では収録内容の詳細を
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Mayhem in the Big Apple 2000-8-26 (DVD
-R)
(約2時間19分収録) |
ECW存命時に、地方でのドサ回りを含め、その興行の大半をビデオ収
録したと伝えられる米国のプロレス・グッズ屋『RF-VIDEO』。
これまでは120分テープのVHSテープを使い、2倍速録画なんて実に得
体の知れないフォーマットで秘蔵映像を収録し、全世界のECWマニア相
手に通販で商売をしておりましたんや。
で、その『RF-VIDEO』も昨今のECW再評価の潮流とデジタル化の波を
感じ取ったか、今となっては非常に貴重な過去の映像ライブラリーをDVD
−R化して順次発売すると決めたみたいなんです。
さて、今回ご紹介するDVD−Rの内容はと言うと、2000年8月26日に
ニュー・ヨークのハマースタイン・ボールルームにてECWが開催した定期
興行を収録したもの。実はこの興行前夜の2000年8月25日、場所も今
夜と同じハマースタイン・ボールルームにてワン・ナイト・タッグ・トーナメン
トが開催されており、ここでタジリとマイキーが並み居る強豪チームを撃
破しタッグ王座に就いたんです。よって今夜の興行は前夜のワン・ナイト・
タッグ・トーナメントの言わば後日談。
はてさてどんなお話と相成りますやら...。
@Balls Mahoney vs. Blue Boy (w/Jasmin St. Claire)
ECW時代にはレイヴェンの脇をスティーヴィ・リチャーズと2人で固め、
メジャー団体へ転出って大出世も果たし、ジャスミン嬢って“金星”まで
ゲットしたブルー・ボーイ(元ブルー・ミーニー)。けど肝心のプロレスだけ
は何時までも上手くなりまへん。今夜も“椅子大王”ことマホーニーに強
烈無比な一発を喰らってあえなく昇天や。あ、試合後にはジャスミン嬢
がTバック剥き出しで脳天逆落としを喰らう場面もおましたワ。
AECW Tag Title Match :
Tajiri & Mikey Whipwreck (w/Sinister Minister) vs.
FBI (Little Guido & Tony Mamaluke) (w/Sal E. Graziano)
昨夜のワン・ナイト・タッグ・トーナメントを勝ち抜いてタッグ王者となっ
たタジリ&マイキーに早くも防衛戦の試練。しかも相手チームは昨夜の
予選で辛くも振り切ったグイドー&ママルークからなる純血イタリア軍と
タジリ組には全くもって油断できない相手や。
さて試合ですがマイキーとママルークが軽く手合わせして会場内を温
めたところで満を持してタジリとグイドーにスイッチ。客席からは大袈裟
でなく2人の絡みが観れると生唾を飲む音が聞こえて来そうでしたが、
タジリとグイドーはお客さんの過剰な期待をはぐらかすようにひとつふ
たつスポットを組み立てただけで、互いのチーム・プレー披露の時間へ
と試合をシフト。以降、タジリの場外月面水爆があり、中盤は純血イタ
リア軍が主導権を掌握。そして終盤、タジリの日本製丸ノコ蹴りの乱射
があって、マイキーとママルークは場外テーブル撃破スポットで轟沈。
直後に純血イタリア軍のマネージャーである巨漢サルが介入を決行し、
これはタジリも緑の毒霧で迎撃したものの、ここを好機と悟ったグイドー
必殺の変形顔面砕き(名前は忘れてしもた)を受けて無念の敗退。
ま、折角獲得したタッグ王座でしたが、ライバル・チームに内容の濃い
試合を行った上で手放したのやからタジリも満足やったかな。
BPsychosis vs. DeVito (w/Angel)
元“狂人仮面”ことシコシスと暴走禿頭軍のデヴィトによる激突。これっ
てもしやミス・マッチになるんやないかって思ったけど、案の定両者は息
が合わず客席から『YOU FUCK UP!』と詰られる場面も。
またデヴィトのセコンドについたエンジェルなどは、シコシスが放ったハリ
ケーン・ラナをキチンと受けてやれず、あわやシコシスが首を折るのでは
ないかと思わせた程の拙さ。やはり暴走禿頭軍にルチャなんてさせては
あきまへんな。シコシスもレッグ・ドロップで無理やりデヴィトを沈めて試
合を終わらせたけど、今夜は相手に恵まれず災難でしたな。
CTommy Dreamer (w/Jazz) & Joey Matthews & Christian York
vs. EZ Money (w/Elektra) & Julio Dinero & Chris Hamrick
この試合、元々はマシューズ&ヨークとEZマネー&ディネロとのタッグ
戦やったのですが、EZ側のセコンドに付いたハムリックが執拗に試合に
介入するものやから、それならとドリーマーが控え室から出て来て6人タ
ッグ戦になってしまいましたんや。
ここではEZがその場飛びの月面水爆から超変形ストレッチ技を繰り出す
など曲者振りを発揮したものの、マシューズ&ヨークの合体技にディネロ
が惜しくも敗退や。あ、ジャズ姉さんとエレクトラ嬢の絡みも良かったデ。
DJerry Lynn vs.
C.W. Anderson (w/Simon Diamond & Swinger)
次々と試合に割り込んで来るサイモンやスインガーを独特のフォーム
から繰り出す墓石式パイルで切って捨てるリン。最後こそ誤爆失神した
正規レフリーの代わりに現れた代役レフリー(多分EZらが買収済)の姦
計により苦汁を飲まされましたがなかなかグッド・マッチでしたデ。
B同様、これまたカードを見た時はミス・マッチかと心配しましたが、や
はりリンもCWも暴走禿頭軍とはレベルが違いましたな。
ESimon Diamond & Swinger
vs. Chris Chetti & Nova vs Roadkill & Doring
Dの試合決着後もリンを痛め付け続けるサイモンとスインガー。ここに
ロードキルとドーイング、続いてチェッティとノヴァも飛び込んで来て3WA
Y式のタッグ戦が開始や。しかしこれは少々バタバタとした印象の落ち着
きない試合でした。一応ドーイングの手が最後に上がってはおりますが、
各自もうちょっと試合に緩急とアクセントを付けて欲しかったですワ。
FECW World Title Match :
Justin Credible (w/Francine) vs.
Steve Corino (w/Jack Victory & Dawn Marie)
例によってフランシーン嬢に向け『乳首見せろ!』、『この性病持ち!』
などの罵詈雑言が客席から飛び交い、その上に口達者なコリーノが追
い討ちを掛ける試合前の舌戦。ジャスティンが所有する世界王座のベル
トにコリーノが挑戦するタイトル・マッチでの一コマですワ(苦笑)。
さて火を吹くようなパンチ&チョップ合戦から始まった試合ですが、フラ
ンシーン嬢によるコリーノへのエプロン・サイドからの場外ハリケーン・ラ
ナや、コリーノによるダスティ・ローデスから無断で引き継いだバイオッニ
ク・エルボーの披露など一時も息をつかせぬ高密度な内容で展開。
そして試合は終盤一気に急展開を見せますんや。
なんとジャスティン一派のルー・E・デンジャラスリー(正体はポール・Eの
パロディに徹する元サイン・ガイ・ダッドリー)が携帯電話(←ポール・Eの
必需品、細かいネタや)でコリーノの後頭部を殴り付ければ、続いてルー
・Eの後頭部に米国のモンスター・ロック・バンドであるスマッシング・パン
プキンズのビリー・コーガンがギター・ショットを一閃!!!。
実は昨夜の興行でコーガンはルー・Eの携帯電話攻撃を喰らっており、
今夜放ったギター・ショットはその報復なんですワ。
以降、フランシーン嬢とダーン・マリー嬢による股間丸出しのキャット・ファ
イトがあり、ジャスティンの竹刀攻撃により額を割られたコリーノ(流血戦
がとことん好きみたいやね)が粘りに粘った末にジャスティンによる墓石
式パイル・オン・ザ・チェアーにて惜しくも敗退。
それでもジャスティンもコリーノもスウィングしていたし、コーガン絡みのネ
タも熟成されていたし、これは実に素晴らしい一戦やったワ。必見や!。
GRob Van Dam (w/Bill Alfonso) vs. Scotty Anton
5月14日のPPV『HARDCORE HEAVEN 2000』におけるアントン
のダフル・クロス劇から続く両者の遺恨。それでもこれって、7月16日の
PPV『HEAT WAVE 2000』での一騎打ちでRVDが勝ってキレイに精
算されたんやなかったの?。またまたRVDがアントンに適当に付き合っ
た末に勝利を収めとるけど、またここでやる必要があったのやろか。
○場面は変わって...
リング上には実況のジョーイ・スタイルスと、元はダッドリーズのお抱え
リング・アナであったジョエル・ガートナーが登場。この時点からは当時E
CWの定期放送を行っていたTNN局のカメラも入ったみたいです。
さてここにTNN局差し向けの悪の実況者って役どころのサイラスが現れ
て、犬猿の仲のガートナー相手に掴み合いが発生。
すると花道には御大ポール・Eが姿を現してサイラスの後頭部へ、Fの
ルー・E同様に元祖&本家携帯電話攻撃をお見舞い。いやはやここらは
辺り練り込まれた細かいネタの波状攻撃ですワ。
しかもサイラスを追い出してリングに仁王立ちとなったポール・Eの前に、
今度は獣人ライノが出て来てポール・Eをテーブル葬に処す大暴挙。
これを引き金に控え室から全選手がリングへと飛び込み、リングは誰彼
なく殴りあう選手達で溢れ返るカオス状態へと陥ってしまいました。
あ、最後の最後に乱戦に加わったのはサンドマン。当然この方だけはテ
ーマ曲であるメタリカの『エンター・サンドマン』付きでの御出馬でっせ。
【追記】当時TNN局はECW(=ポール・E)の番組作りにあれこれと口を
出して来たそうで、加えてより視聴率が稼げそうなWWF(当時)との放送
契約も並行して画策していたんやて。で、どうもTNN局は正式にWWFと
の放送契約に漕ぎ着けた為か、ECWとの放送契約のキャンセルを決定。
多分、この決定にブチ切れたポール・Eは、サイラスを使ってTNN局との
破談って事実をオフィシャルに発表し、演技半分、マジ半分の実に複雑な
心境で(TNN局の回し者って役の)サイラスに殴り掛かったようなんです。
HECW World TV Title Match :
Rhino vs Kid Kash
カオス状態へと陥ったリング上ですが、各選手そろそろ収束状態へと
向かい各々が花道へと引き下がったところでキャッシュが選手の群目掛
けて場外ダイヴを決行。技を受けた20人程度が一気に倒れる様は壮観
であり馬鹿馬鹿しくもあって、これがライノとキャッシュによるTV王座戦
開始の狼煙となりました。
さて場外ダイヴを終えたキャッシュなんですが、リングに上がるなりライ
ノの猛烈なゴアをまともに喰らって悶絶。これはライノの秒殺防衛かと思
わせたところでパンテラの『WALK』がガンガン流れてRVDが登場や。
このRVD、昨夜開催されたワン・ナイト・タッグ・トーナメントにキャッシュ
を従えてエントリーしており優勝候補の一角と目されていたのやけど、ラ
イノとジャスティンの介入によってドリーマー&リン組に敗退したって伏線
があり、それならパートナーであったキャッシュを援護するデと思ったの
やろね。RVDはコーナー〜コーナーのヴァン・ダミネーターを見舞ってラ
イノを追い込み、キャッシュのレッグ・ドロップ+自身の5★スプラッシュの
編隊飛行攻撃を指揮して、キャッシュの腰へTV王座(元々はRVDが長
期に渡って保持していたもの)のベルトをプレゼント。
宴会部長(苦笑)のサンドマンも絶好のタイミングでリングに上がり、キャ
ッシュ戴冠の祝賀会が始まりました。
【総評】このDVD−R、単体でも勿論楽しめるのですが可能なら前夜のワ
ン・ナイト・タッグ・トーナメントを収めたDVD−Rとセットで鑑賞する事が
ワシのお勧め。冒頭には後日談なんて書いたけど、前夜仕込んだ数々
のネタが、全てなるほどなって意味を持って結実していく様子は格別や。
それにしてもこんな連日興行、現地で生で観たかったなァ。
【総評A】上のレビューは、以前本興行の模様を収めたVHSテープ版を
『RF-VIDEO』から購入した際に書いたものに、一部修正を加えたもの
です。新たに書き下ろすと良かったんやけど、そこまで気力がなくって。
あ、VHSテープ版は約2時間29分の収録やったので、本DVD−R版
からは約10分間の映像がカットされたみたい。DVD−Rに長時間映像
を収録しようとすると、どうしてもビット・レートが低くなってしまうから、多
分中盤の試合のどれかを編集したんやろ。
ま、前夜のワン・ナイト・タッグ・トーナメントを収めたDVD−Rなんて、丸
々一試合バッサリと切り捨てられていたので、とりあえず当夜行われた
全ての試合が収められている事に感謝感謝ですワ。
それと本DVD−R、ブロック・ノイズが入るところが数箇所だけですがあ
って、これはこの手の商品の宿命とは言え、ちょっと辛かったです。 |

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