では収録内容の詳細を

REDEFINED
(VHS-TAPE) (約3時間31分収録)
 本作はDVDではなくって、VHSテープ。お馴染みSMARTMARKから
1本15ドルで発売されている団体公認(?)の代物です。
内容は2003年9月13日にCZWが開催した団体の主要タイトルの一つ
である『アイアン・マン』王座の争奪トーナメント戦を完全収録したもの。
そう『アイアン・マン』王座争奪トーナメント戦を完全収録したものなんです
が、最後の最後に決してプロレス史上から消し去る事が出来ないであろう
残酷場面が現出することになったんですワ...。
以下、度を越した暴力描写がございますので、気の弱い方は読まないよ
うにしてや!!!。
尚、今夜のトーナメント開催キッカケは『アイアン・マン』王座に就いていた
ニック・モンドの突然の引退。CZWの売りであるデス・マッチ方面で体を張
り過ぎたのが原因なんやろか。

○まずは全選手集合して...
  2003年9月13日、そう2001年9月11日のテロから約2年経過した
 んですな。毎回阿鼻叫喚の地獄絵図をリング上に描き続けているCZW
 にも愛国心はあるようで、今夜の興行への参加選手全員がリングに上が
 り悲惨なテロに対して黙祷を捧げております。
@Sabian vs. Joker vs. Cory Kastle vs. Krystian Wolf
  CZWのHPによると、これと次の試合は『ダーク・マッチ』だそうで。
 けど上背のあるウルフ、色男風のキャステル、黒人のチビであるサビア
 ン、怪しそうな風体に反して相手を肩車して頭を抱え込み落とすってオ
 リジナル・フィニッシュ・ムーヴを披露したジョーカーとなかなか侮りがた
 い内容や。結果はキャステルの勝ちでした。
ARockin' Rebel & Greg Matthews vs. John Dahmer & DJ High
  『ダーク・マッチ』の第2弾。ちょっとダルい感じのタッグ戦で、マシュ
 ーズがDJをフォール。試合決着後はDJが「なぜ俺を助けなかった」と
 パートナーであるダマーに逆ギレ。コーナーにダマーを逆さ吊りにし、
 怒りにまかせた一撃をお見舞いや。哀れダマー、失神してしもたワ。
BNick Gage vs. Sonjay Dutt
  『ダーク・マッチ』も終わり、ここから実況も入っていよいよ『アイアン・
 マン』王座争奪トーナメント戦の予選第1試合。まずは本トーナメントに
 備えて身体を絞ったのか、以前に比べてちょっと引き締まった感じのゲ
 ージがトリッキーなムーヴを信条とするサンジェイを迎え撃つ一戦。
 序盤ハイ・レベルの場外ダイヴをミスったサンジェイが、それでもへこた
 れることなく次々難易度の高いムーヴを繰り出し熱戦となりましたワ。
 最後はゲージのチョークスラム葬でサンジェイが沈みましたが、なかな
 かのグッド・マッチでしたな。
CJohnny Kashmere vs. Adam Flash
  予選第2試合は胡散臭い感じのデューをマネージャーに従えたバッ
 クシート・ボーイズの片割れカシミールが、イアン・ノックスを引き連れた
 フラッシュと激突。試合に介入しようと怪しい動作を繰り返すデューにノ
 ックスの場外クローズ・ラインが決まり、デューは試合途中で失神KO。
 これでカシミールには黄信号が灯ったかと思われましたが、やはりCZ
 WにおいてメサイアらとHI−5なる反逆軍を結成しているカシミール、
 フラッシュとは役者が一枚も二枚も違いました。なんとリング・シューズ
 を野球用のスパイク・シューズに履き替え、フラッシュ目掛けてミサイル
 ・キック一閃。間髪入れずにフラッシュを締め落としてしまいましたワ。
DJimmy Rave vs. Nick Berk
  いかにも融通の利かなそうな表情のバークと、バークとは正反対の
 色男系レスラーであるレイヴによる予選第3試合。
 序盤、手首の取り合いなどを披露してじっくりした試合を展開した二人
 でしたが、最後はレイヴのフェイス・ロックによりバークがタップ。
 色男系レスラーのフィニッシュ・ムーヴがクロス・フェイスとは面白いね。
EKendo Ka-Shin vs. Ruckus
  ジュニアのベルトを保持している独創的なムーヴが売りのラッカスに
 予選第4試合で相対したのは単身日本から参戦のケンドー・カシン。
 日本のプロレス事情にとことん疎いワシなのでカシンって選手の試合
 を観るのはこれが初めてやったのですが、さすがに冒頭のワン・アクシ
 ョンだけでラッカスとの差を見せつけました。序盤の腕ひしぎ逆十字固
 めでほぼ試合は決していたのやけど、とりあえずブッカーから依頼の
 あった時間はキチンと仕事をしますって事やろか、一度はラッカスを逃
 がしてやり、変形のタランチュラからクルっと丸めてフォール余裕勝ち。
 試合開始前は小規模ながらもスタンディング・オベーションで迎えられ、
 新たなヒーロー誕生かと思わせたものの、試合後はラッカスの持って
 いたベルトを強奪(この試合はノン・タイトル戦)し、ワシはヒールでっせ
 と自己主張もこなして...。ま、及第点以上のCZWデビューですワ。
 ただ多分帰国後に、「凄いって噂のCZWも、実際は大した事ないデ」
 なんて偉そうに大口を叩くんやろなァ。それだけが悩みの種や。
FChris Hero vs. Nate Hatred
  反逆軍HI−5に属するヘイトリッドがマネージャーのデューを引き連
 れてリング・イン。対戦相手は誰かいなと注目するとザンディグ親分
 が現れてIWA−MIDSOUTHの若手ヒーローを紹介や。
 ここら辺りCZWとIWA−MIDSOUTHの『エエ関係』が伺えるね。
 試合はヘイトリッドとは元僚友であったゲージの乱入によりヒーローが
 勝つんですが、ヒーローはお前の助けなどなくても勝てたと憤慨。
 リング内外の様々な人の様々な思惑が交錯しておりますワ。
 あ、これが予選第5試合でっせ。
GTrent Acid vs. Tony Mamaluke
  予選第6試合はこれまたHI−5所属であり、Cに出場したカシミー
 ルとはバックシート・ボーイズなるチームを結成しているアシッドと、コ
 スチュームに『純血イタリア軍』の名残が伺えるママルークの激突。
 コーナー・ポスト越えのダイヴやシュート・ファイト系の関節技と多彩な
 技能を披露したママルーク(カシンとの試合なら映えたのにな)に手こ
 ずったアシッドですが、CやFで失態続きだったマネージャーのデュ
 ーがここで初めて役立ち、アシッドが晴れて準決勝進出ですワ。
HIan Knoxx vs. Chris Cash vs. Niles Young
  準決勝が始まるまでの場つなぎ(失礼)として組まれた3WAY戦。
 人気者キャッシュが観客の目を惹き、大型のノックスがヤングをフォ
 ールしております。
INick Gage vs. Greg Matthews
  準決勝第1試合は本来ならカシミールとゲージの激突。反逆軍HI
 −5所属のカシミールとCZW正規軍所属のゲージの顔合わせだと期
 待を持たせたのやけど、試合前にリング・アナからカシミールの負傷
 欠場が伝えられ、代役はダーク・マッチAの勝者であるマシューズが
 出場。なにやらHI−5の陰謀臭いですが(苦笑)、ゲージが楽勝でマ
 シューズを下して決勝へと駒を進めております。
JJimmy Rave vs. Kendo Ka-Shin
  Eで強奪したジュニアのベルトを憎々しげにリング上で踏み付けた
 カシン。準決勝第2試合の始まりですワ。試合はまたまた余裕でカシ
 ンに凱歌かと思っていたのですが、Eで遺恨の生まれた(苦笑)ラッ
 カスの介入により注意力散漫となったカシンがレイヴ必殺のフェイス
 ・ロックによりタップ。カシンにはちょっと屈辱的なブックでしたな。
 またラッカスの『介入スポット』についてもコミュニケーション不足が露
 呈しております。カシンもまだまだ『勉強中』みたい。
KTrent Acid vs. Chris Hero
  準決勝第3試合はアシッドとヒーローの顔合わせ。ザンディグ親分
 直々にIWA−MIDSOUTHから招聘(って程でもないけどね)したヒ
 ーローも奮闘しましたがやはりアシッドの方が役者が一枚も二枚も
 上でした。けどアシッドって激勝ってのが似合わないタイプなので、こ
 こら辺りはキチンとセルフ・プロデュースして欲しいものですな。
LDerek Frazier vs. Deranged
  決勝戦が始まるまでの場つなぎ(またも失礼)として組まれたCZ
 Wにおける『ヤング・ライオン』戦?さすがにこの位置で試合を組ま
 れるだけあって両者ともそれなりに訴えかけるものはありました。
 またデランジド(って読むのやろか)はちょっとジャニーズのジュニアさ
 んのようでもあって、日本に連れて来たら女の子に人気が出るかも。
 試合はデランジドの仲間の介入ミスが原因でフラジャー(って読むの
 やろか)が勝利。デランジドは例によって仲間と内輪もめに突入や。
MTrent Acid vs. Jimmy Rave vs. Nick Gage
  いよいよ『アイアン・マン』王座争奪トーナメントの決勝戦。この試合
 は激しい予選道中を勝ち抜いたゲージ、レイヴ、アシッドによる3W
 AY方式の20分間の『鉄人戦』や。最初にフォールを獲った者や最
 後まで勝ち抜いた者が勝者ではなく、20分間戦い続けてよりたくさ
 んフォールを獲った者が勝者ってルールですワ。
 WWFなんかでは60分の『鉄人戦』がお馴染みで、それに比較する
 と20分ではいかにも説得力不足にも思いますが、そこはそれ。
 各自本日3試合目で体力も消耗しとるし、観客もこれからまた60分
 も試合をされても帰宅する公共交通手段がなくなってしまいます。
 また3WAYの20分とした事でスピーディな展開も期待出来ますワ。
 で、試合は序盤にゲージがレイヴを、レイヴがアシッドをそれぞれ一
 度フォールし、中盤以降は1−1−0とリードされたアシッドが懸命に
 追い上げる形式で展開。そして試合時間が残り2分を切った時点で
 アシッドがレイヴ、ゲージを連続フォール。しかもゲージにはロープ悪
 用のフォールで自己主張もキチンと織り込む心憎さ。
 最後はタイム・アップ寸前で1−1−2となって俄然優勝へと近づい
 たアシッドにレイヴのフェイス・ロックがガッチリと決まりましたが、
 シッドがなんとか逃げ切り。歓喜の『アイアン・マン』王座戴冠や。
NMessiah vs Zandig  
  アシッドの『アイアン・マン』王座戴冠に反逆軍HI−5の面々も自
 分の事の様に喜びリング・イン。軍団長であるメサイアの音頭取り
 でアシッドの(自前の)戴冠祭が始まりました。
  で、これにて本日の興行はお開きって事でも誰も文句は言わんか
 ったと思います。それだけレベルの高い興行でしたんや。
 それなのに...。
 ビデオの画面がいきなり切り替わり、選手入場ゲートからは反逆軍
 HI−5の悪役マネージャーであるデューにド突かれ蹴りまくられな
 がらスタッフが1人、無理やりリング・インさせられました。
 で、デューの持つ鎖が6本取り付けられたハンガー型の金具と、リ
 ング下から取り出したチェーン・ブロックをリング上の鉄骨に巻き付
 けられたチェーンに接続するよう指示されよりましたんや。
 何が始まるんかいなって眺めていると、今度は選手入場ゲートから
 顔面血まみれのザンディグ親分がメサイアらHI−5一派にボコられ
 ながらリングへ。しかもよく見ると親分の右肩には大型の釣り針が
 3本、肉を抉るように刺し込まれており、ワシもさすがにこの時点で
 ちょっと『引いて』しまいました。
 けど画面の中ではHI−5一派に恫喝された刺青だらけのオジサン
 (どうやらWhacksって名のボディ・ピアス屋みたい)が更に親分の
 左肩にも3本の大型釣り針を刺し込んでおり...。
 そして合計6本の大型釣り針を両肩に刺し込まれた親分、無理や
 り立たされ背中の釣り針に先ほどスタッフが設置していたハンガー
 型金具の鎖6本が繋がれて。
 後はもう残酷シーンの連続。事前にネットで画像を見てはいたけど、
 実際チェーン・ブロックによって親分の身体がリングから浮いた瞬間
 は言葉を失いました。陳腐な表現やけど、親分の身体がリングから
 浮いた瞬間、親分は、CZWは、プロレスって表現は、確実に一線を
 越えました。画面の中の観客も声を失っているのがよく判るし、誰か
 が仕掛けたらしい『CZWコール』もすぐに途絶え...。
 
【総評】親分の体重が120Kgとして、6本の大型釣り針が刺し込まれ
 た両肩の肉片に掛かる重量は各20kg。各々の肉片は気持ち悪い
 程伸び切っており、よく親分の自重により裂けてしまわなかったなと
 改めて人体の不思議を感じました。
 ま、注意深く見ていれば親分の肩に釣り針を刺し込み、チェーン・ブ
 ロックで宙吊りにしたのは全て前記したボディ・ピアス屋のオジサン
 とその助手のような男でして、性の先進国である米国には『そんな
 趣向』の人々に向けた闇商売もあるんやろかって考えもしました。
 そう、今回の『宙吊りスポット』はあくまで親分と『その筋のプロ』によ
 る合作なんやと思います。
 で、そんな宙吊り状態の親分をサンドバックに見立てて(手加減しつ
 つも)パンチやキックやロー・ブローを見舞っていったHI−5の面々。
 多分彼等も早くこの残酷な『お仕事』が『無事に終わって欲しい』と
 思っていたはず。いや、そう思っていたとワシは心底願いたいワ。
 常々プロレスって表現領域の懐深さや貪欲さ、他の全てのジャンル
 を喰い尽しかねない消化力の強さに敬服しているワシも、今回だけ
 はどない反応してエエのか迷ったモン。
 しかし親分は、CZWは、プロレスって表現は今後、どう歩みを進め
 るのやろか。ホンマ、いろいろと考えさせられるテープでしたワ。


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