では収録内容の詳細を

Zandig's Ultraviolent Tournament of Death
(VHS-TAPE) (約2時間30分収録)
 本作はDVDではなくって、VHSテープ。お馴染みSMARTMARKから
1本15ドルで発売されている団体公認(?)の代物です。
内容は2002年8月31日にCZWが開催した『ザンディグのウルトラ・バ
イオレンス・トーナメント・オブ・デス』を完全収録したもの。
2時間30分以上、CZWの代名詞である阿鼻叫喚の地獄絵図さながら
のデス・マッチを堪能できますんや。
さて、この興行開催当時、ロスのデス・マッチ団体XPWが遥々アメリカ
大陸を横断して東海岸(CZWのお膝元)へ興行を打ちに来るってことが
頻繁に発生しておりまして、CZWとしてものんびりとしていられない状況
下にありました。で、デス・マッチならワシとこが本家本元であるとの自負
を持ってCZWが繰り出したのが本デス・マッチ・トーナメント。
では早速、VHSテープを再生してみますワ。
あ、『ザンディグのウルトラ・バイオレンス・トーナメント・オブ・デス』と何度
もキーを叩くのは面倒臭いので、以下はZ・U・V・T・O・Dと略します。

○オープニング
  デス・メタル風のBGMに乗せて過去の名場面を。ここだけでも流した
 血の量や凶器として叩き割った蛍光灯の数は天文学的なものやデ。
○まずは舞台説明から...
  当日の会場は郊外の駐車場のようで、ここに日本の地方プロレス興
 行でもお馴染みのタダ観防止用青シートを張って舞台設置は完了。
 CZWとの繋がりから『大日魂』ってTシャツを着たマニアも客席には居
 てますワ。で、この日はどうも午後4時頃からの興行スタートみたいで、
 まだこの時間帯はお天道様も顔を出してます。
 ワシが睨んだところ、観客は実数で280人。実にインディの会場らしい
 エエ感じの雰囲気が画面から伝わって来ます。これを観ていたら、ワシ
 もまた生観戦に行かないとアカンなって思わされましたワ。
 尚、上記したXPWの侵攻を快く思わない(CZW差し向けのサクラ?)
 ファンがXPWのオーナーであるロブ・ブラック氏を揶揄するため、客席
 から『FUCK ROB BLACK』ってプラカードを上げとります。
@Zandig vs Nate Hatred :
 Barbed Wire Boards Match
  CZWの顔であり、Z・U・V・T・O・Dの発起人ザンディグと、ニック・
 ゲージとともにH8クラヴなるユニットを結成しているヘイトリッドの対
 戦から興行は開始。怪奇派っぽいヘイトリッドは“アナーキー・マーク”
 を蛍光灯で模したオブジェを持参や。そしてゴング、となったんやけど
 すぐにロボら5〜6人からなるCZW反主流派が怒涛の乱入を決行。
 ザンディグに有刺鉄線を巻き付け、ヘイトリッドは総掛かりでボコに。
 そのまま2人同時に場外テーブル葬ですワ。
AThe Messiah vs Adam Flash
  @の試合をブチ壊したメンバーの1人であるフラッシュがそのままリ
 ングに残り、Z・U・V・T・O・D予選第1試合へ移行。
 フラッシュの相手は以前XPWで怖いものなしのデス・マッチを繰り広
 げていたメサイア。これはワン・サイドで決着やろと想像しましたが、
 やはりメサイアの疾風入場〜一撃フォールで試合は幕。
 ま、メサイアを予選で負けさせるなんて出来んモンな。あ、メサイアは
 ザンディグの救出も行っており、どうやらCZWの主流派みたいや。
BThe Hardcore Ninjaz vs The Arsenal & Green Phantom
  イロモノのタッグ戦。ニンジャズはただの白覆面白装束の二人で、
 グリーン・ファントムもただの覆面兵士キャラ。アーセナルについては
 もはやワシの記憶から飛んでしまってますワ。ロボら反主流派の介入
 があってファントム組が勝ちましたが、試合内容は『Don’t try this
 at home』を敢えて素人がリング上でやってみましたって感じ。
 追記:この試合に参加している4選手は全てカナダにある独立団体の
 IWS(Internet Wrestling Syndicate)所属の奴等です。
CNecro Butcher vs Wifebeater
  Z・U・V・T・O・D予選第2試合。大日本でもお馴染みの『妻殴り』
 IWA−MIDSOUTH等に出場しているN・ブッチャーを迎え撃つって
 内容です。N・ブッチャー、ワシは初めて試合をするところを観たんで
 すが、何やらちょっと変態チックなキャラで面白そうな奴でしたワ。
 結構会場人気も高いようで、CZWとしても興行を打つために必要な
 “コマ”なんでしょうな。で、試合の方ですが『妻殴り』のマネであるら
 しきビッグ・マック・スマックが『妻殴り』に工業用ホチキスを手渡したも
 のやから、哀れN・ブッチャーは自身が着ているTシャツを捲り揚げら
 れてTシャツごと口の辺りにホチキスを打ち込まれてしまいました。
 そして最後は会場後方にある本部&実況席(一段高くなっている)か
 ら、イスの上へのスパイン・バスター。N・ブッチャー、憤死でしたな。
DNick Gage vs Mr Insanity :
 Barbed Wire Boards and Wooden Strips with Nails Match
  ニック・ゲージはヘイトリッドと結成しているH8クラヴなるユニット名
 からインスパイアーされたと思われる、直管型及び円型の蛍光灯を
 器用に組んで『H8』と模したオブジェを持参。@でのオブジェといい、
 この日の試合のアチコチで使用された蛍光灯トラップといい、CZW
 は凄腕の“蛍光灯アースチト”でも雇っているのやろか(笑)。
 試合は蛍光灯や有刺鉄線が盛り込まれた内容で当然流血にも至る
 んですが、ワシが思わず「アッ、痛い!」って口走ったのはゲージに
 よるコンクリート床でのブレンバスターやインセインへの顔面蹴り。
 最後は垂直落下ブレンバスターがズバリと決まって、ゲージが余裕
 でZ・U・V・T・O・D予選第3試合を突破。準決勝へと進出ですワ。
EHomeless Jimmy vs "Sick" Nick Mondo
  会場人気ではダントツのモンドがZ・U・V・T・O・D予選第4試合で
 合いまみれるのはかつてXPWで小気味いいデス・マッチ・ファイター
 振りを披露していたホームレス・ジミー。最近XPWのDVDを買っても
 こいつの試合が観れなくってモヤモヤしていたんやけど、こうしてXP
 Wと敵対するCZWにメサイア同様、戦場を移していたんやね。 
 試合はコンクリート床へのモンドの恐れを知らぬダイヴ、ジミーによる
 有刺鉄線の鞭化などバイオレンス度満点で進んでいき、圧巻は機材
 搬送用の大型トラックから机の上に設置した蛍光灯のヤグラへ目掛
 けてモンドとジミーが心中落下するシーン。大日本などでも観られた
 スポットなんやけど、確かにこれは凄いワ。乱戦の中で要所要所をキ
 チンと締めたモンドは極上品やし、ジミーにしてもXPW在籍時の長髪
 をバッサリと切り捨ててイメージは一新されとるけど、クレイジー・バン
 プを志願する潔さは変わっておらず、実に見ごたえのある一戦や。
 驚愕の心中落下の後なので勝敗なんて二の次なんやけど、とりあえ
 ずモンドがジミーを下して準決勝進出となっております。
FBackseat Boyz vs Sonjay Dutt & Derek Frazier vs
 GQ & Chri$ Ca$h vs Jon Dahmer & Towel Boy
  参加選手の消耗度が激しいZ・U・V・T・O・D、予選終了後すぐに
 準決勝を始めるのは余りに無茶なので、本試合と次の試合を息抜き
 として組んだ模様。まずは4チーム参加による勝ち残り式のタッグ戦
 で、人気チームのバックシート・ボーイズが順当に勝利を収めました。
 尚、最後まで残ってバックシート・ボーイズと直接対決となったニュー
 ・スクールなるユニットの片割れ、いかにも“アッパー系”のドラッグを
 キメて(実際はどうなのか知らんけど)いるみたいでしたワ。
 CZWもドラッグ検査は必要か(全員陽性では洒落にならんな、苦笑)。
GJustice Pain vs Nick Berk vs Ruckus
  CZW認定のヘビー級ベルトを保持するペインを中心に組まれた3
 WAY戦。どうもベルトは懸かっていないようで、ここでは王者ペインで
 はなくってトリッキーな動きを随所に見せるラッカスを思う存分堪能し
 てくれって試合構成。コーナーからコーナーへの前転式バァン・ダミネ
 ーターなんて最高の見せ場やし、最後も一瞬の丸め込みで試合に幕
 を引きよりました。ラッカス、なかなかやりよりますな。 
HNick Gage vs Wifebeater :
 Panes of Glass Match
  この頃から夕闇が迫って来ており、加えて小雨も振り出した模様で、
 こうなると屋外興行では一気に観戦意欲が萎えてくるものです。
 お客の観戦意欲を維持させ続けるなら必然的に試合の質の向上を要
 求されてしまいますな。で、そんな不利な条件下始まったZ・U・V・T・
 O・Dの準決勝〜決勝の3試合。先ほど試合の質の向上と記しました
 が、ウルトラ・バイオレンスと銘打っているトーナメントなんやから当然
 向上させるべきはデンジャラスなスポット。で、CZWは見事にその期
 待に応えてくれよりました。
 まずは四方のコーナーに巨大ガラス板を設置し、ゲージと『妻殴り』が
 激突。もちろん両者共にガラス板に突っ込んで被弾し、アッと言う間に
 リング上はガラスの破片で足の踏み場もないほどに。これ、どこまで
 事前に意識していたのかは不明ですが、結果としてガラス板戦がガラ
 ス破片戦へと変貌を遂げているんですワ。しかもここに『妻殴り』が
 鋲を付加したものやからもうメチャクチャ。両者全身血まみれのまま、
 最後はゲージが『妻殴り』によりガラス片+画鋲地獄へと突き落とされ
 て悶絶死。こんな試合なら少々の小雨なんて気になりまへんな。
I"Sick" Nick Mondo vs The Messiah :
 Fans Bring the Weapons Match
  続いてZ・U・V・T・O・D準決勝第2試合。リング登場早々メサイアが
 笑顔で指差す先には、前記した以前所属していたXPWのオーナーで
 あるロブ・ブラック氏を揶揄する『FUCK ROB BLACK』のプラ・カード。
 けどチョット考えなあかんよ。メサイアがブラック氏とトラブッてXPWを
 飛び出さなければ、メサイア対モンドなんて黄金カードは実現せんかっ
 たんやから。そう、ブラック氏にCZWファンは感謝せんとね(苦笑)。
 試合はファンの持ち寄ったそれぞれ趣向を凝らした凶器が蛍光灯の山
 と共にリング周辺に設置され、CZWの主流派同士握手を持ってゴング
 となりました。けどいくら握手で始まっても、試合のむごたらしさはこれ
 また格別。最後はメサイアによるレフリー誤爆スポットやロボら反主流
 派の介入もあってメサイアに土が着くんやけど、ま、こんな理由でもな
 いとモンドが主流派の大番頭メサイアに勝つ訳にもいかんからなァ。
【追記】
  実はこのトーナメントの1ヶ月前である8月1日、メサイアは暴漢2人
 に自宅のアパートを襲撃され、なんと右手の親指を切り落とされるって
 目に遭っているですワ。ちなみに暴漢2人を雇ったのは、奥方でありA
 V女優でもあるリジー・ボーデン嬢をメサイアに寝取られたと怒り狂う
 ロブ・ブラック氏であるとの噂もチラホラと...。
 って事で、この『FUCK ROB BLACK』ってプラカードは、そんな噂を
 聞き付けたファンが作ったんやろね。それにしても右手の親指を切断
 されてまだ1ヶ月やのに、よくもまぁメサイアも試合なんてしよるよな。
JWifebeater vs "Sick" Nick Mondo :
 200 Light Tube & Barbed Wire Match
  いよいよZ・U・V・T・O・Dの決勝戦。N・ブッチャー、ゲージを破った
 『妻殴り』と、ジミー、メサイアを破ったモンドによる激突ですワ。
 もうこの頃になると予選道中で使用された蛍光灯やガラスの破片、
 画鋲などが、いくらモップ等で掃除をしようとリングの上やリングの下
 に散乱したまま。そこに改めて山盛りの蛍光灯と有刺鉄線がロープ
 に設置され、これでこれから開始される死闘の舞台も整いました。
 そしてまずはモンドからリング・イン。片手には相手の負傷箇所に擦
 り込んで激痛を与えるための荒塩が入れられたバケツを持っており、
 大日本からのアイデア流用が伺えます。
 片や 『妻殴り』もトレード・マークと化している携帯式の電動芝刈り
 機を振り回して登場し、遂に運命のゴングは鳴りました。
 で、試合の内容なんやけど、これがまた底抜けの流血戦へと発展。
 両者ともに蛍光灯の山へ率先してガンガン突っ込んでいくのやから
 大流血も致し方ないところなんやけど、背中一面まるで赤い絵の具
 を被ったかの壮絶さには、デス・マッチ大好き野郎のワシも言葉を失
 いましたワ(いや、ホンマに)。
 最後は 『妻殴り』がモンドの腹部に携帯式の電動芝刈り機を見舞
 い、モンドが力尽きてしまいました。それにしても芝刈り機を当てら
 れた瞬間、モンドの身体から血と汗と皮膚の残骸のようなものが宙
 に舞うんやけど、ワシの背筋も一瞬凍りついてしまいましたデ...。
 けどこれだけの内容の試合、もう勝者も敗者もおまへん。
  『妻殴り』とモンドはどちらともなく手を差し伸べて握手を行い、続い
 て互いの負傷箇所を慈しむように熱い抱擁。
 ここでジミー、インセイン、N・ブッチャーらの乱入があるんやけど、 
 ゲージ、ヘイトリッド、ザンディグも現れて乱入者を排除。
 ザンディグの音頭によって客席も一体と化した大団円へと移行する
 ことになり、狂熱のライヴ『ザンディグのウルトラ・バイオレンス・トー
 ナメント・オブ・デス』は幕となりました。

【総評】大流血となった『妻殴り』とモンドと共に、バック・ステージで
 ザンディグが吠えるんです。ワシ、英語が苦手やから詳細は分から
 んのやけど、どうも『妻殴り』とモンドを誇りに思い、返す刀でCZW
 に敵対心を抱くXPWに、お前らここまでやれんやろって宣戦布告し
 とるみたい。けどメサイアやジミーといった、これまでXPWを身体を
 張って支えて来た選手がごっそりCZWに移籍(ワン・マッチ契約の
 選手も居てるやろけど)してしもたよって、ザンディグの不安と心配
 は多分現実のものにはならんのやろな。
  それと最後にモンドについて一言。こいつ、恐れを全く感じぬムー
 ブやバンプを連発し、しかも試合の随所にキラリと光るレスリング・
 センスを見せよります。マスクも悪くはないし、サブゥに身体的な衰
 えが感じられる今日、21世紀のデス・マッチをリードしていくのはこ
 いつやないかってワシは思うんですワ。
 それが証拠に今回の『ザンディグのウルトラ・バイオレンス・トーナ
 メント・オブ・デス』はザンディグのプロデュースによる、モンドの、モ
 ンドによる、モンドのための興行と言っても過言ではない内容。
 勿論モンドもザンディグの積極的な売り出しに、身を挺して応えた
 んやけど、ザンディグのモンドに寄せる絶大な期待も否定は出来ま
 へん。これからのモンドの活躍が実に楽しみやなァ。


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