では収録内容の詳細を

BATTLE OF THE BUTCHERS 2004-10-5
(DVD-R)(約1時間32分収録)
 本作はDVDではなくって、DVD−R。毎度お馴染みSMARTMARKから
20ドルにて発売されている団体公認(?)の代物でして、ワシは我が国で唯
SMARTMARKのオフィシャル・ショップをされている大阪梅田のイグニッ
ション・レコードさんで2,900円にて購入しました。
別にイグニッション・レコードさんに義理立てするつもりはないけど、米国から
通販で購入すると送料込み27ドル必要となるので2,900円ってのは非常
に良心的ではないやろか。
さて本DVD−Rの内容は2004年10月5日にウエスト・ヴァージニア州のナ
イトロ・コミュニティ・ホールにてIWA−EastCoastが開催した、記念すべき
団体旗揚げ興行を完全収録したものですんや。
で、IWA−EastCoastって新興団体なんですが、多分地元のデス・マッチ好
きが小銭を持ち寄っての旗揚げなんでしょうな、オーナー等が誰なのかはち
ょっと調査不足ですが、でも主に米国のフリーのデス・マッチ・ファイターを招
聘するって姿勢は、CZWが最近デス・マッチ路線から徐々に外れつつある
のを寂しく感じているワシには嬉しい限り。
しかも今回の旗揚げ興行には日本からも寄り抜きのデス・マッチ・ファイター
が招聘されていて...。では早速レビューへと進みましょか。

○興行に先立って...
  有刺鉄線バットを振りかざしたクソ・ガキ風のレスラーを先頭に、緑色の
 ャージで衣装を統一した5人組が登場。どうも当団体の不満分子(今日が
 旗揚げやのに、不満分子ってのも変やけど)どもみたい。マイクで一席ブチ
 上げてさっさと控え室に帰ってしまいましたワ。
 あ、どちらさんか、彼等のユニット名をご存知やないですか?。
@Zach Gowen vs. El Drunko
  旗揚げ興行のオープニング・マッチに現れたのは缶ビールを片手にした
 ジャケット着用の覆面レスラーのエル・ドランコ。多分“酔っ払い”をラテン
 読みするとこうなるんでしょうな。ま、一見するととことん役立たずそうな感
 じでして、先程の緑色の5人組がサポートに付いてます。
 で、“酔っ払い”の相手を務めるのが『義足のレスラー』としてWWEで一世
 を風靡したザック・ゴーウェンその人。
 なにやらバック・ステージでの態度が悪くってWWEから放り出されたなん
 て噂もありますが、こうしてドサを回ってまだプロレスをやってたんですワ。
 さて試合ですが、“酔っ払い”がザックを片逆エビ固めに捕らえたところでザ
 ックが自ら義足を取り外し、“酔っ払い”はそれに気付かず暫く義足のみを
 締め上げ続けるなんてベタなネタが開始早々あり、この後に“酔っ払い”が
 義足を持ってHBKばりのスーパー・キックを一閃。間髪置かずに今度は義
 足でホーガンばりのレッグ・ドロップを落とすって戦法に移行や。
 WWEでは放送倫理もあってか使えなかった過度の義足ネタを、これでも
 かと連発で披露しまくってくれましたデ。 
 で、最後はザックがこれまたホーガンばりにハルク・アップし、コーナー最
 上段からの月面水爆にて幕引き。身体のハンディを最大限に活かしたザ
 ックの、ある意味開き直った芸が心行くまで堪能出来る試合でしたワ。
 尚、さっき気紛れで『エル・ドランコ』とネット検索してビックリしました。この
 “酔っ払い”って大日本プロに来日した事があるんやね。
 ザックが来ていたのは知ってましたが、フーン、そうやったんかって。
 最近ワシもめっきり日本のインデー(←小鹿社長を意識してみました)と疎
 遠やからなァ。
AMickie Knuckles vs. Allison Danger
  第二試合は女子選手の登場。IWA−MIDSOUTHの総帥イアン・ロット
 ンに師事する小太りのミッキーと、そのミッキー同様IWA−MIDSOUTH
 が開催した女子王座を巡るワン・ナイト・トーナメントに出場していたアリソ
 ンの激突や。しかも試合を裁くのが大日本プロレス出身の元女子レスラー
 兼レフリーである李日韓でっせ。試合開始早々に李を絡めた三人芝居を配
 置し、中盤のアリソンによるネチネチとした攻めを受け切ったミッキーが綺
 麗な人間橋を描いたスープレックスにより勝利を得ております。
BChris Hero vs. "Double C" Claudio Castagnoli
  米国独立団体を渡り歩く腕達者なクリス・ヒーローが登場。今夜は胡散
 臭そうな笑顔がちょっとWWEのクリスチャンを思わすダブルCと対戦や。
 ダブルCによる風車式バック・ブリーカーなんて大技披露もありましたが、
 ウラカン一発でヒーローが貫禄勝ちを収めております。ただ今夜のヒーロ
 ー、ドサの回り過ぎでちょっとお疲れモードやったのか、ムーヴのひとつひ
 とつに今ひとつキレがなかったように見えましたワ。“日銭商売”やから、
 日々試合をこなしてナンボの世界。仕方ないとは言え、残念でしたな。 
CDaisuke Sekimoto vs. Ian Rotten
  Aの試合を裁いたばかりの李日韓が打ち振る日の丸の旗に先導されて
 試合会場に姿を見せたのは、大日本プロレス所属の関本大介。IWA−MI
 DSOUTHの総帥イアン・ロットンを相手の試練の試合や、これは関本も血
 ダルマにされよるんやろな。と、こちらも意気込んでモニター画面を凝視い
 たしましたが、両者の握手から始まった本試合は腕の取り合い、グラウン
 ドでの攻防と、流血大好き野郎のロットンらしからぬ展開に。そらあのロット
 ンがグラウンドをやるんやから物珍しいと言えば物珍しいんやけど...。
 結局最後まで流血の場面には至らぬまま、スマートさに全く欠けたゴツゴ
 ツとした本試合は、関本の豪快なバック・ブリーカーによりロットンが戦意喪
 失の意思表示をしてジ・エンド。ウーン...。
DDouble Tables Match :
 Ryuji Ito (w/Daisuke Sekimoto) vs. Mad Man Pondo
  関本に続いてリングに上がったのは、大日本プロレス期待の伊藤竜二
 我が国でもお馴染みのポンドを相手の試合でして、しかも本試合を裁くの
 伊藤の奥方の李日韓なんですワ。なんか、とことん大日本プロレス色の強
 い試合ですな(苦笑)。で、試合の方なんですが、まずはコーナー最上段か
 らDDT風にポンドが伊藤をテーブル葬。続いて戦いの場を場外に求めた二
 人、ここでは伊藤による雛壇席中段からダイヴィング・ボディ・プレスによっ
 て見舞われる二連テーブル葬がポンドを見事に撃沈や。
 この後リングに戻った二人、いよいよフィニッシュの時間かと思った途端、
 狙い澄ました伊藤のフライング・ニール・キックが、見事(?)に奥方の李に
 命中。これにより李が痛恨の失神状態となり、旦那様である伊藤によるポ
 ンドへのタランチュラ〜テーブル葬を見逃し(旦那の晴れ姿やったのに!)。
 一気に混迷の度が深まったリング上には、何処から現れたのかトゥー・タフ
 ・トニーが姿を見せ伊藤に卑劣極まる奇襲攻撃や。すかさずポンドが伊藤
 カバーし、なんとも最悪のタイミングで李が意識を取り戻して3カウントを。
 「お前は何を見ていたんや!」、「アンタがワタシを蹴ったからでしょ!」
 多分今夜の伊藤家は大日本プロ顔負けの血の雨が降るはず。頼むデ関
 本、二人を上手い事取り持ってやってや...。
EAbdullah the Butcher vs. Necro Butcher
  IWA−EastCoastの記念すべき団体旗揚げ興行、メイン・エベントは『黒
 い呪術師』アブドーラ・ザ・ブッチャーと『死体解体人』ネクロ・ブッチャーの
 合わせや。そう、共に芸名に“ブッチャー”を冠した二人による激突ですワ。
 さて試合なんですが、ネクロによる頭突きとビッグ・ブーツ攻撃から始まり、
 早速ここでネクロが掟破りの五寸釘攻撃を“呪術師”にお見舞い。当然この
 攻撃で“呪術師”の額がバックリと割れたんですが、ネクロの猛攻もここま
 ででした。“呪術師”がビール瓶をカチ割って即席で作った凶器を振り上げ、
 ネクロの額目掛けて残酷な一撃を。勿論ネクロの額もバックリと割れて大
 流血となり、後は“呪術師”による地獄突き〜毒針エルボーの必殺フル・コ
 ースをたらふく浴びての一方的な完敗ですワ。
 ま、ネクロについては来日した際に日本が誇るデス・マッチ大王のミスター・
 ポーゴと試合を行い、ポーゴの鎖鎌によって額を裂かれてご満悦だったと
 『温泉馬鹿のロ暴さん』も報告されていたように、根っからのデス・マッチ・
 タクみたいやから、これで本人も大満足なんでしょうな。
 そらワシかって身体が頑丈なら、一度は“呪術師”に血ダルマにされた末に
 地獄突き〜毒針エルボーを喰らってみたいモン。気持ちは分かるデ。
 師匠の名人芸を直々に味わえたネクロ、ホンマに幸せモンやなァ。


 報!!
 私どものHPによく遊びに来ていただいている『温泉馬鹿のロ暴さん』が、
本興行の周辺情報を報告して下さいました。
正直、ワシの適当すぎるレビューより貴重な情報が満載。
掲示板に置いておくのも勿体無いので、以下に転載いたしました。


◎エル・ドランコの正体は、これはオープンになってることだと思うんで書き
 ますが、IWAミッドサウスなどでも活躍している「蜘蛛ネイト巣」の選手です。
 大日本では、札幌では、それぞれのキャラで、1日2試合することもあった
 ようです。
 後楽園ではドランコのキャラしか見せませんでしたが、いい選手でした。

◎ザック・ゴーウェンは、現役の大学生で、WWEに在籍してる間は休学し
 ていたはず。大日本に参戦の後は、大学に戻るみたいなことをインタビュ
 ーで言っていたので、インディのドサはパートタイムジョブ兼エクササイズ
 感覚で参戦しているのではないかと。
 ブッカーのポンドとは仲がいいようで、大日本に来たのもポンドのライン
 からでしたが、今回もそうなのでしょう。
 障害者ネタは場合によっては凄く感動的なシーンになるけれど、味付けを
 ひとつ間違えると観客もドン引きとなってしまいます。
 難しいアレというか、諸刃の何とか、というやつでしょうか。

◎アリソン・デンジャーの本名はアリソン・コリノ。某選手の実妹です。
 で、このアリソンと付き合っているのが、この日の興行にも参戦している
 某「英雄」を名乗る選手である、ということをこの「英雄」選手が来日した
 ときに、同時期に来日していた某覆面選手から聞きました。
 真偽の程はアレですが、まあ、ちょっとしたゴシップネタということで。

◎関本とイアン・ラトゥンについては、おそらくは「日本でも報道されるだろ
 うから、関本アップで」というアレだったんでしょうが、イアンにしてみれば
 「自分の得意分野のデスマッチで自分がダウンするのは嫌だから、通常
 の試合形式ということなら自分のダウンを受ける」ということだったのでは
 ないでしょうか。
 それと引き換えに、セミでは「デスマッチでポンドがアップ、伊東がダウン、
 ただし見逃しジョブで」という感じだったのではないかと。

◎ネクロ・ブッチャーに、先月、後楽園での試合後、アブドーラ・ザ・ブッチャ
 ーと戦ったことについて聞きました。
 ネクロさん、その日の試合で体中を痛めたようで、足を引きずってまして、
 あまり長い時間は取れなかったのですが「フォーク・スタンプ(攻撃)をたく
 さん食らったよ」と、嬉しそうに言ってました。
 やっぱりコイツは、根っからのデスマッチ・オタです。

◎アブドーラ・ザ・ブッチャーが大日本に参戦していた頃、グリーン中のグリ
 ーンボーイだったのが、伊東&関本だったわけで、IWA東海岸のリングで、
 懐かしの再会だったんでしょうなぁ。

◎あと、この日の興行というか、この団体は、ポンドによって成り立っている
 と言っていいでしょうね。日本のファンにも注目されるような、これだけのメ
 ンバーが揃うのは、一重にポンドの顔の広さによるところでしょう。
 ザックも、IWAミッドサウスの選手も、当然大日本の選手も、ポンドが声を
 かけたのは間違いないと思います。
 ポンドは他にもICP(だっけ?プロレスもやるラップ軍団)とも仲がいいし、
 あの「配下選手への面倒見はいいが、業界内で縄張りの外に対しては大
 トラブルメーカー」とされているザンディグ親分とも友人同士で、うまくやって
 るようですからね。

◎ビッグビジネスにはなかなか繋がらないかもしれませんが、彼のような存
 在が、日米のインディマットを面白くするキーパーソンだと思うので、これか
 らも、デスマッチファイター兼マルチなブッカーとして、手腕を発揮して欲し
 ものです。


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