では収録内容の詳細を

WRESTLEPALOOZA 1997 (約2時間9分収録)
 このDVDは97年6月7日に、ECWアリーナにて開催された定期戦
を収録したものですんや。当時のECWの状況はというと、97年4月
13日に場所も今回と同じECWアリーナにてECW初のPPV『BARE
LY LEGAL』を開催した直後であり、正に行け行け状態でしたな。
ただECWのPPV路線は軌道に乗り出して以降は2ケ月に1度のペ
ースで催されたんですが、この時期はまだ手探り状態でもあった訳
で、この定期戦は97年8月17日に予定されていた第2回PPV『HA
RDCORE HEAVEN’97』へのネタを振る場やと考えていただくと
良いかと。ま、WWFにおけるRAWやSDみたいなモンやね。
そやけどWWFにおいて、しばしばPPVよりも『ネタ振り』の場である
RAWやSDの方が面白かったりするように、この夜もただの『ネタ振
り』の定期戦として片付けられないものがあったのも確か。
さて今回のレビューは、ワシの相方である道頓堀太朗に登場を願い、
二人の与太話を収録するって寸法でやってみますワ。
よって以下は(太):道頓堀太朗の発言、(次):ワシの発言です。

@まずはリック・ルードの『前説』から...。
(太)なんやHPを立ち上げたそうやけど、そんな暇があるんやったら
  もうちょっと芸を磨いたらどないなんや。お前、舞台に気持ちが入
  っとらんのやないか。最近、師匠連中や先輩方の評判も悪いデ。
(次)固い事いうなや。それより貸してやったECWのDVD、どないや
  った。結構面白かったやろ。
(太)どないやった、良かったやろ、ってそこらの『やり手ババ』みたい
  な事を聞くな(笑)。ま、結構面白かったけどな。
(次)そやろ。で、今夜は酒のアテに、このDVDの収録内容を振り返
  ってみよかと思うんや。
(太)それやったら酒代はお前のオゴリや、ごちそうさん。
(次)相変わらずケチな奴(笑)。ま、それでもエエわ。まず最初はリン
  グ上に、リック・ルードが現れたって場面やったな。
(太)前回PPVにも重要な役割で絡んでいたんやけど、この夜の定
  期戦では見所を語る『前説』が役どころやったな。
AShane Douglas vs. Chris Chetti
(次)画面は変わってリング上にはダグラス塾長と、フランシーンちゃ
  んが登場。待ってましたと会場からは『淫売コール』や。
(太)何時もながら『濃い』客ばっかりやな、ECWアリーナは。それで
  ダグラスが“フライヤーズ”と書かれたTシャツに悪態を働くんやけ
  ど、地元フィラデルフィアの会場は何故か大ウケやったよな。
(次)バスケットやホッケーのチームで、フィラデルフィアのチームとは
  確執でもあるんやろな。ワシには訳の分からん場面やったワ。
(太)それよりお前も次の東京の舞台では、阪神のユニホームで尻で
  も拭いてみたらどないや。ちょっとはお客さんに受けると思うデ。
(次)アホらし。さて肝心の試合やけど、ECWのレスリング学校である
  『HOUSE OF HARDCORE』の第1期卒業生であり、師範代タ
  ズのいとこでもあるらしい“ルーキー”のチェッティとダグラス塾長の
  試合。ヒールの大看板とはいえ、塾長直々に相手を務めてくれる
  んやからチェッティも大船に乗ったつもりで試合がやれた事やろ。
(太)試合が間延びしそうになると、すかさずフランシーンが常連客の
  『麦わら帽』と『サングラス』の二人と揉め事を起こして会場を暖め
  よるしな(笑)。最後は塾長のベリー・トゥ・ベーリー一発でケリか。
BThe Pitbulls vs. The Full-Blooded Italians
(Tracey Smothers & Little Guido)
(次)お次は生粋イタリア人がギミックのFBIの登場。確か『フル・ブラ
  ッディド・イタリアンズ』の略やったな、このFBIって。
(太)細かい事まで覚えとんな(笑)。
(次)メンバーはグイドーと、W★ING来日時は『悪のジェイソン』として
  名を馳せたスマザーズ。しかもNWA王者の『野生の炎』トミー・リ
  ッチが後に控えとる。ホンマ、豪華な脇役ユニットや(笑)。
(太)相手のピットブルズも、1号のゲイリーが首の故障が癒えて
  正式な復帰戦のようで、これは美味しい組み合わせやった。
(次)ここはプロデューサーのポールEも、やはりピットブルズに花を持
  たせたかったんやろな。ピットブルズの看板技であるスーパー・パ
  ワーボム一発で、グイドーが沈みよった。
(太)大袈裟な名前の技やな。ただのコーナー最上段からの投げっ放
  しのパワーボムやんけ。それより折角『野生の炎』が来てくれてた
  んや、ちょっと場外戦で絡んでやったら思いっきり『流血』を披露
  してくれたやろに、実に残念無念やったワ。
CThe Dudleys Boyz vs. The Sandman & Balls Mahoney
to earn a World Tag Team Championship match
(次)さて毎度暑苦しい顔のジョエル・ガードナーがマイクを握ったら、
  ダッドリーズの登場や。どうやらこの試合、メインでのイルミネータ
  ーズ相手のタッグ王座挑戦権が懸っていたみたいやった。
(太)例によってガードナーの長い長いマイク・アピールの後は、メタリ
  カの『エンター・サンドマン』がガンガン流れ、サンドマンとマホーニ
  ーの登場。こっちも相変わらず入場シーンが長い...(笑)。
(次)1試合目のチェッティといい、このマホーニーといい、2ケ月前に
  開催された『BARELY LEGAL』には試合が組まれていなかった
  面々であり、ここら辺りは新しい路線へ舵をきったECWって感じ
  が観ているこちらにも伝わってくるワ。これもポールEの策やな。
(太)少々乱暴に扱っても壊れませんってマホーニーを、本格的に売
  り出すための試合って感じやろか。けど、そう考えればダッドリー
  ズやサンドマンが参加しとるのに、いまいち消化不良気味の試合
  であったのは納得がいかん。徹底的にマホーニーを潰さんとな。
DECW World Championship
Terry Funk vs. Chris Candido
(次)お次は何やら深刻な顔のスティーヴィ君が私服でリング・イン。
(太)どうせ最後は大ボケ連発になるんやろって観ていたんやけど、
  今夜はちょっと感じが違った。どうも故障により二度とレスリングが
  出来なくなったと悟ったスティーヴィ君が、ECWアリーナの常連客
  にお別れを告げに現れたって様子やったな。
(次)ECW王座に就いたテリー御大に、一度は貴方のベルトに挑戦
  したかったって告げてリングを降りよった。ま、この後WCWへ転
  出し、WCW崩壊後はWWFに移って元気に試合をやっとるから、
  最終的にはスティーヴィ君の取り越し苦労やったとなるんやけど、
  それもこれもあくまで今やから言える結果論やからな。
(太)ワシもこれは、アングルやギミックではないと思うワ。
(次)さて『BARELY LEGAL』にて齢53才にてECW王者となった
  テリー師匠。今夜は不肖の弟子であるキャンディード君相手の防
  衛戦か。キャンディード君もテリーとお揃いのタイツ着用やデ。
(太)不肖の弟子か上手いこと言うな。けどテリーの不肖の弟子って
  業界に何人居てるんやろ。アイツにアイツにアイツに.......。
(次)だいたいテリー自身、シニアの不肖の子やからなァ(笑)。
(太)試合は御大の何時もの錯乱ファイトも影をひそめた、実に物静
  かなモンやった。まるでスティーヴィ君への鎮魂歌みたいな。
(次)逆さ押さえ込みなんて地味な技がフィニッシュやったもんな。
【追記】
  スティーヴィ君のこの夜の不可思議な態度について、ECWの内
 幕を綴ったDVD『Rise + Fall』にヒントとなるコメントがありました。
 それによると97年5月17日の定期戦『The Buffalo Invasion '97』
 においてテリー・ファンク、サンドマン、レイヴェンと4WAY戦を行っ
 たスティーヴィ君。6月(多分、この興行やろね)にはテリーの保持
 する世界王座に挑戦も内定していたらしいのですが、先の試合の
 最中にテリーの投げた場外鉄柵によって首を負傷。ポール・Eとの
 折り合いも悪かったらしく7月にはWCWへ転出してしまいます。
 そんな内幕を知ると、ここでのスティーヴィ君の態度も、テリー御大
 の態度もなるほどな、なんて頷けるんやないでっしゃろか。
 (道頓堀次郎)
EThe Final Confrontation - Loser Leaves Town
Tommy Dreamer (w/Beulah) vs. Raven (w/Chastity & Lupas)
(太)この試合、背景は結構複雑やな。
(次)スティーヴィ君の親分格であり、ドリーマーとはずっと抗争を続け
  ていたレイヴェンの、多分ECWアリーナでの最後の試合やったん
  やろな。それが証拠にレイヴェンがリングに登場するなり客席から
  は『お前なんか叩き売りじゃ!』コールの大合唱。WCWへの転出
  をお客さんは皆、知っていたんやろな。
(太)ECWって、筋を通してメジャーへ出て行く者には寛容やんか。
  カクタスや2コールド、この後にWWFに転出するタズやダッドリー
  ズと、アリーナの客全員に事実をちゃんと伝えて、団体とファンが
  一体となって送り出すって場面を何度も見た。それらと比べると、
  今回のレイヴェンの場合は、少々雰囲気が違うデ。
(次)ウーン、確かに円満退社やないかもな。それでもレイヴェンかっ
  てプロらしく『次のネタへの礎』って役をまっとうしよった。
(太)レイヴェンの手助けにと乱入したスピコーリをやりすごしたドリー
  マーが、三田のえっちゃんの看板技であるデス・バレーから、正に
  レイヴェンへの惜別の句であろう『ECファッキンW!』の絶叫付き
  のDDTでクリーン・フォール。
(次)本来ならここで感動の送別会となるんやけど、今回は会場が
  暗転してRVD、サブゥが次々とリング・インし、ドリーマーを集中攻
  撃。これをじっと眺めていたレイヴェンは、『後はお前らで切り盛り
  して行きや』とでも言いだけに、静かにリングから降りよった。
  新シリーズに俺は加わらんけど、今のシリーズの最終回であり、新
  シリーズへの橋渡しとなる場面だけはキッチリと務めるでってレイ
  ヴェンのプロ根性やろな。それとも感傷的な送別会など御免や、ワ
  シにはワシの美意識ってモンがあるってレイヴェンの意地かも。
(太)どっちにしても、レイヴェンらしく、ECWらしい場面ではあったな。
(次)一応付け加えておくけど、WCWへ栄転したものの、レイヴェンは
  あんまりパッとせずに約2年程でECWに出戻ってくる。WWF栄転
  間近のダッドリーズにボコられるドリーマーを救いに登場するって
  アングルで、『ベスト・オブ・ダッドリーボーイズ』ってDVDで鑑賞
  可能でっせ。
(太)お前、一体誰に喋ってるんや。
(次)いや、ホームページを読んでくれてはる皆さんに...。
(太)フーン。どうでもエエけど、お前大丈夫か?
FJerry Lawler, Rob Van Dam, and Sabu Invade the ECW Arena
(次)レイヴェンの退団って重大案件を、お前の言葉を借りるならレイ
  ヴェンのプロ根性、または美意識で乗りきったECW。しかもプロデ
  ューサーのポールEは完全に客の目をレイヴェンから新シリーズ
  へ向けるため、ここで用意周到にとどめの一撃を放ちよった。
(太)なんと3度目の場内暗転の後に、ジェリー“ザ・キング”ローラー
  がリングに立ってたんや。そら観客もレイヴェンのことなんて忘れ
  てしまいよるわな。
(次)ホンマ、ポールEの辣腕振りが伺える瞬間やったワ。ただし情
  報通の客が集まるECWやさかい、客席にはキングのトレード・
  マークである王冠を被った奴がちらほらと居った。ホンマ、こいつ
  ら何処で情報を得よるんやろな。
(太)けど、この頃やなかったか。ECWとWWFが特殊な提携関係に
  あったのは。ちょっと資料を調べたけど、この興行の約1ヵ月前に
  RAWにRVDが出場しとるんや。キングがわざわざ露払いを務め
  てやり、ハーディーズの弟の方から勝利しとったワ。
  そやから両団体を平行して眺めているマニア連中にとっては特段
  驚くような内容でもなかったんやないやろか。とにかくや、キングは
  サブゥやRVDらと結託し、ドリーマーをボコボコに。それどころか、
  これはアカンと助太刀に現れたサンドマンやギャングスターズの面
  々、その他の若手勢らを全員ぶっ潰してしまいよった。
(次)次回PPV『HARDCORE HEAVEN』に向け、最強のヒール軍
  が結成された瞬間や。キングも思わず『皆殺しや』って絶叫しとる。
(太)それにしてもめちゃくちゃな暴れっ振りやった。特にRVDの問答
  無用のヴァンダミネーターが火を吹き、ドリーマーとサンドマンは
  完全KO、ムスタファは自力で立てず、ニュージャック親分に至って
  はリング下で掛け値なしの血海に沈んでしもとったもんな。
GSabu vs. Taz
(次)誰がこの惨劇を止めるんやって思いが、満場のタズ・コールへと
  変わる中、タズのテーマがガンガン流れていよいよ主役の登場。
  解説席のダグラスを言い負かして、サブゥと対峙したんやったな。
(太)2ケ月前の『BARELY LEGAL』において『世紀の遺恨戦』を闘
  った二人。あの時は試合の最後でのタズのマネージャーであった
  アルフォンソの寝返りを含め、タズのベビー化とサブゥのヒール化
  が見事に演出されとったけれど、あの夜の後日談って試合かな。
(次)『世紀の遺恨戦』のリ・マッチにしては時間が短く思えたけど、さ
  すがにその分だけ密度は濃かったワ。
(太)タズの足首に正面からサブゥが放った低空のドロップ・キックな
  んて厳しい技や。
(次)それでも一つのミスさえ許さんのはECWアリーナの常連客。ロ
  ープ・ワークをミスったサブゥには『YOU FUCK UP!』やモン。
(太)リスクの高いムーブを披露するのが生きがいのサブゥやから、こ
  こら辺りは諸刃の剣なんやろな。さてこの試合、フィニッシュの付
  け方に注目や。、またまたマニアの皆さんなら歓喜の涙って場面
  が演出されとった。サブゥを片羽締めに完全に捉えたタズやったん
  やけど、サブゥが苦し紛れに体を起こしたモンやから、なんとサブゥ
  をチョーク・アウトしたままでフォールを取られてしまうんや。
(次)芸術的な幕引き、またもポールEにやられてしもたワ(笑)。
HECW World Television Championship
Shane Douglas vs. Taz
(太)思わぬ敗戦に怒り心頭のタズが、レフリーやアルフォンソをチョー
  ク・アウトした後は、改めて本部席のダグラスとの舌戦が開始。
  5分でタップ・アウトさせたるってタズが挑発すれば、ダグラスは
  それなら負けたらしばらく休場しろと逆要求。
(次)タズも、よし分かった負けたら60日間の休場やと、これを了承。
(太)60日後とは、次回PPV『HARDCORE HEAVEN』の直前。
  またまたイヤラシイことを言い出しよったなって思ったワ(笑)。
(次)次のPPVへの、あからさまな『ネタ振り』やモンな(笑)。
(太)けどタズは更に己に試練を課し、3分以内で決着やと挑発。
(次)ここにダグラス塾長の保持するTV王座と、タズの60日間欠場
  懸けた一戦の火蓋が切って落とされました、と。
(太)試合自体はいたってシンプル。タズの片羽締めを塾長が3分間
  凌げるかどうかって内容で、ベビー側の大黒柱となったタズが、
  リミットのギリギリでダグラスからタップとベルトを奪うんや。
(次)これまた短い時間やけど、見所の多い試合やったな。
IECW World Tag Team Championship
The Eliminators vs. The Dudley Boyz
(太)サンドマン&マホーニーを下し、イリミネーターズの保持するタッ
  グ王座挑戦権を勝ち得たダッドリーズ。そやけどダッドリーズの挑
  発に乗って現れたイリミネーターズの片割れであるサタンは、左
  足にギプスを装着し、松葉杖をついていた。多分、『BARELY LE
  GAL』以降のドサ回りで怪我をしたんやろな。
(次)リング上で事情説明をしとるのは、ECWのコミッショナーである
  タッド・ゴードン氏でっせ。
(太)またか。お前、ホンマに誰と喋っとるんや。
(次)そやからホーム・ページのお客さんに...。
(太)そうか。そんで、サタンに試合をやれるんかって心配したんやけ
  ど、ゴードン氏の「ベルを鳴らせ、試合開始やっ!」て一言で事実
  上のハンディ戦は開始。サタンの負傷がアングルでない証拠に、
  ほとんど試合はクローナスが一人で受け持ちよった。
(次)もともとイりミネーターズが保持しとるタッグ王座は、『BARELY
  LEGAL』においてダッドリーズから奪ったタイトルで、ダッドリーズ
  もベルト奪回のチャンスやったんやけど、やはりこんな試合の構図
  になってしもては挑戦者側のダッドリーズに分が悪いな。
(太)それに負傷中のサタンも体を張っていたモン。ギプスをはめた足
  に負担の掛らん掟破りのババ・カッターはまだしも、コーナー最上
  段からのエルボー・ドロップなんてホンマに命懸けやデ。
(次)それと、受けに回ったダッドリーズの上手さも注目して欲しいな。
(太)で、やっぱりベルトはイリミネーターズに戻り、良かった良かった
  て寸法で大団円や。さ、そろそろ今晩の呑み会もお開きやな。
  約束や、勘定はよろしく頼むデ。
(次)はいはい、分かりました。オーイ、オバちゃん、お勘定して。
  ※平成14年9月16日(月)、大阪梅田の居酒屋『大関屋』にて


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