では収録内容の詳細を

Best of the Extreme Fancam Vol. 1
(DVD-R)(約1時間56分収録)
 本作はDVDではなくって、DVD−R。米国のRF−VIDEOってちょっと怪し
いプロレス・グッズの通販屋から1枚15ドルで発売されている代物です。
さてこのRF−VIDEO、元々はECWの映像部門を担当していた人達が立ち
上げたお店のようで、現在は日本の新しいもの好きのアンテナの高いマニア
さんが注目している新興団体ROHも実質上経営しとるみたいや。
ま、ROHについては別に紹介欄があるので割愛して、ECWに戻りますワ。
このRF−VIDEOってお店、前述したようにECWの映像部門を担当してい
た人達が運営しているお店なので非常にECWの映像が充実しており、映
像商品としてHPに掲載されているECWの興行数は尋常やないんです。
多分最初期以外の興行なら大抵が揃うと思いますし、PPVではない通常の
ハウス・ショーでの映像も勿論あるので、当時のドサ回り興行でどの様なカ
ドが組まれていたのかも分かることから、RF−VIDEOの商品紹介欄は各
興行のデータ・ベースとして活用することも可能ですんや。
ただこれまでRF−VIDEOはVHSテープでの映像販売が主流でして、しか
も120分テープに2倍速なんて実によく分からないフォーマットで収録されて
おり、最近のデジタル化の波にはちょっと乗り遅れている感がありました。
けどRF−VIDEOも遂にデジタル化に乗り出すつもりなんでしょうか、遂にE
CWの当時の映像がDVD−R化される事に!。
で、栄えあるDVD−R第1弾となったのが本作。98年から00年にかけての
ECWのドサ回り興行の模様がオムニバス形式で収録されたものですワ。
尚、本作の元ネタ映像ですが、RF−VIDEO差し向けのカメラマンがECW
に許可を得てハンディ・ビデオで試合の模様を収めたものでして、画質的に
はマスター・テープから極めて近い(マスター・テープ直落しかも?)世代のテ
ープよりDVD−R化されており全く問題はなし。
でもハンディ・カメラ一台の映像なのでちょっと落ち着きがないのが欠点か。
そう、サムライTVのプロレス・ニュースのコーナーでハンディ・カメラの映像に
より試合経過が報告されますが、あれと同じレベルの映像と考えていただけ
ると分かりやすいかも...。

@Taz vs. Bam Bam Bigelow
 Northeast Philadelphia, Pa 6/20/98
  まずは98年6月20日のフィラデルフィアでのタズ対ビガロ。8月2日のP
 PV『Heat Wave’98』で一騎打ちが予定されていた両者の前煽りとも、舞
 台稽古とも取れるカードです。試合は両者のド突き合いから、いきなりの場
 外戦へ移行。当然ハンディ・カメラ片手の撮影者も両者を追い掛けるので
 すが、画像は揺れるし場外戦に巻き込まれてザーッとノイズが乗る事もし
 ばしば。まるで戦場カメラマンの命懸けのルポ映像のようですんや。
 早くリングに戻ってくれと撮影者は願ったでしょうが、一度火の付いた両者
 はそうそう思い通りにはなってくれまへん。なんとグッズ売り場を破壊しまく
 り、会場外にまで戦いの場を求める大乱闘。結局無効試合の裁定が下っ
 たようですが、前煽りと舞台稽古の両面での狙いは達成出来たみたい。
 リング上ではタズがマイクを持ち、「やれるならやってみろ、生き残ってやる
 ぜ!」と決め台詞を吐いておりまっせ。
ADudley Boyz (Buh Buh Ray Dudley & D-Von Dudley &
  Big Dick Dudley)(w/Joel Gertner) vs.
 Tommy Dreamer & Balls Mahoney & Axl Rotten
 Belmar, Nj 7/5/98 ? 
 Manchester, NH 7/11/98 ?
 Revere, Ma 7/12/98 ?
  他の試合は収録日時が収められているのに、本カードだけはなし。仕方
 なくRF−VIDEOの商品紹介欄にアクセスしていろいろと調べてみたんで
 すが、この頃は連日連夜同一カードが組まれておりましたそこでワシも理
 解いたしましたワ、これって大仁田時代のFMWでいつも組まれていた8人
 タッグと同じなんやって。そう、やっている事は毎晩一緒で、勝つ者負ける
 者だけが微妙に違う、所謂ドサ回り興行での定番試合なんですワ。
 ババ・レイがドリーマーをグッズ売り場のテーブル上でブレイン・バスターに
 沈め、気が付けば6人全員が大流血。試合の後半にはダッドリーズを援護
 しようとジャック・ビクトリーが加勢し、これによってドリーマーに土。ここで場
 内に『ナチュラル・ボーン・キラーズ』がガンガン流されてゴミ箱に凶器を山
 詰めにしたニュー・ジャック親分が颯爽と登場!。手当たり次第に凶器で
 ダッドリーズをボコり、ビクトリーには十八番の自殺ダイヴによるテーブル葬
 をお見舞い!!。ウーン、さすがは定番試合。これだけやってくれればお
 客さんは大満足で帰路につき、次回興行にも必ずや来てくれるはずや。
BSabu (w/Bill Alfonso) vs. Shane Douglas (w/Francine)
 Pittsburgh, PA 10/23/98
  98年10月23日のピッツバーグでの興行からチョイスされたのは、サブゥ
 とダグラスの一騎打ち。ピッツバーグと言えばダグラスの出身地でして、ダ
 グラスには凱旋試合って意味合いもあってか、後期ECWの主要興行では
 ほとんど(皆無かも?)戦う事のなかったサブゥとのレア・マッチを組んだみ
 たいなんです。ま、確かに直後の98年11月1日開催のPPV『NOVEMB
 ER TO REMEMBER’98』では両者を含む6人タッグ戦が予定されてい
 たため、その前煽りと位置付ける事も可能なんやけど、それにしてもこれは
 ホンマに貴重な映像やないかと思いますワ。その上、ダグラスの保持して
 いた世界王座のベルトが賭けられていた肝心の試合内容もこれまた充実。
 サブゥ得意の椅子を用いたトリッキーな攻撃から場外テーブル葬と、ダグラ
 スは終始押し込まれたままの状態で、止めにサブゥからの五寸釘攻撃まで
 を受け額から大流血。ここで両者がコーナー上段からリングに置かれたテ
 ーブルへもつれ合って落下し、ダブル・フォールの体勢。
 すると何処から現れたかサブ・レフリーが登場し、メイン・レフリーとともに3
 カウントを数えますんや。しかしこの二人のレフリー、片方はダグラスに軍
 配を上げ、もう片方はサブゥに軍配を上げるものやから、これでは収集が
 きまへんワ。しかもリングにはダグラス一派のキャンディードやビガロ、サブ
 ゥの盟友RVDが駆け付けて更に混迷度は深まるばかり...。
 以上、ダグラス大先生による、古のダブル・フォール劇を絡めた地元凱旋
 試合の模様をお伝えいたしました。ウン、これは大満足や!!!。
 あ、ボーナス・トラックとしてフランシーンちゃんと『オトコ芸者』アルフォンソ
 の男女キャット・ファイトもありまっせ。
CBalls Mahoney vs. Masato Tanaka
 Chalmette/New Orleans LA 9/5/98
  相手の頑丈さを信じて思いっ切り殴り、思いっ切り蹴り、思いっ切りパイプ
 椅子でド突く。己の頑丈さを信じてくれた相手を尊敬し、一切相手の攻撃か
 ら逃げず全てを受け止める。文字で書けば単純ですが、なかなかやれる事
 ではおまへん。けどそれをやり遂げたのが田中とマホーニー(パンテラのT
 シャツが実にクール)。しかも噂の二人のド突き合いが想像以上であったた
 め、客席からはECWチャントをはじめとして大声援がひっきりなしですワ。
 ドサでも全く手を抜かない二人の芸人魂に、お客さんもさぞ驚いたやろね。
 あ、勝敗なんて二の次なんですが、一応田中に凱歌とだけ書いときます。
DTommy Dreamer vs. Justin Credible (w/Chastity)
 Marietta, GA 10/4/98
  これまた特別助演陣多数の試合。まずはジャスティンの劣勢を感じたか、
 女子マネのチャスティティがドリーマーに食って掛かるのですが、オトコ一
 匹ドリーマー、女子マネなんぞ目じゃないと簡単にデス・バレー・ドライバー
 に切って捨てるんや。すると今度は『両刀使いのハード・ゲイ』ジェイソンや
 ロッド・プライス(懐かしい!)、ジャック・ビクトリーが現れてドリーマーを袋
 叩き。これはアカンと控え室からドリーマー救出にジョン・クローナスが飛び
 出して来て、最後に待ってましたのニュー・ジャック親分のお出ましや。
 親分、今夜は特殊警棒と鎖鎌をフル活用してジャスティン一派を血祭りに
 上げ、仕上げとばかりにビクトリーを自殺ダイヴによるテーブル葬に。
 けど今夜のECW一座の大芝居、まだまだ隠し玉がありまっせ。最後の最
 後に姿を見せたのはワン・マン・ギャング(これまた懐かしい!!)と、ワン
 ・マン・ギャング追撃に現れたスパイク・ダッドリー君。当然大団円はスパイ
 ク君によるワン・マン・ギャングへのアシッド・ドロップですワ。
 冷静になれば何を見せたいのか分からんとも評せるでしょうが、ライヴの
 客さんを満足させるには“過剰なサービス精神”、やはりこれが一番や。
 ワシもこんな試合を現地で観たかったな。
ERob Van Dam (w/Bill Alfonso) vs. Jerry Lynn
 Pittsburgh, PA 4/15/99
  99年年頭より熱戦を繰り広げて来たRVDとリン。4月15日のピッツバー
 グでも同一カードが組まれました。試合は序盤、RVDのエルボーをまとも
 に顔面に食らったリンが口の中を切って流血。中盤ではRVD十八番のヴァ
 ン・ダミネーターが場外乱闘の際の客席にてリンに炸裂。これだけ頭部に
 打撃を食らい続けたリンの身体が心配になりますが、リンは長丁場の試合
 を見事に完遂しましたデ。サブゥの介入から繰り出されたRVDの5★スプラ
 ッシュで白星こそ逃したけど、これはなかなかのグッド・マッチでしたワ。  
 RVDが全キャリアを通じてのハイライトはと問われて、ECWにおけるリン
 の連戦を上げておりましたが、これもその中の一試合なんでしょうな。
FChris Candido & Tammy Sytch
 vs. Lance Storm & Dawn Marie
 Marietta, GA 10/4/98
  熱戦ばかり収録された本DVD−Rですが、そろそろベタなお色気試合
 観たいでしょ。で、チョイスされたのがこの試合。ライヴのお客さん方もキャ
 ンディードとストームの絡みには一切興味がないようで、キャンディード夫
 人のタミーがスタナーや場外ダイブを披露して、やっと熱気を帯びて来たっ
 て感じ。最後はキャンディードの手渡したチェーンを凶器に、タミーがストー
 ムにゲンコツ攻撃を一発。これが見事にストームの顎を砕き、ストームはタ
 ミーから3カウントを奪われる羽目に。しかも相棒のマリー姉さんまでブラ・
 パン姿にされて。やはりこんな試合(失礼)がドサでは受けるんやろね。
GRaven (w/Francine) & Tommy Dreamer vs.
 Steve Corino & Jack Victory (Falls Count Anywhere)
 Danbury, CT 1/14/00
  WCWから古巣へ舞い戻った(追い出された?)レイヴェンを絡めたタッグ
 戦。今夜もグッズ売り場が場外乱闘の戦場と化し(日本のインディ系団体
 では考えられんな)、商品である安っぽいルチャの覆面をレイヴェンがコリ
 ノに無理やり着用させて殴る蹴るのお戯れ。コリーノもまだまだ頭角を現す
 までには至っていない時点の試合であり、レイヴェンに強制的にリング上
 戻された途端、ドリーマーのDDTが火を吹きあっさり轟沈されよりました。
HTajiri vs. Super Crazy (Japanese Death Match)
 Jacksonville, FL TV Taping 2/4/00
  本試合と次の試合は、当時定期放送のあったTNN局のビデオ・シューテ
 ィングも行われたみたい。試合はポール・Eご自慢のタジリ対クレイジーの
 顔合わせでして、内容については保証付き。しかもタジリもクレイジーもTV
 放送を念頭に置いたためか軽い流血スポットを付加し、クレイジーの華麗
 月面水爆とタジリの毒霧攻撃を盛り込んだフル・コース料理でおもてなし。
 最後はクレイジーをパイプ椅子十脚ほどで埋め尽くし、その上にテーブル
 セットしてタジリがフット・スタンプにてテーブルを突き破ってパイプ椅子ごと
 クレイジーをピン・フォール。贅沢なフル・コース料理、ごちそうさまでした。 
IDusty Rhodes & Tommy Dreamer (w/Francine)
 vs. Steve Corino & Jack Victory (Bunkhouse Match)
 Jacksonville, FL TV Taping 2/4/00
  この試合の見所はなんといっても“アメリカン・ドリーム”ダスティ・ローデ
 スの雄姿。コリーノ&ビクトリーをそこそこ自由に泳がせ、最後はローデス
 とドリーマーが揃ってバイオニック・エルボーを相手方二人に発射や。
 当然これが決まっては試合も幕となるのですが、勝利の雄叫びを上げよう
 とするローデスに忍び寄る黒い影。誰あろう、これが“獣人”ライノでして、
 ローデスは一気に攻め込まれ、蘇生したコリーノからは足四の字固めを喰
 らってしまうんです。ドリーマーもローデス援護に回る力がなく、誰かコリー
 ノ一派の横暴を止めてくれと観客のフラストレーションが暴発寸前(←少々
 大袈裟)になった瞬間、場内にはメタリカの『エンター・サンドマン』が!。
 そう、酔いどれ天使のサンドマンの登場ですワ。サンドマン、トレード・マー
 クの竹刀をブンブン振り回してコリーノ一派を追い払い貫禄の仁王立ち。
 ウーン、ドサ回り興行のオムニバスDVD−Rの最後の最後でこうしてサン
 ドマンの映像を収録するとは、RF−VIDEOの編集者もやる事が憎い。
 ドサ回りの模様を寄せ集めた本作、見事に最後を締めましたな。


トップへ
戻る