では収録内容の詳細を

WRESTLEMANIA T(VHS−TAPE)
(邦題:決定版!これがアメリカンプロレスだ!)
(約1時間56分収録)
 2004年の春には晴れて第20回目の興行が行われるアメリカン・プ
ロレス最大の祭典『レッスルマニア』。2004年が第20回目なら1回目
が1985年であるのは単純な算数。けれど現時点でワシらが簡単に
第1回目の興行の模様を鑑賞するのは至難の業。本来なら当然既に
DVD化されているべき映像なんやけど、例の『パンダのWWF』との係
争に負けてDVD化どころか最近はVHSテープまでが品薄の状態や。
しかしDVD化を今か今かと待っているのも芸がないし、ここでは日本
版VHSテープをテキストに第1回目の『レッスルマニア』を振り返ってみ
ますワ。ちなみに興行開催日は1985年の3月31日。会場はNYの殿
堂MSGです。
あ、この日本版VHSテープですが、土居壮氏と斉藤文彦氏が解説を
しており、二重音声なんて便利なシステムで作られてはいないよって、
最近の音声は字幕で、実況&解説はテロップでってシステムに慣れた
方には少々違和感を伴うかも。けど両氏の解説もなかなか勉強にはな
るので、若きアメ・プロ・ファンの方々も我慢(失礼)して聞いてやって。
尚、このVHSテープ、1988年の発売当時は定価9800円でして、ワ
シは大阪梅田の中古ビデオ屋で新品同様の美品をたったの700円で
ゲットしました(←プチ自慢)。

○まずは若き御大のご挨拶
  まだ好青年の面影を随所に残していたビンス・マクマホン“Jr”がス
 タジオにて御挨拶。「リングサイド席へようこそ」とワシらを誘います。
○対戦カードの紹介
  最近のPPVみたいなプロモやないけど、これはこれで風情あり。
 現地の実況&解説はゴリラ・モンスーンとジェシー・“ザ・ボディ”ベン
 チュラで、リング上では“ミーン・ジーン”オーカランドが合衆国国歌を
 斉唱や。
@Tito Santana vs. The Executioner 
  記念すべき第1回目の『レッスルマニア』の第1試合がこれ。なん
 とも怪しい覆面のエクスキューショナー(正体は中堅のチャーリー・
 フルトンって選手らしいけど、本名を名乗られてもワシは知らんな)
 を人気者のサンタナが躍動感溢れるファイトから足四の字で切って
 捨てております。
AKing Kong Bundy vs. S.D Jones
  ジミー・ハートをセコンドに付けて“巨鯨”バンディが登場。なんと黒
 人選手のジョーンズをたったの9秒で圧殺ですワ。
 尚、ジョーンズのリング名であるSDとはスペシャル・デリバリー(速
 達便)の略で、なるほどバンディに9秒で勝利を速達とは見事なオチ
 までついているんですな(爆笑)。
BRicky Steamboat vs. Matt Borne
  ここで気付いたんやけど、当夜のリング・アナは今もWWEでちょこ
 ちょこ顔を出しているフィンケルさんこの人もなかなか芸歴が長いん
 やね。さて試合やけど、褐色の均整の取れた身体に黒髪、白タイツ、
 白シューズが美しく映える、“南海の黒豹”の異名を持つリッキー
 独壇場。母親の母国日本を意識したような空手風の逆水平チョップを
 乱発し、最後はフライング・ボディ・アタックで完勝でしたワ。
CDavid Sammartino vs. Brutus Beefcake
  デビッド・サンマルチノの親父さんは御存知“人間発電所”ブルーノ・
 サンマルチノで、ビーフケーキの実兄はハルク・ホーガン。ともに身内
 の七光りで業界入り出来たような二人の激突や。当然デビッドには親
 父が付き、しかもビーフケーキには“人間発電所”と因縁浅からぬジョ
 ニー・バリアントが付いたので、大観衆もリング上の対決よりセコンド
 同士の絡みを早く始めんかいって待ちわびているような雰囲気。
 で、そろそろ潮時と思ったかビーフケーキがデビッドをリング下に突き
 落としたのを合図に4人が乱闘へと突入して試合はノー・コンテスト。
 それでもニューヨークでの“人間発電所”の人気は絶大なものがある
 みたいで、観衆は皆さん大喜びや。
DWWF Intercontinental Championship match
 Junkyard Dog vs. Greg "The Hammer" Valentine
  “妖鬼”ジョニー・バレンタインの息子であるグレッグが保持するIC王
 座へ正統派黒人レスラーのジャンクヤードが挑戦。試合はグレッグの
 セコンドへ付いたジミー・ハートの介入こそジャンクヤードは乗り切った
 ものの、直後にグレッグによるロープ悪用のズル勝ちが炸裂。
 しかし同じカラードの絆か、@で快勝したサンタナが猛烈抗議を行い
 試合は延長戦へ。けどグレッグはリングへは上がらず、そのままリン
 グアウト負けを選択。そうIC王座はリングアウト負けでは相手に移行
 せんってルールを最大限に活用したんですワ。
 ウーン、同じく黒人のブッカー・TがなかなかIC王座を取れなかったけ
 ど、やはりWWFって昔っから黒人レスラーには厳しいんやねェ。
EWWF Tag Team Championship
 Iron Sheik & Nikolai Volkoff vs.
 Mike Rotundo & Barry Windham
  ワシとこの実家にはまだ小学校で配られた地図帳があるんやけど、
 そこには“ソ連”って大国が記載されとるんや。けど当然最近小学校
 で配られる地図帳にはそんな国の名前なんてないんでっしゃろ?
 しかし20年前、アメリカの最大の敵は“ソ連”て国やったんですワ。
 で、リングには“ソ連”代表のボルコフとこれまた米国とは犬猿のイラ
 クから選抜されたシークが。2人には大御所の故ブラッシーまでが付
 いて、ボルコフが堂々と“ソ連”国歌を斉唱するに至っては場内の怒り
 具合も最高潮です。そこに健康的に日焼けした二人の若き米国人チ
 ームが挑むって、なんとも単純な対立概念による非常に分かりやす
 い試合や。あ、挑むって書いたけど実はタッグ王座に就いているの
 は米国チーム。けどウインダム&ロトンドとボルコフ&シークでは格
 が違い過ぎるので挑むってのも間違いやないか。
 結果はレフリーのブラインドをついて、シークがブラッシーの持つステ
 ッキを悪用。晴れの大舞台でベルトが敵国へ渡ってしまいましたワ。
F$15000 Bodyslam Challenge
 Andre The Giant vs. Big John Studd
  どちらが真の巨人なのかと揉めた末に組まれた一戦。ルールは非
 常にシンプルであり、先に相手をボディ・スラムで投げた方が勝ちや。
 この試合アンドレは引退を、ボビー・“ザ・ブレイン”ヒーナンをセコンド
 につけたスタッドは15,000ドルを賭けての激突なんやけど、やはり
 試合はアンドレの余裕勝ち。しかしリング上から客席に賞金の紙幣を
 バラ撒き出したところでヒーナンが飛び出して紙幣の入ったスポーツ・
 バッグをひったくり遁走。リング上では15,000ドルなんて屁でもない
 ってアンドレの素敵な溢れんばかりの笑顔が満開ですワ。
GWWF Women's Championship
Wendi Richter w/Fabulous Moolah vs.
Leilana Kai w/Cyndy Lauper
  さて1980年代というと音楽業界ではMTVってのが流行りだした
 頃でして、音楽の質よりもプロモーション・ビデオの出来で曲がヒット
 するしないってことが常識となってました。で、そのMTVから飛び出
 したのがレイ・ラニ・カイのセコンドについたシンディ・ローパー
 当時めちゃくちゃ売れていた歌手でして、こいつを呼んでくるとはWW
 Fもやりよるなァと思ったものです。
 けどワシが大注目なのは女子王者リヒターのセコンドについた“女子
 レスラーの始祖”ファビュラス・ムーラ。今でもWWEの番組では腐れ
 縁(←意味深や)のメイ・ヤングともども節々で神々しいお姿をお見せ
 になられるんですが、20年前のこの時点でもう立派なお婆さんや。
 それなら今はいくつなんやろかって思うけど、シンディ・ローパーを意
 識してド派手な衣装に身を包み、勝気なローパーと乱闘を始めるなど
 と老いて増々御達者な様子。試合はリヒターのボディ・アタックをクル
 っと丸めてレイ・ラニ・カイが新王者となったけど、試合の主役はロー
 パーであり、ムーラ婆でありましたワ。 
HHulk Hogan & Mr. T vs.
 Roddy Piper & "Mr. Wonderful" Paul Orndorff 
  『レッスルマニア』というとリングの内外を彩る豪華絢爛なゲスト陣達
 でも有名なんやけど、その先鞭をつけたのがこの第1回大会のメイン
 エベント。特別リング・アナにNYヤンキースのビリー・マーチン監督、
 特別タイム・キーパーにキーボード奏者のリベラッチ、特別サブ・レフ
 リーにあのモハメド・アリ!!を配し(ちなみにメイン・レフリーはパット
 ・パターソン)てますんやデ。
 しかもホーガンと組むのが映画『ロッキー3』にも出演していた黒人俳
 優のミスター・Tや。この布陣を見ただけで、ビンスが『レッスルマニア』
 をただのプロレス興行に終わらすつもりがなかったのが理解出来るな。
 肝心の試合はプロレス素人のミスター・Tをフォローすべく、ホーガンを
 筆頭に相手チームのパイパー&オンドーフも大活躍。しかも随所に
 ホーガン組のセコンドであるジミー・“スーパー・フライ”スヌーカーやパ
 イパー組のセコンドであるボブ・オートンJr(ランディの親父さんやね)
 の介入と、それらを鎮めんとするアリの奮闘もあって全く観るものを飽
 きさせん。正直プロレスの技術って面では語るべきところは少ないけど、
 この興行をスポーツ・エンタテイメントって名の新しい娯楽の出発点
 捉えるなら非常に意味のある一夜ではありますワ。
 あ、試合の結果やけど、オートンJrの誤爆を見逃さずホーガンがオン
 ドーフを押さえ込み勝利。十八番のポージングへと移行しとります。


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