では収録内容の詳細を

ACW : WRESTLING’S WILDEST MATCHS !
(約1時間9分収録)
 このDVD、内容はACW(ALL−STAR CHAMPIONSHIP 
WRESTLING)なる独立団体の興行を収録したものですんや。
ただ独立団体とはいうものの、どうやらACWは主催者である"Fabul
ous Freddie Valentine"氏が本人の表現欲求のままに好き放題に
試合をするためだけの舞台のようで、当然そこにはプッシュして行く
べき新人や、カード編成にいちいち顔色をうかがう必要のあるカサ
高い大物選手なんて居ないみたい。多分Valentine氏自身、これで
生計を立てている訳でもないやろし、例えは悪いけど個人の趣味の
発表会の場って雰囲気かな。さて、DVDの購入元である米国アマ
ゾンには、ワシより先にこれを鑑賞した方(当然アメリカ人やろな)が、
『最悪のDVD』と怒りの投稿をされてましたが、自称『汚れファン』の
ワシとしては、こんな投稿さえいとおしく思えてしまうんやから始末が
悪い(笑)。では皆さんもワシとご一緒に、Valentine氏の『個展』へと
出向いてみまへんか...。
@Valentine vs Mando Guerrero
Barbwire Ring Match(2000-6-2)
◆モニター画面にはいきなりDDTの常打ち小屋である渋谷のCL
UB ATOM風の会場が映され、これから展開されるであろう
シークレット・ギグへの期待を必要以上に煽りよります。ちなみに
観衆は実数で139人ってとこやろか(苦笑)。
場内を程よく埋めた『個展』への有志の見学者も揃ったところで、
デスマッチの定番アイテムであるネル・シャツを着込んだ男と、ち
ょっと頭頂部が怪しくなって来た男がリング・イン。
ちなみにこの時点で、どちらがバレンタインでどちらがゲレロなの
かは不明ですワ。そんな中、試合は開始されよりました。まずは
有刺鉄線マッチにて皆さんのご機嫌伺いって寸法みたい。
しかし試合を行なう二人も、早く血を見たいってワシのゲスな下心
を見透かしよったのか、基本的プロレス・ムーブを展開して、なか
なか有刺鉄線を活用した攻撃に移行しよりまへんのや。
ウーン、なかなか芸心のあるヤツらやなって感心させられました
が、中盤になってやっと有刺鉄線攻撃へ。よっしゃ、ここからが
本番やと画面に注目すると、突然誰かがリングにタオルを投入
おいおい、もうドクター・ストップかいなと激怒しそうになったんやけ
ど、何とこのタオルは試合の中止を求めるためのものではなく、ど
うも大流血に至った二人がリングを無闇に汚さぬようにって心遣い
から投げ込まれたもののよう。これ以降は、各自が一本のタオル
で交互に額の血を拭きながらの試合となりました(苦笑)。
尚、この試合、リング下から運び込まれた有刺鉄線ボードが有効
利用され、ネル・シャツ男が勝利を収めとります。
また終盤には見え見えのレフリー誤爆スポットも挿入されており、
ワシらスキモノのハートをガッチリと鷲掴みしよりまっせ。
蛇足やけど、この試合を最後まで見終わっても、どちらの男がバ
レンタインで、どちらの男がゲレロなのか、少なくともワシには分か
りまへんでしたワ(苦笑)。
AValentine vs Crayz
Japanese Suicide Match(2000-7-28)
◆四つのコーナーそれぞれに、灯りのついた蛍光灯をセットした有
刺鉄線ボードがセットされ、本日の舞台装置は整った模様。
先の試合と同じ柄のネル・シャツを着た男が登場したことから、こ
のネル・シャツ男こそがバレンタインやとやっと判明しました。
相手を務めるは、アナウンスによるとACWヘビー級の王者である
らしいクレイズ。ジャケット写真に大きく載っとる男ですワ。
そうか、バレンタインは自身の『個展』の集大成であるこのDVD
に、あえて自身の写真は使用せず、ライバルと思われる男の写真
を使ったんやね。なかなか心根の優しい男やおまへんか(涙)。
それにしてもACWのチャンピオンって、ちょっと聞いただけでは
ECWのチャンピオンにしか聞こえんデ。当夜の客(推定121人)
のなかには、あのECWの王者が来たと思っている幸せな人も
居てたんやろなァ(苦笑)。
さて肝心の試合の方やけど、バレンタインがロープに足を掛けて
いたのを見逃したレフリーのおかげで、クレイズが疑惑の王座防
衛を果たしとりますワ(またまた苦笑)。
また見所のトラップ被弾については、各々が一回づつ受けており、
この手の試合では鉄則のはずの『仕掛けられたトラップは全て踏
み抜く事』には背いた形に。それでも蛍光灯が破裂する瞬間、タ
イミンよく花火が発火するよって、見ていて非常に綺麗でしたワ。
BValentine vs Cincinati Red
Barbwire Exploding Tables Match(2000-11-17)
◆クレイズや御大テリーと共にジャケット写真を彩っている扇情的
なおねェさんはMiss Kimberly Rayとおっしゃるそうで、バレンタイン
のマネージャーさんみたい。先のニ試合では黒髪でしたが、この
試合からはジャケットにあるように金髪へとイメ・チェンしとります。
で、画面の中ではテーブルの上に有刺鉄線ボードを置き、その中
に火薬を仕込んだトラップが2個配置されて今夜の試合へと突入。
バレンタインの相手となるシンシナティ・レッドは太ったヘビ・メタ
野郎って感じの男で、実際コンサート会場ではよく見掛けるタイプ
(そして例外なく体臭がキツいんですワ、困った事にこれが)や。
試合はバレンタインがレフリーに一撃を食らわせ、ダウンしたレフ
リーからブラスナックルを取り上げてレッドを攻撃するも、レフリー
が失神したままではフォールは成らず。どないオチを付けるんや、
この混戦に、と心配してしもたんやけど、どこからともなSMプレ
イに用いるラバー・マスクを被った怪しさ満点の別のレフリーが
介入し、こいつの暗躍によってレッドが勝利の美酒に酔いました。
尚、この試合の途中で気付いたんやけど、トラップを踏み抜く瞬間
や相手のパンチを受ける瞬間に『効果音』がアフレコれており、
嫌でも見ているこちらの気持ちを高揚させよります(苦笑)。
あ、そうそう、今回はトラップは2個とも完全制覇されとりまっせ。
CValentine vs Shane 54
Electrified Fence Match(2000-11-17)
◆画面に挿入される日付によると先の試合と同日の収録のよう。
使用される会場がずっと一緒やから、場内の雰囲気からはこれが
記入ミスなのかは判断できまへん。しかし同日収録なら、バレン
タインは体が壊れるのやないやろか。先の爆破系マッチに続き、
なんと今度は金網に高圧電気を流した危険極まりない試合形式
でっせ。ホンマ、コイツはとことん命知らずな男やなァ。
尚、この試合の対戦相手はシェイン54ってヤツで、例えるならコ
ンビニの前で座り込んでだらだらと過ごしてるアンチャンて感じ。
さてデスマッチの元祖である大仁田は事あるごとに、『痛みを伝え
る事の難しさ』を説いてましたが、電気という目に見えないものを
使用する今回の試合を行なうにあたって、バレンタインもこの点
には苦心した模様。いくら高圧電気を流した金網に触れてみて
も、見ているこちらには痛いのかどうかなんて全然伝わって来な
いんやモン。そやからここでも『効果音』が大活躍。二人が金網
に触れる度にビリビリッ、ビリビリッっていかにも痛そうな音がす
るんやさかいに、あの金網にはホンマは電気が流れていないな
んて疑うアホはもうどこにも居ないはず(大丈夫か、ワシ?)。
こんな過激な試合、もう勝者も敗者もあったモンやないんやけど、
結果だけは記しておまきす。バレンタインの激勝でした。
それと高圧金網ばかり着目しましたが、金網に設置した爆破物の
破裂や、シェインの火炎攻撃にバレンタインの左腕が炎すると
いったなんともショッキングな場面も収められておりましたデ。
しかも火炎攻撃の際は、会場の照明まで落としてしまう念の入れ
ようで、ここまで映像に拘った団体は過去にはなかったんやない
やろかとワシは心底敬服しとる次第ですんや(嘘やないデ)。
DValentine vs Crayz
Texas Rattlesnake Match(2001-1-26)
◆2001年、ACWは年明け早々ビッグ・マッチを開催。この夜、
団体発足以来の大観衆(推定218人)を動員して挙行されたの
は、テキサス・ラトルスネイク・マッチ。日本国ではポイズン澤田
とザ・マミーの遺恨決着戦として以前『猛毒蝮マッチ』が行なわれ
た事があったけど、遅ればせながらもプロレス発祥の地である
米国でヘビを使った試合が密かにブックされてたんですワ!!。
さてこの試合はクレイズが保持するACWヘビー級の王座に、再
度バレンタインがチャレンジするってアングルで、試合に先だって
ペラペラで薄っぺらいベルトもお客様に披露されとりました。
で、次に今夜のトラップが設営されます。まずは太目の針金に
よって作られたカゴがリング上に置かれ、ここにベルトが入れられ
ますんや。そしていよいよ今夜の主役であるガラガラ蛇が登場。
町のペット・ショップのオッサンて感じの男がクーラー・ボックスから
体長1メートル以上あるヘビ(ワシは爬虫類には疎いから、これが
ホンマのガラガラ蛇なのかは判断できまへんでした)を2匹、さっき
ベルトが収納されたカゴに一緒に放り込みよった!!。
ここですかさず『効果音』が挿入。当然流されるのはガラガラ蛇が
相手を威嚇する際に発するというジィー、ジィーて音や!(爆笑)。
アフレコやと悟られんために、カゴに集音マイクをぶら下げて、い
かにもカゴの中の蛇が気持ち悪い音を発してますって構図を捏造
しとるけど、ワシの目は節穴やないデ(熱くなるなよ、ワシ)。
さて試合開始となったんやけど、さすがに客も選手もカゴの中の
蛇が気になって仕方がない様子。とりあえずカゴに相手の顔面
を押し付けるスポット等も盛り込みながら粛々と試合は進み、終
盤脚立が導入されて遂にフィニッシュへと。
天井から吊り下げられた、カゴに掛けられている南京錠を開ける鍵
を掴もうとした王者クレイズが脚立上からリング下に設置された机
に落下し、壮絶なる失神リングアウト負け。これでバレンタインの
勝利は確定したんやけど、まだ虎の子のベルトはヘビと一緒に
カゴの中や。そう、ここからがバレンタインにとって本当の正念場。
カゴに掛けられた南京錠を開けて、バレンタインは恐る恐るカゴの
中のベルトに手を出そうとするんやけど、やっぱりこれは二の足を
踏みますわな。それでバレンタインは、トラップの準備の際にペット
・ショップのオッサン風の男が扱っていた、ヘビをさばくための棒を
使おうとするんです。でもこれにはガラガラ蛇よりもStoneColdな
一部観客からはブーイングが。困ったモンやね、銭を払ったら何を
してもエエってもんやないのに(←他人様の事を言うなってか)。
それならと意を決して、バレンタインはカゴの中に手を突っ込み、
遂にベルトを手にするんですワ。良かったね、無事で。
EValentine & Terry Funk vs Mando Guerrero & Cincinati Red
Tag Mutch(2000-3-24)
ある日のACWオフィス(多分バレンタインの自宅)での会話
以下、(バ):バレンタイン、(ゲ):ゲレロ、(レ):レッドです。
(ゲ)緊急ミーティングやなんて呼び出してくれちゃて、何かあった
  のかってェーの。
(レ)どうせまた、くだらんデスマッチでも考え出したんやろ。
(バ)いや、そんなんやないんや。この前、テリー・ファンクさんに
  出演依頼のメールを打ったら、我がACWに出てやってもエエ
  って返事が返って来たんや。
(モ)エエッ、本当かってェーの。驚いちゃったってェーの。
(レ)そらまた凄い話やないか。それでギャラはいくらなんや。
(バ)ウチの常打ち小屋までの交通費と、試合当夜の呑み代を
  込みにして50万円でどないやって事やったワ。
  デス・マッチの場合はオプションで別勘定らしい。
  あと、Tシャツを持って来はるらしいけど、それを会場の中でマ
  ージンなしで売らせてもらえるならそれで満足やそうや。
(レ)50万円か、相場が判らんから何とも言えんけど、肝心の
  お前はどないしたいんや。
(バ)ただでさえ毎回試合をやる度に貯金が減るんやから、50
  万円は正直辛いけど、テリーさんと試合が出来るんやから、
  今回は大赤字覚悟で来てもらおうと思うんや。それに50万
  円さえ払えば、当日の試合の映像はどない使おうとかまわん
  って事やった。それならこれを売りに、ACW初のDVDを作る
  事も可能やし。
(モ)その話、オレは乗っちゃうってェーの。
(レ)ワシも乗ったデ。テリーとの試合やなんてそうそう体験できる
  もんやないし、近所の友達にも自慢できるからな。
(バ)よっしゃ、決まった。ほんならワシが30万円出すよって、あと
  の20万円をお前らで折半してくれや。
(レ)お前はそれでエエんか。後で文句を言うなよ。
(バ)ワシはかまへんよ。その代わりDVDの売上は全部ワシが
  いただくデ。お前等こそ、DVDが飛ぶように売れても泣き言な
  んて言うなよ。ほら、ここに契約書も用意してあるから。
(モ)相変わらず手回しがいいなってェーの。

 多分このようなやりとりがあって実現したのであろう、この夜の御
大テリーの参戦。バレンタインの金払いも良かったのか、終始笑
顔で試合をこなされていたテリーでした(観衆は推定167人)。
尚、この試合での『効果音』ですが、バレンタインがモンドへ火の
玉を放った際に、火薬の燃えるような音が挿入されとりましたワ。
さてさてバレンタインはDVDの儲けを独り占めできたのやろか。
街金で借金こさえて、追い込みでもかかってたりして...。
それにしても生けるハードコア伝説のテリーさん、こうして地道に
ドサを回り、行く先々で体を張って辻説法をしとるんやね。
もぅ吟遊詩人の領域に入られとりますな...。
<総評>
冒頭のオープニング・プロモにはルチャっぽい試合や、乳首をシール
で隠した故モンスター・リッパー嬢風の巨漢オンナ(よく見ると水着は
着てましたワ)、それと比較すると綺麗どころと評することも可能の女
子の試合なども一瞬だけ映り、バレンタインの『個展』やなどと揶揄し
たワシですが、もしかするとACWも立派な興行組織なのかもね。
ま、そんな事はこの際どうでもよろしいワ。ワシ個人としては、誰に
気兼ねすることもなくこうして自由に表現活動が行なえる土壌を持っ
た米国の健全さと懐深さ、そして何より露悪趣味で終わることのない
バレンタインの芸に対する真摯な姿勢に感動させられましたんや。
試合会場で撮影した生テープを切り貼りし、寝る間も惜しんで『効果
音』をアフレコしているバレンタインの後姿は、ある意味ワシ自身の
姿であり、アナタ自身の姿であるのかも知れまへんな。
尚、下にバレンタインのHPのアドレスを記しておきますワ。一度ここ
を見て下さいな。今回のDVDには収録されなかったブッチャーとの
絡みや、ベルトを巻いた大型のワニとリングで対峙するバレンタイン
の姿があり、今回のDVDがほんの挨拶かわり程度の代やと痛感
させられまっせ。

www.retromedia.org

 ←ブッチャーのギャラは?
 ←ワニとも闘うデ!!


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