別の機会にでもご紹介いたしますワ。
ARob Van Dam vs. Bam Bam Bigalow(98-4-4)
  これもTV王座戦。RVDの魅力が堪能できます。
BSabu vs. The Sandman(98-1-10)
  頭上に吊った有刺鉄線を梯子を使って奪い合う、その名も【地獄へ
 の階段】マッチ。多分ロック好きのポールEがレッド・ツェッペリンの不
 朽名曲である【天国への階段】からインスピレーションを受けてマッチ・
 メイクしたんでっしゃろな。
 冒頭の試合とは正反対の、デスマッチの真髄をどうぞって寸法か。
CIan Rotten vs. Axl Rotten(95-7-1)
  各々が割れたガラスをバンテージに付けて武装し、ただただ殴りあう
 【タイペイ・デスマッチ】。TVで以前世界の不思議な動物って感じの
 番組があって、甲羅がデコボコになった【タイペイ亀】ってのが紹介され
 ていたんやけど、両者の武装したコブシがこれにソックリな事から
 ネーミングされたんやと思います。
 しかしこれはECWのオリジナルなんやろか。結構米国では昔っから
 変なデスマッチがアチコチで催されていたって文献にあるから、
 マニア揃いのECWのこと、誰かがそれならウチで復刻させてみよや
 ないかって言い出したんかも知れへんけど。
 またイアンとアクセルの二人は、IWAにBAD BREEDなるチーム名
 を名乗って来日した事があり、三重県の伊賀上野大会において実物を
 観た事がありますワ。ターザン後藤にボコられて堂々とリング上で
 オデコを切って流血しておりました。
 当然この収録試合も、無闇な流血がタップリと収められてまっせ。
DJerry Lynn vs. Tajiri vs. Super Crazy(99-11-7)
  米国、日本、メキシコ、プロレスが盛んな三国から選抜された職人
 さんによる3WAYダンス。こんな試合をクリエイトしたくってポールEは
 ECWを作ったんやないんかなァ。
 また打てば響く観客連中が後押しするもんやから、自然と試合の
 グレードも高くなるし。とりあえずタジリのファンにはマスト・アイテム。
EDean Malenko vs. Eddy Guererro(95-8-26)
  これまた芸達者な二人による3本戦。二人がアナウンスされる
 前から、観客はスタンディング・オベーションで尊敬の意を表し、
 演者(←あえて、演者と書きます)も持てる芸を出し切って観客の
 敬意に応えていく。この様子はなかなか文字では伝えにくいので、
 なんとか一度鑑賞していただきたいですワ。
 1本づつ取り合った後の3本目のダブル・フォールなんて、名人芸
 以外のなにものでもありませんモン。
 プロレスって芸の、一つの完成品やと表したら誉め過ぎやろか。
 ※この試合ですが、ECWマットにて名勝負を何度となく繰り広げた
  両者からのECWファンへの『置き土産』。(多分)この夜を最後に
  両者は揃ってWCWへと移籍するんですワ。
FPsicosis vs. Rey Mysterio Jr.(95-9-16)
  本編最後を飾るはエキストリーム・ルチャ。これまた腕のたつ若手
 二人を連れてきて、さぁ皆さんルチャ・リブレをECW風に味付けして
 みました、どうぞご賞味下さいなって寸法やろね。
 口の肥えたECWの観客を手のひらに乗せ、自由に感情をコントロール
 する。バック・ステージでポールEはニタニタしてたんやろな。

以下はDVD特典映像です。
@WRESTLER INTERVIEWS
  過激発言満載(?)のECW名物マイク・アピール集。
 収録されているのはオースチン、タズ&アルフォンソ、スティービィ・
 リチャーズ、ピットブルズ&フランシーン、パブリック・エネミー、
 イルミネーターズの面々。注目はやはり長髪時代のガラガラ蛇か。
 流血ジョブ後のアルフォンソもグッド。
AWRESTLER BIOGRAPHIES
  主要選手の紹介(文字のみ)
 『EXTREME EVOLUTION』収録のものとは重複しません。

<総評> しっかりしたプロレス(曖昧な表現で申し訳ない)とデス
 マッチの双方を一度に堪能できる便利なDVD。
 プロレスってジャンルが好きなら、必ず満足される内容やと思います。
 各試合の項でも触れましたが、ワシはこれを鑑賞していると何時も
 プロレスってジャンルをクリエイトする楽しさを存分に味わっている
 ポールEを羨ましく思ってしまいますんや。多分金は儲からんし、
 色々と気苦労もあったやろけど、そんなこんなも自分が組んだ試合で
 熱狂する客を見ると吹っ飛んでしまうんやろね。
 【プロレスの魔力】って選手や観客以外に、プロデュースする者
 にも作用するんやって事が非常に良く理解できましたワ。

  私どものHPによく遊びに来ていただいている『USA−Pさん』から
 隠しトラックの情報をいただき、当方で検証してみました。
 隠しトラックの再生方法
 @MENU画面でSPECIAL FEATURESを選択する。
 ASPECIAL FEATURES画面でMEIN MENUへ戻るへ
  カーソルをあわせる。
 B←ボタンを押す。
  と、96年2月17日にECWアリーナにおいて開催されたECWの
 定期戦『CYBERSLAM』にて突如発生した故ブライアン・ビルマンに
 よる業界隠語連発のシュート演説が再生されます。
 このシュート演説、『CYBERSLAM’96』のレビューにて詳細は既に
 アップ済ですが、ECWの歴史上一二を争うこんな重要場面を隠しトラ
 ックとして収録するとは...。
 折角DVDを買っても気が付かないままの方も多数居るであろうに、
 ちょっと悪戯にしては度が過ぎますな。
 ま、こんな場で真剣に怒っても仕方ないのですが、裏を返せばそれ
 だけこのシュート演説が貴重やってことでご理解下さいな。
 もともとレベルの高い試合ばかり収録された本DVDですが、この隠し
 トラックの存在により、いよいよその値打ちは高まりましたデ。


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