では収録内容の詳細を

TOURNAMENT OF DEATH 2 (VHS-TAPE)
 (約3時間32分収録)
 本作はDVDではなくって、VHSテープ。お馴染みSMARTMARKから
1本20ドルで発売されている団体公認(?)の代物です。
内容は2003年7月26日にCZWが開催した『トーナメント・オブ・デス・2』
を完全収録したもの。
この時点で『ウルトラ・バイオレンス』を標榜するCZWに、ケンタッキーから
イアン・ロットン率いるこれまたデス・マッチ団体のIWA−MIDSOUTH
挑発を仕掛けて、両団体は抜き差しならぬ状態へと突入しておりました。
で、それならと企画されたのがこの『トーナメント・オブ・デス・2』。
『2』というからには当然『1』もありまして、前回は2002年8月31日に開
催されており、掛け値なしの地獄絵図が展開されましたんや。
さあ、今回も前回と同じ郊外の駐車場が舞台で、ここに日本の地方プロレ
ス興行でもお馴染みのタダ観防止用青シートを張って準備は完了。
ワシがざっと数えたところ約647人くらい(笑)の血に飢えた程度の低そう
な(ワシ、誰のことを言ってるのやろ?)観衆が、開始のゴングが鳴るのを
今や遅しと待ち構えておりますワ。
あ、『トーナメント・オブ・デス・2』と何度もキーを叩くのは面倒臭いので、
以下は『T・O・D・2』と略します。

@Panes of Glass
 "Spyder" Nate Webb vs. Zandig 
  『T・O・D・2』予選第1試合はCZWの親分である『ウルトラ・バイオレ
 ンス・アイコン』ザンディグとIWA−MIDSOUTHの刺客であるL・ヘビ
 ー級王者ウェブの激突。さすがにCZWの持ち興行であるためか、ザン
 ディグ親分には大きな歓声が上がり、方やウェブは軽快なステップで入
 場したものの、リングサイドのCZWサポーター達に悪態をつくのが精
 一杯の様子。やはりビジターはどの世界でも分が悪いようや。
 試合はガラス板がコーナー2箇所に設営されたもので、序盤でウェブを
 流血に追い込んだため、これは余裕でザンディグ親分の勝利かと思わ
 れたのですが、親分は相手を少々甘く見てしまったか、ウェブから前転
 式のヴァンダミネーターやガラス板越しの月面水爆を喰らってしまう羽
 目に。最後はウェブをラストライドにてガラス板に叩き込み、そのまま網
 打ち式の垂直落下ボムで切って捨てましたが、IWA−MIDSOUTH
 侮りがたしをCZWサポーターへ知らしめることとなりましたワ。
ALightubes & Ladders
 JC Bailey vs "Sick" Nick Mondo
  『T・O・D・2』予選第2試合はCZWの若大将でアイアンマン王座に輝
 くモンドが、若干19歳のIWA−MIDSOUTHジュニア王者ベイレイの挑
 戦を受ける形。活きのエエ試合が繰り広げられそうですな。
 このベイレイって選手、相手から工業用大型ホチキスで身体に針を打ち
 込まれるのが得意ってイカレタ奴でして、この試合でもそんな場面が観
 られるかと期待しておりましたが、さすがに若大将モンドは正統派デス・
 マッチ・ファイター(←なんかヘンな言葉やね)。与えられた蛍光灯と脚
 立だけを駆使してベイレイに畳み掛けます。で、ワシが思わず目を背け
 たのは、割れた蛍光灯の残骸の上に横たわるベイレイの身体をモンド
 が引き摺った場面。当然ながらベイレイの背中はズタボロですワ...。
 試合はロング・サイズの蛍光灯が脚立に設置され、そこにベイレイが叩
 き付けられて憤死。CZW勢、余裕の予選道中2連勝となっております。 
BFour Corners of Pain
 Necro Butcher vs. Corporal Robinson
  『T・O・D・2』予選第3試合はIWA−MIDSOUTH所属同士の対戦。
 先の2試合が対抗戦であったし、それに習うならここにCZWの副将格
 である『妻殴り』ことワイフビーターあたりが登場すべきであるが、何故
 このような形になってしもたのやろか。
 けど4つのコーナーにそれぞれ趣向を凝らした凶器を設置したこの試
 合、身内同士なのでそれなりになんて手を抜いたものやなかったです。
 いや、身内同士だからこそ遠慮せずに相手を攻撃できたと言うか...。
 まずはロビンソンが各コーナーの凶器だけでは満足出来んとばかり、
 リング上にガラスの破片をばら撒き、有刺鉄線バットや蛍光灯トラップで
 ブッチャーを攻め込み、とどめに客席の観客から奪ったビール瓶で頭部
 を一撃。いやはやWWEなんかですと使用される瓶はよく出来た『小道
 具』なんですが、この貧乏な両団体にそんな高価な『小道具』が準備出
 来るはずもなく、実に鈍い音を発して“本物の”ビール瓶はブッチャーの
 頭の上で砕け散りました。そしてクライマックス。何とロビンソンが工業
 用大型ホチキスを持ち出して、ブッチャーの舌をホチキスの針でコーナ
 ー・マットに打ち付けや!!。
 ウーン、これにはワシのキ○タ○も縮み上がりましたワ。
 結局試合はブッチャーが大逆転で勝利を得るんやけど、この手加減抜
 きのIWA−MIDSOUTH所属同士の試合による衝撃度によって、予選
 道中のCZWとのスコアは事実上逆転しておりまっせ。
CBarbed Wire Boards & Lighttube Table
 Ian Rotten vs. Nick Gage
  『T・O・D・2』予選第4試合、遂に登場したのはIWA−MIDSOUTH
 の首領である『統一ハードコア王者』イアン・ロットン。CZWの中堅ニッ
 ク・ゲージとの一戦です。試合形式は有刺鉄線ボードと蛍光灯トラップ
 が複数個設営されたもので、まず試合開始早々ゲージがフォークを振
 りかざしてロットンを攻撃し、あっと言う間に血だるまにしてしまいます。
 その後もゲージの猛攻は続き、もしやこのまま大金星かと思わせた瞬
 間、ゲージとはCZWでH8クラブなるユニットを結成していたはずのヘ
 イトリッドが試合に介入し、相方のゲージを場外にある有刺鉄線テーブ
 ルへと叩き込む大暴走。労せずロットンが予選を突破しておりますワ。
 他団体との抗争って非常時に、内ゲバにて足元をすくわれた形のCZ
 W。準決勝へ向けて体制建て直しなるか!?。 
DZ-Barr vs. Trent Acid
  ここから3試合はトーナメントとは別枠。CZWのヒール側に所属する
 アシッド(バックシート・ボーイズの片割れ、長髪の方)が派手々々衣装
 で登場したZ・バーを軽く一蹴しとります。
EChris Cash vs. Jude vs. Niles Young vs.
 Cory Kastle vs. Rick Feinberg vs. Ian Knoxx 
  CZW運営のレスリング・スクールから選出されたと思われる若手達
 が中心となった試合。キャッシュやユダなどが引っ張ってそれなりの内
 容となっております。また試合決着後に見知らぬ3人組の乱入もあり、
 CZWも人間模様が複雑やなァと思わせよりましたな。
FJohnny Kashmere vs. Nick Berk
  Dに続いてバックシート・ボーイズから今度はカシミールが登場。相
 方のアシッドやマネージャーらもセンスのある試合への介入を見せ、
 余裕でバークを沈めております。あ、このバックシート・ボーイズ、なか
 なか試合も面白いしマスクもエエし、ちょっと注目株でっせ。
GFans Bring The Weapons
 Necro Butcher vs. Ian Rotten 
  『T・O・D・2』準決勝第1試合、B同様にIWA−MIDSOUTH所属
 同士の対戦や。試合形式はファンが思い思いに持ち込んだ各種お手
 製の凶器がエプロン・サイドに並べられ、両選手ともにそれらを片っ端
 から駆使して相手を傷付けるって凄惨なもの。ちなみにズラッと陳列さ
 れた凶器に共通するアイテムは、有刺鉄線、蛍光灯、画鋲、ですワ。
 さて試合開始直後に両者手四つの状態からの頭突き合戦が火を噴き、
 予選で既に額を割っていた2人は即刻大流血。その後、画鋲付着のボ
 クシング・グローブでのパンチ攻撃、超大型テレビでの圧殺攻撃など気
 の弱い方なら失神間違いなしのシーンが続々と展開され、最後はイア
 ンが問答無用の椅子攻撃2発から画鋲が付着されたギター攻撃をブッ
 チャーに見舞って激勝。その後は両者ともに頭部に画鋲を20個程突
 き刺したまま、互いの健闘を讃えあっておりました(絶句)。
HTwo out of three log cabin lightubes
 Zandig vs. "Sick" Nick Mondo
  『T・O・D・2』準決勝第2試合、今度はCZW勢同士の激突で、ザン
 ディグ親分対若大将モンドって夢の顔合わせや。
 Gの試合に対抗し、CZW流のバイオレンス戦を持って内容でIWA−
 MIDSOUTHを凌駕しようとの魂胆のようですな。
 ここらは試合を行う両者も心得たもので、リング登場とともにモンドが
 会場奥の倉庫を指差すと、そこには机を3段重ねた上に蛍光灯オブジ
 ェを置いたトラップが。そう、どうやらこの試合には高所落下スポットが
 用意されているようなんです。
 で、いよいよコング。試合開始直後はザンディグ親分の一方的な攻撃
 をモンドが一身に受けるって展開で、画鋲や蛍光灯での攻撃にモンド
 は青息吐息。そしてモンドがザンディグ親分を誘い出す形で闘いの舞
 台はいつしか会場奥の【倉庫の屋根の上】へと移行。
 ひとしきり蛍光灯チャンバラを行った後に、遂に【その時】は訪れます。
 親分が若大将を担ぎ上げたままトラップへと落下!!!
 ホンマ、こいつら正味の命知らずやね。ちょっと落下するポイントがず
 れたら2人には確実に重傷、下手すると死、が訪れまっせ。 
 試合はこの後もまだ続き、最後は大逆転でモンドが決勝にと歩を進め
 ておりますが、これで試合の衝撃度ではCZW勢が一歩リードか。
 画面の中では血まみれの師弟が満足げに肩を寄せ合って控え室へと
 戻って行っております...。
IB-Boy & Messiah vs. Ruckus & Sonjay Dutt
  『T・O・D・2』優勝戦へと勝ち進んだイアンとモンドが呼吸を整えるま
 での間、この試合でお楽しみ下さいってタッグ戦。
 CZWの中ではバックシートボーイズらと徒党を組んで反体制派を組織
 しているメサイアが出場や。試合は相変わらずトリッキーな動きで見る
 ものを飽きさせないラッカスらの活躍もありましたが、そのラッカスをB
 −BOYが押さえ込んで幕。決して悪い内容ではおまへんでしたが、や
 はりメサイアは『T・O・D・2』の方に出て欲しかったなァ。どうもXPW脱
 退後、メサイアはデス・マッチから距離を置いているみたいですワ。
J200 Lighttube & Barbed Wire Ropes
 Ian Rotten vs. "Sick" Nick Mondo
  いよいよ『T・O・D・2』優勝戦。この頃になると辺りも日が暮れて来て
 なかなか良い雰囲気。けどこれから優勝戦を行う2人、特にモンドの方
 なんて予選道中で精根尽き果てた様子で、花道を歩くだけでも辛そう。
 血に飢えた観客同様、とても夏の夕暮れ時を満喫するって余裕はない
 ようです。そして満場のモンド・コールの中、イアンとの握手から試合は
 始まり、リングの四方をグルリと取り囲んだ200本の蛍光灯が互いの
 身体の上で次々と砕け散って行きます。なんか映像を観ているワシも
 この頃には頭の芯が痺れて来てまして、詳細にどのような攻防が行わ
 れたのかは正直覚えておりまへん。ただ最後にモンドがイアンを蛍光
 灯オブジェへと叩き込んで勝利を掴んだのだけは記憶に残ってますワ。
 尚、モンドの勝利が決まった後、約一年前に開催された『T・O・D・1』
 の優勝者である『妻殴り』ことワイフビーターが優勝者に与えられるトロ
 フィーを持って現れ、追ってこれにザンディグ親分も続きました。
 CZWを支える精神的支柱2人に祝ってもらい、若大将モンドも己の骨
 身を削っての激闘が報われた瞬間で、これにて興行はお開きと思われ
 たのですが、イアンとザンディグが口論を始め、遂にザンディグの口か
 ら「俺とお前、8月23日に金網爆破マッチで決着や!」との台詞が。
 まだまだ両団体の遺恨は深まる一方のようです...。

【総評】
  デス・マッチを観ると何時も何故彼等はここまでやってしまうのかって
 非常に単純な疑問が沸いて来ます。そして決まって答えなんて出ては
 来ませんワ。ただ嫌いな方や生理的に受け付けない方にはご理解い
 ただけないでしょうが、一口にデス・マッチと言ってもいろいろとありまし
 て、今回雌雄を争った両団体の場合ですとCZWがアッパー系、IWA−
 MIDSOUTHがダウナー系と申しましょうか。
 言い方を変えるなら、CZWは前ノリの躁状態で、IWA−MIDSOUTH
 は後ノリの鬱状態なんです(音楽の好きな方なら分かってもらえる?)。 
 よってこのビデオ、同じデス・マッチって表現を行いながらも手法の全く
 異なる両団体の選手が直接対決したり試合の内容で競い合ったりと、
 正にデス・マッチ好きには1本で2度も3度も美味しい内容なんや。
 ま、四の五の言っても始まりませんから、もし機会があるのなら是非こ
 の興行に接してみて下さいな。
 もしかすると、アナタの第3の目、『デス・マッチ・チャクラ』がすっと開く
 かも知れませんから...。


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