では収録内容の詳細を

THE GREAT AMERICAN BASH 1985 (VHS
-TAPE)
(約60分収録)
 『グレート・アメリカン・バッシュ』の第一回の模様を収めた未開封VHSテー
プを、ごく少数ですが倉庫より発見しました。このテープは当時定価40ドル
発売されたものです...。
これ、2004年10月末に米国のプロレス通販サイト『HIGHSPOTS』に掲載
された宣伝文句でして、そんなにレアなブツなのに何故か9.99ドルで注文
を受け付けておりましたんや。
デッド・ストック(?)として米国の倉庫で20年近く眠っていたらしいVHSテー
プが21世紀の今日に鑑賞の耐え得るのか。いくら未開封でももはや磁性体
が劣化しているのではないか。なんともインチキ臭い宣伝文句と共にワシの
関心を惹き早速オーダーしてみたら、約五時間後には発送したってメールが
届きました。先方、余程こちらの心変わりによる注文キャンセルが怖かった
やろね(大笑)。
 さてさて『グレート・アメリカン・バッシュ』。WCWを併合したWWEが2004
年の6月27日に、毎年6月に開催していた恒例の『キング・オブ・ザ・リング』
の代わりに復活させた事が話題になったばかりですが、これって元々は本
テープに収められている1985年7月6日が初開催の非常に由緒のある興
行名。NWA〜WCWと主催元の名前は変わってもアメリカン・プロレスの歴
史にしっかりと足跡を残して来た、言わば“金看板”の一つです。
ではNWA(っ言うよりもジム・クロケット・プロモーション/クロケットは当時の
NWA会長)がノース・キャロライナ州シャーロッテ(ご存知クロケット・プロの
膝元やね)のシャーロット球場に32,000人もの大観衆を集めてブッ放した
第一回『グレート・アメリカン・バッシュ』の模様を早速ご紹介いたします。
尚、ビデオの中ではGORDON SOLIEさん(フレアーのDVDなどで見かけ
るあの名物実況者なんでしょ?)とBILL APTERさん(プロレスリング・イラ
ストレイテッド誌の編集者なんでしょ?)がホストを務めておりまっせ。
それと総収録時間が60分って事でお分かりでしょうが、どの試合もダイジェ
スト収録となっております。

追記:ワシもまだまだアメ・プロについては勉強中の身。特に今回のレビュー
には間違いが多数散見されるでしょうが、ドシドシと間違いは指摘してね。

@"Cowboy" Ron Bass vs.
 "Nature Boy" Buddy Landell (w/J.J.Dillon)
  まずはフレアー二世と言うか、ニセ・フレアーと言うか、なんとも微妙な立
 ち位置のバディ・ランデルがロン・バスと闘うって試合。マネージャーのJJ
 ディロンが繰り出すセコな反則が堪らなく泣ける内容でして、ロン・バスの
 ヒートを買ったディロンが逃げ場を求めてリング上に上がりランデルと正面
 衝突するなんて場面も演出し、ロン・バスの勝利で試合は幕となりました。
 尚、ネットで調べたところ、この直後の1985年8月にランデルはフレアー
 の世界王座に挑戦したそうです。またJJディロンは“本家”フレアーのマネ
 ージャー役にちゃっかり納まり、フレアーが組織する『4人の騎士達』のキー
 ・パーソンに。ランデルはオカマ・キャラに転じて(身を落として?)、そのJJ
 のペット役になってしまうんや。
ANational Tag Team Title Match :
 "The Minnesota Wrecking Crew" (Ole & Arn Anderson)
 vs. "Mad Dog" Buzz Sawyer &
 "The Unpredictable" Dick Slater
  前述した『4人の騎士達』ではフレアーの両脇を固める事となる、地味な
 がら実に渋く絵になるアンダーソン兄弟(あ、業界兄弟やデ、念のため)が
 タッグ王座を賭けスレイター&ソイヤーの挑戦を受けた試合。
 レフリーのブラインドを突き、オレイがソイヤーにノー・タッチでエルボーをブ
 チ込んで快勝ですワ。ワシ、アンダーソン兄弟の試合運びには常々感心さ
 せられているので、ダイジェストではなくって完全版で観たかったですワ。
B"Avalanche" Buzz Tyler & Sam Houston &
 "Raging Bull" Manny Fernandez
 vs. Konga the Barbarian & "Superstar" Billy Grahm
 & Abdullah The Butcher
  グラハム、ブッチャー、バーバリアン、フェルナンデスの四人はワシもよく
 知っているのですが、バス・タイラーとサム・ヒューストンについてはちょっ
 と勉強不足。で、さっきネットで調べてみたんですが、タイラーはミッド・アト
 ランティック地区で“狼酋長”ワフー・マクダニエルと抗争を繰り返した猛者
 (全日本プロにも一度だけ来日)で、ヒューストンはグリズリー・スミスの息
 子であり、ジェイク・ロバーツの血縁でもあるそう。
 こうして昔のビデオを鑑賞し、年季者のファンの方々なら先刻ご存知であろ
 う事柄をアレコレと調べてみるのも結構楽しいものですな。
  さて試合なんですが、フェルナンデスの活躍とブッチャーの“機敏な動作”
 が印象に残っている程度。また当時ですら盛りの過ぎていた(?)グラハム
 などはリングに入ろうとしてサード・ロープに足を引っ掛けズッこける始末。
 最後は6選手全員が入り乱れて乱戦の中、グラハムがヒューストンに綺麗
 に丸め込まれてフォール負け...。落日の“スーパー・スター”ビリー・グラ
 ハムを見せ付けられてしまいましたワ。
○ジミー・バリアントとポール・ジョーンズの抗争史
  ビリー・グラハムやバーバリアンを操ってポール・ジョーンズがジミー・バリ
 アントを襲撃。両者の遺恨の火は燃え盛っておりまっせ!!。
CDog Collar Chain Match :
 "The Boogie Woogie Man" Jimmy Valiant (w/Buzz Tyler) vs.
 "Manager #1" Paul Jones (w/Abdullah the Butcher)
  って事で『犬の首輪装着戦』。これで“ブギウギ・マン”ジミー・バリアントと
 ポール・ジョーンズの間に積もり積もった遺恨を清算しようとの狙いか。
 けど試合前の首輪装着の際にひと悶着が発生や。なんとジョーンズのセコ
 ンドについたブッチャーが十八番の五寸釘攻撃をバリアントに見舞う場面
 若き日のアル・ヘブナー(現WWE長老審判)が痛恨(笑)の見逃し!
 これにて額を裂かれ流血を強いられる事となったバリアントですが、終盤に
 待ってましたのブギウギ・ステップを披露し、ジョーンズとブッチャーの同士
 撃ちを誘い大逆転の勝利をゲット。ウン、なかなか楽しめる試合でした。
DNWA World Tag Team Title
 vs. AWA World Tag Team Title Match :
 Ivan Koloff & Krusher Kruschev
 vs. The Road Warriors (w/Paul Ellering)
  NWAのタッグ王者組がイアン・コロフとクラッシャー・クルスチェフ。対す
 AWAのタッグ王者組がロード・ウォリアーズ。これまた実に豪華なマッチ・
 メークなんですが、ダブル・タイトル戦となるとまたもや若き日のアル・ヘブ
 ナー(しつこいようやけど、現WWE長老審判)には少々荷の重い試合。
 コロフ&クルスチェフから成る『ソ連』コンビの持ち出したパイプ椅子を巡っ
 て突如(いや、狙ったように、か)勃発した乱戦を両チーム反則とするのが
 精一杯でした。いやはや、ヘブナーさん、ホンマにご苦労さんです。
○場面は変わって...
  ベリー・トゥ・ベリー・スープレックスを使ってマグナムTAが向かうところ敵
 なしの連戦連勝中。
EUnited States Title Match :
 Magnum T.A. vs. Kamala (w/Skandor Akbar)
  5大タイトル戦の組まれた本興行。お次はマグナムTAの保持するUS王
 座のベルトにカマラが挑むって一戦。カマラのマネージャーがステッキ片手
 に試合に乱入した途端にリング・ベルが鳴って、試合は少々欲求不満気味
 の幕引きに。けど安心してや。マグナムTAが巨漢カマラをベリー・トゥ・ベリ
 ー・スープレックスで投げて(ちょっと苦しそうでしたが)、自ら3カウントを数
 えましたんや。勿論試合はカマラの反則負けなんやけど、これでマグナムT
 Aも、お客様方も溜飲が下がったでしょ?。
○場面は変わって...
  フレアーの保持するNWA認定の世界王座に照準を絞ったニキタ・コロフ、
 イアン・コロフをパートナーに、打倒フレアーの猛特訓を開始!!!。
 フレアーの写真を貼り付けたサンドバッグにラリアートをブチ込み(爆笑)
 Vの定期放送ではインタビュアー役のデヴィッド・クロケットに狼藉三昧。
 前哨戦だと怒り心頭のフレアーがスラックス姿で奇襲に現れるって場面も
 って、正直ここだけでもこのビデオ・テープを買った甲斐があったと実感した
 次第です。
FNWA World Title Match :
 Ric Flair vs. Nikita Koloff (with Ivan Koloff)
 (Special Guest Referee/David Crockett)
  ニキタ・コロフのリング・インがあり、さてフレアーの登場となった途端、
 場には何処から飛んで来たのかヘリコプターが一台。ここに『2004年宇宙
 の旅』が鳴り、なんとも豪華って言うかアホ丸出しって言うかフレアーのお
 ましとなりまた。ヘリコプターの着陸と共にフィールドにはリングへ続く赤い
 絨毯が敷かれ、その上を黒と白を基調としたガウンを羽織って歩を進める
 WA世界王者のフレアー。まさにクロケット・プロモーションの持てる力を全
 結集した瞬間なんでしょうな。
 ただフレアーの『ダーティ・チャンプ』振りを期待して本試合を観るとちょっと
 肩透かし。ま、シャーロッテって土地柄を思うと、クロケット&フレアーのバリ
 バリのお膝元な訳で、本興行も言わばシャーロッテのファンに向けた『クロ
 ケット・プロ主催の感謝祭(主演:リック・フレアー)』って感じやし、しかもフ
 アーの保持する世界王座のベルトを付け狙うのが『ソ連』所属のニキタ・コ
 フやから、フレアーもファイト振りがベビー・フェイスとなっても仕方ないな。
 それに今日ワシらが容易に目にする事の出来るフレアーの試合の映像っ
 圧倒的に『ダーティ・チャンプ』振りを収めたものが多いはずやから、本丸中
 の本丸であるシャーロッテでのフレアーのベビー・フェイス振りってのも一
 はキチンと観ておくべきかもね。
 で、肝心の試合なんですが体格に勝るニキタ・コロフの猛攻にフレアーが
 戦に回る場面も多々あり、しかも場外戦では鉄柱に額を打ち付けられ(待
 てましたの)大流血。終盤イアン・コロフの介入に激怒した観衆達(若手レ
 ラーには見えなかったです)がフレアーを救えとリングへ雪崩れ込むなんて
 緊迫した場面もあって、最後はロープ際でもつれた両者、ニキタ・コロフの
 ディ・スラムをフレアーが崩してやや無理やり気味の3カウントですワ。
 リング・サイドの観客は総立ちで、まだまだ先程の観衆による『ソ連』コンビ
 襲撃の余韻も消えておらず、「皆様冷静にお願いします!」ってアナウンス
 の中、『ソ連』コンビによる鬱憤晴らしのフレアー蹂躙が始まりました...。
○場面は変わって...
  タリー・ブランチャードと女子マネのベイビー・ドール、ローデスとの一戦に
 向けて絶好調。前哨戦であるローデス&マグナムTA対ブランチャード&ブ
 ッチャー戦ではベイビー・ドールがリングに上がってブランチャードに『何か』
 を手渡し。なんとこれが『火炎攻撃』の種でして、ローデスは右目を焼かれ
 てしまいますんや。当然ローデスも得意の舌戦を披露し...。
GNWA World TV Title Cage Match :
 Tully Blanchard (w/Baby Doll) vs. Dusty Rhodes
  って事でローデスとブランチャードの直接対決。ここまで抜き差しならぬ状
 況となった手前、通常の試合形式ではどちらも納得しないと判断したのや
 ろか、金網戦での両者の激突となりました。しかもどうやらローデスが勝っ
 た場合は女子マネのベイビー・ドールを30日間所有出来るって非常にベタ
 なオマケ・ルールも用意されている模様。
 さて注目の金網戦なんやけど、これはもうローデスの独壇場。やっている
 って言ったらエルボーをブランチャードに叩き込むだけなんやけど、さすが
 これだけ(失礼)でメシを食っている人は違いますワ
 当然金網に叩き付けられての流血も用意されており、流血を強いられた事
 によって逆に勢いを取り戻したローデス、試合の後半を支配して一方的に
 ブランチャードを猛攻撃。金網にブランチャードの額を押し付けて額を切り
 き、エルボーを雨あられとブランチャードの脳天にお見舞いや。
 ブランチャードの劣勢を嗅ぎ取ったベイビー・ドールがブランチャードに凶器
 を仕込んだ(?)エルボー・パッドを手渡したものの、直後にローデスのパイ
 ル・ドライバーが火を噴きブランチャードは轟沈。
 折角の凶器封入(?)エルボー・パッドを活用する場面を作り出せなかった
 のはどう言う事なんやって両人に詰め寄りたい気持ちもありますが、これで
 ローデスの手にはTV王座(4月28日にブランチャードに奪われたもの)と
 ベイビー・ドールの30日間所有権が転がり込んで来ました。

【総 評】
  僅か60分のダイジェスト収録のVHSテープでしたがクロケット・プロ主催
 による地元シャーロッテのファンへの感謝祭、存分に楽しませていただきま
 したワ。未開封であったとは言うものの20年近くを米国の倉庫の片隅で過
 ごしたVHSテープについては、当初は手にしただけで磁性体がポロポロと
 剥がれ落ちるんやないかって思ったけど、これもつまらぬ危惧に終わって。
 これなら過去の映像のDVD化を待つって受身の姿勢やなしに、デッド・スト
 ックもののVHSテープを発掘するって攻めの姿勢もワシら映像収集家に
 “あり”かな、と。しかも相手は大量生産大量消費が専売特許の米国や。
 多分全米各地の巨大倉庫には封も切られぬまま置き忘れられた貴重なV
 HSテープがアチコチに眠っているはず。さぁ『HIGHSPOTS』の社員さん、
 次の発掘を期待してまっせ(笑)。
 あ、そやけどこれって結局は発掘を待っている事となってしまうんやね。
 ウーン、ジレンマ。 


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