では収録内容の詳細を

World Tag Team Title Tournament
2000-8-25 (DVD-R)
(約2時間15分収録)
 ECW存命時に、地方でのドサ回りを含め、その興行の大半をビデオ収
録したと伝えられる米国のプロレス・グッズ屋『RF-VIDEO』。
これまでは120分テープのVHSテープを使い、2倍速録画なんて実に得
体の知れないフォーマットで秘蔵映像を収録し、全世界のECWマニア相
手に通販で商売をしておりましたんや。
で、その『RF-VIDEO』も昨今のECW再評価の潮流とデジタル化の波を
感じ取ったか、今となっては非常に貴重な過去の映像ライブラリーをDVD
−R化して順次発売すると決めたみたいなんです。
さて、今回ご紹介するDVD−Rの内容はと言うと、2000年8月25日に
ニュー・ヨークのハマースタイン・ボールルームにてECWが開催したワン・
ナイト・タッグ・トーナメントを収録したもの。多分当時ジャスティン・クレディ
ブルと共にタッグ王者に就いていたランス・ストームがWCWへ転籍した
ためタッグ王座が空位となってしまい、新たにタッグ王者組を選定する必
要があった事から開催されたトーナメントなんやと思いますワ。

@EZ Money & Julion Dinero (w/Elektra & Chris Hamrick)
 Joey Matthews & Christian York
  予選第1戦はエッチ系の女子マネであるエレクトラ嬢や曲者のクリス・
 ハムリックを従えた、全身から胡散臭いイメージがプンプンするイージー
 ・マネーとフリオ・ディネロが若手色男組のヨーク&マシューズと激突。
 若手色男組の合体技なんかも披露されましたが、試合はハムリックの
 介入によりマネー&ディネロに凱歌が上がっておりますワ。
ADanny Doring & Roadkill vs. Da Baldies (Angel & Tony DeVito)
  予選第2試合はドーイング&キルが暴走禿頭軍のエンジェル&デヴィ
 トと対戦。この試合、暴走禿頭軍の奇襲で始まったのですが、ドーイン
 グ&キルがあっさりと形勢を逆転し、合体技にて小柄なデヴィトを沈め
 て快勝。今夜は試合数が多いためか、序盤からガンガンと『巻き』が入
 っている感じですな(苦笑)。
BSwinger & Simon Diamond (w/C.W. Anderson)
 vs. Nova & Chris Chetti
  予選第3試合は中堅クラス同士の顔合わせ。どいつもこいつも一癖二
 癖ある奴らばかりの試合でして、スピーディな試合展開の末にスインガ
 ーのDDTが火を噴きチェッティに土。観戦前はCWアンダーソンの介入
 があるかと思われましたが、なぜかこの試合では大人しくリング下で試
 合を見守っていたCW、トーナメントへの参戦が果たせず腐ったか。
CTajiri & Mikey Whipwreck (w/Sinister Minister) vs.
 FBI (Little Guido & Tony Mamalukew) (w/Sal E. Graziano) 
  “日本製丸ノコ”タジリと“シシリーのシューター”グイドーの絡みで始ま
 った予選第4試合。さすがに両者の手合わせは会場内の注目の的の
 ようで、2人の攻防で一気に場内の熱気が高まったのがモニター画面の
 前のワシにまで伝わって来ます。で、タジリとマイキーの合体技ではス
 タンディング・オベーションも楽々獲得し、最後はマイキー⇒タジリの連
 続攻撃にてママルークが敗退。いやはやタジリとグイドーの手合わせな
 ら20分でも30分でも観ていたいけど、こうして試合時間に制約のある、
 ある種凝縮された試合展開ってのも悪くはないですな。
DTNN Opennig
  リング上には実況のジョーイ・スタイルスと、元はダッドリーズのお抱え
 リング・アナであったジョエル・ガートナーが登場。多分ここからは当時E
 CWの定期放送を行っていたTNN局のカメラも入ったんでしょうな。
 さてここで、スタイルスの紹介によりジャスティン・クレディブルの保持す
 るヘビー級のベルトに狙いを定めたスティーヴ・コリーノが紹介されたん
 やけど、ワシらロック・ファンには嬉しいハプニングが発生や。
 なんとコリーノと一緒に黒のギブソン・レスポール・カスタムをバリバリ鳴
 らしてスマッシング・パンプキンズのビリー・コーガンが登場でっせ。
 他のビデオでもECWのPPVに姿を見せていた事のあるコーガンです
 が、よっぽどECWが好きなんやろね。
 で、コーガンを横にコリーノがジャスティンを挑発し始め、これに触発され
 てジャスティン一派と目されるルー・E・デンジャラスリー(正体はポール
 ・Eのパロディに徹する元サイン・ガイ・ダッドリー)がリング上へ。
 けどこれはジャスティン一流の狡猾な罠で、ルー・Eにコリーノやコーガ
 ンの目を引き付けさせて背後から竹刀で殴り掛かるって暴挙や。
 一時はジャスティンから奪った竹刀を振り上げてコーガンがジャスティン
 に詰め寄る場面も見られましたが、なんとそのコーガンの後頭部へ携
 帯電話でルー・Eがガツンと一発!!!。
 コーガンも当然事前に“筋書き”は聞いていたやろけど、米国でもトップ
 ・クラスのロック・バンドのリーダー兼ボーカルがこんな事をやってしまう
 とは、やはりプロレスってのは甘美なる表現フィールドなんやろね。  
ERhino & Justin Credible (w/Francine)
 vs. Sandman & Chilly Willy
  メタリカの『エンター・サンドマン』が流れて、酔いどれ天使サンドマン
 が2階席に勇姿を現しよった。例によって缶ビールを観客に振りかけて
 やり、『エンター・サンドマン』をまるまるフル・コーラス使用して余裕の入
 場ですワ。けど黒人選手のチリーと2人してリングに上がった途端、チ
 リーはライノのゴアで轟沈させられ、サンドマンにもジャスティンの竹刀
 の雨が降り注ぎ、サンドマンも反撃の狼煙を上げようと奮闘したものの
 ライノの獣人パワーに捕まって一瞬にしてテーブル葬...。
 試合時間は正味1分もなかったと思うけど、まぁその分だけ入場シーン
 に費やした時間が長かったので差し引きゼロやろか(苦笑)。
 あ、これがトーナメントの予選第5試合ですワ。
FRob Van Dam (w/Bill Alfonso) & Kid Kash
 vs. Jerry Lynn & Tommy Dreamer
  Eの『エンター・サンドマン』に続き今度はパンテラの『ウォーク』が会場
 内に流れて(勿論サビの部分は客席も大合唱や!)RVDが登場。
 トーナメントの予選第6試合はハズレなしのRVD対リンの攻防を中心に、
 新進気鋭のキャッシュがアクセントを付ける豪華な顔合わせとなりました。
 ただキャッシュが張り切り過ぎたのかミス・ムーヴを連発して芸に厳しい
 お客さん達から罵声を浴びるシーンも。
 で、最後はRVDが必殺のコーナー〜コーナー間のヴァン・ダミネーター
 を狙った瞬間ジャスティンやライノが介入。これによってリン独特の墓石
 式パイルをまともに喰らったRVDが無念の敗退。
 ドリーマー&リン組、棚ボタ式の勝利で準決勝へと駒を進めております。
GTajiri & Mikey Whipwreck (w/Sinister Minister) vs.
 EZ Money & Julio Dinero (w/Elektra & Chris Hamrick)
  タジリ組のマネージャーであるミニスターが、マネー組の女子マネであ
 るエレクトラ嬢へセクハラ攻撃を仕掛けて始まったトーナメントの準決勝
 第1試合。タジリが試合中にエレクトラ嬢の巨乳の魅力に惑わされそう 
 になるってベタなネタも仕込んで、最後は体格に勝るマネー組をタジリ
 組が実に軽く一蹴や。あ、マネー組のセコンドであるハムリックの介入を
 タジリが緑の毒霧にて迎撃するって場面もおましたワ。
HSwinger & Simon Diamond (w/C.W. Anderson)
 vs. Danny Doring & Roadkill
  準決勝第2試合は両チームには失礼ながらちょっと埋草チック。予選
 道中で消えた数々の名(迷)チームに比べると見劣りする顔合わせや。
 で、巨漢ロードキルがフィニッシュを狙ってコーナーに上がったところ、
 相手チームに背後から背中を押され場外テーブルへ落下して憤死。
 直後にロードキルのパートナーであるドーイングがCWの介入とサイモ
 ンの真っ正面からの金的キックを浴びて敗退ですワ。ま、サイモン組も
 ダーク・ホースって位置付けで決勝戦では頑張ってや。
 【注意!】
  この試合、VHSテープ版には収録されておりますが、本DVD−R版
 からは見事に割愛されとります。DVD−Rに長時間映像を収録しようと
 すると、どうしてもビット・レートが低くなってしまうから、泣く泣くカットした
 んやろね。ま、高レートの2枚組みにしてくれると嬉しいんやけど、そう
 なると当然商品単価も高くなるし。って事でこの試合だけは既にアップ
 済のVHSテープ版よりレビューを転載してあります。どうしてもこの試合
 を観たい方(余程のマニアさんやろね)のみ、VHSテープ版をどうぞ。
IRhino & Justin Credible (w/Francine)
 vs. Tommy Dreamer & Jerry Lynn
  実績と実力から勘案するならこれが事実上の優勝戦ってイメージを抱
 かせる準決勝第3試合。特にジャスティンはヘビー級のベルトを、ライノ
 はTV王座のベルトを保持しており、このタッグ・トーナメントを勝ち抜くと
 王座総ナメ状態となるんやから気合も入りますワ。
 さて試合ですがジャスティンとリンがロビーにまで雪崩れ込む場外乱闘
 を繰り広げ、ジャスティンに付いたフランシーン嬢がTバックのお尻丸出
 しで試合に介入し、ドリーマーがライノを場外パイルに処するなどの大熱
 戦を展開。最後はジャスティン組にこれまで苦汁を飲まされ続けたスパ
 イク・ダッドリーが右足のギプスも痛々しく乱入し、体を張ったチャンス・メ
 イク。この機を逃してはアカンとリンが十八番の墓石式パイルをジャステ
 ィンに見舞って激勝や。
JBalls Mahoney vs. Bilvis Wesley (w/Prodigy & Prodigette)
  GHIで勝利を収めた3チームが3WAYで優勝戦を戦うまで暫し待っ
 てねって事で組まれた試合(?)。
 エルヴィス・プレスリーのコス・プレで決めたビルヴィス(前名ビル・ウィル
 ス)が、“天才児”ブロディジィや女子マネをはべらせてリング上でマイクを
 握っていたんやけど、突然ECWの“椅子大王”マホーニーが現れてニセ・
 プレスリー&“天才児”に手加減全くなしの椅子攻撃をお見舞いですワ。
 金属製の椅子が見事にひん曲がってニセ・プレスリー&“天才児”は昇
 天し、女子マネ(Prodigetteって名前やそうです)もキツイお仕置きを受け
 る羽目に。ま、試合って言うよりはエクストリーム・ショート・コントってとこ
 やろか。
KTommy Dreamer & Jerry Lynn vs.
 Tajiri & Mikey vs. Swinger & Simon Diamond
 (3 Way Dance to crown new World Tag Team Champions)
  リング上に実況のジョーイ・スタイルス氏が上がり、TNN局が差し向
 けたヒール系の実況ってのが役どころであるサイラスと申し訳程度に
 一悶着起こして控え室に去ったところで、3WAY方式の優勝戦へと場
 面は移行されました。
 (客席からのファックTNNのコールが聴こえるけど、ECW放映からT
 NN局が手を引きそうな裏情報を皆さん察知しての事やろかなァ。)
 さて2003年12月に刊行されたタジリ著の『ザ・ジャパニーズ・バズソ
 ー』においてタジリはECW在籍時代を振り返り、マイキーと組んでタ
 ッグ王者になったという情報を日本のプロレス雑誌は写真一枚掲載し
 なかったと記しております。
 試合の経過をレビューする前にこう書いてしまうと結果は丸分かりに
 なってしまうのやけど、実はこれがまぁその問題の試合なんですワ。
 実際に試合が行われてから900日程経過してはおりますが、以下に
 ワシが日本のプロレス雑誌に代わって試合内容を報告しまっさ。
  勝ち抜け式ではなく最後まで勝ち残ったチームが優勝ってルールの
 3WAYタッグ戦、まずはタジリとサイモンとIの試合でライノの場外パ
 イルを受けてしまい痛々しく首にギプスを巻いて出陣となったドリーマ
 ーの3人によりスタート。
 序盤こそ全員が規則を遵守し秩序ある戦い模様であったものの、ドリ
 ーマーが首に巻いたギプスを自ら外した姿が他の選手の闘魂に火を
 つけたか、6人全員がリング外へ飛び出して乱闘をおっぱじめます。
 客席内でタジリとドリーマーが積極的に絡み、以後タジリがリンに、ドリ
 ーマーがマイキーに同時にタランチュラを見舞うなんてマニア随喜の場
 面を経由し、Hの試合同様にサイモン&スインガー援護に試合へと介
 入したCWがドリーマーにダーティな一撃をお見舞い。
 これにてドリーマーがスインガーにフォールされ、3WAYタッグ戦はタ
 ジリ組とサイモン組の直接対決へと発展。
 ここら辺りでリング・サイドには当日参加した大多数の選手達が姿を見
 せ、全員でグルリとリングを取り囲み試合を行っている4人を激励。
 最後はマイキーのダイアモンド・カッターがサイモンを捕らえ、見事にタ
 ジリ&マイキー組が新タッグ王者組へと就任や。
 試合終了のコールとともにリング下で観戦していた全選手がワッとリン
 グ上へ登り、新王者組を祝福しております。
 【注意!】
  Hの試合だけでは割愛する時間が足りなかったのか、タッグ王座に
 就いたタジリ&マイキーを祝う他の選手達による祝宴の様子も、VHS
 テープ版に比べると本DVD−R版は短くなっております。もっと各試合
 から入場シーンを切って(サンドマンだけはアカンよ、入場シーンにこそ
 値打ちがあるんやから)、その分をこっちに回して欲しかったな。
 ハマースタイン・ボールルームの3階席の奥の奥までスタンディング・オ
 ベーションでタジリ&マイキーの王座就任を祝っている様子は、ホンマ
 に壮観やったモン。 

【総評】
  こんなにプロレス芸好きのマニア達の琴線に触れまくる興行をクリエ
 イトしたんやから、今更ながらECWは(そして団体の首謀者ポール・
 Eは)大したものやったと思います。
 そしてタジリが新タッグ王者となった事をキチンと伝えなかった日本の
 プロレス雑誌に自著で苦言を呈したのは、単に自身の栄誉が無視され
 たなんて小さな思いではなく、何故これだけの興行をクリエイトするEC
 Wって団体(そしてポール・Eをはじめとする選手全員)を無視したのだ
 って苦々しい思いからやないやろか。
 これ、タジリ・ファンはもちろん、団体枠を通り越してひとつの完成した
 プロレス興行として自信を持ってお勧めできるDVD−Rですワ。

【総評A】上のレビューは、以前本興行の模様を収めたVHSテープ版を
 『RF-VIDEO』から購入した際に書いたものに、一部修正を加えたもの
 です。新たに書き下ろすと良かったんやけど、そこまで気力がなくって。


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