では収録内容の詳細を

RESPECT 2003-8-23
(VHS-TAPE) (約2時間30分収録)
 本作はDVDではなくって、VHSテープ。お馴染みSMARTMARKから
1本15ドルで発売されている団体公認(?)の代物でして、ワシは我が国
で唯一SMARTMARKのオフィシャル・ショップをされている大阪梅田の
イグニッション・レコードさんで1,900円にて購入しました。
別にイグニッション・レコードさんに義理立てするつもりはないけど、米国か
ら通販で購入すると送料込み20ドル必要となるので1,900円ってのは
非常に良心的ではないやろか。
さて本作の内容ですが、2003年8月23日にCZWがデラウェア州(ニュ
ーヨーク市から各交通機関で1時間半程度の距離に在る米国で二番目に
小さな州)のドーヴァーにある『Rack's Bar & Billiards』横の空き地にて開
催した定期興行を収録したもの。
実はこの時点でウルトラ・バイオレンスを標榜するCZWにケンタッキーか
らイアン・ロットン率いるこれまたデス・マッチ団体のIWA−MIDSOUTH
が挑発を仕掛けて、両団体は抜き差しならぬ状態へと突入しておりまして、
03年7月26日にCZWが同所で開催したデス・マッチ・トーナメントの『トー
ナメント・オブ・デス・2』では血で血を洗う激闘が繰り広げられたばかり。
で、やはり団体対抗戦は洋の東西を問わずマニアの琴線に触れるのか、
デス・マッチ・トーナメントの後日談として開催されたのがこの日の興行や。
では早速ビデオ・テープを再生してみましょか。

@Exploding Barded Wire Cage Match :
 Ian Rotten vs. Zandig
  7月26日の『トーナメント・オブ・デス・2』の最後に、CZWの親分ザン
 ディグがIWA−MIDSOUTHの首領イアン・ロットンへ完全決着を目的
 に米国初(?)の金網爆破マッチを要求。
 ロットンもこれに異論はなかったようで、こうして両巨頭が金網の中へと
 歩を進めました。さて、通常の興行なら当然この試合がメインとなるはず
 なんやけど、これをメインにすると舞台設営に手間取り興行がスムーズ
 に運営出来ないと判断されたためか、なんと第1試合で行われる事に。
 ま、過去にもCZWでは金網戦を第1試合で行った例があるので驚きは
 せんけど、やはり前座から少しづつ盛り上げてメインで大爆発ってのが
 興行の鉄則であるはずで...。
  で、注目の米国初(?)の金網爆破マッチなんですが、後期FMWで大
 仁田厚が派手にブチかましていた様な豪華絢爛な仕掛けとは対極の、
 余りにチープ過ぎるもの。ただFMWよりW★INGやIWAジャパンなんか
 のデス・マッチの方が好きだったなんて珍味好きのマニアさんなら、多分
 随喜の涙を流すであろうものなのも確かでして(苦笑)。
 試合は両巨頭仲良く一度づつ爆破を浴びて(被弾直後に両者とも何事も
 なく立ち上がったので爆破の威力は?マークや)、ファイヤー・ラリアット
 や火炎モップでのチャンバラなどがあって、最後は金網頂部に設置され
 た足場からザンディグがロットンを叩き落して激勝ですワ。
 辛口で評するならデス・マッチの様式美に絡め取られた凡戦であったと
 も言えるけど、こうして金網の中で互いのデス・マッチに対する思いを確
 認しあった両巨頭には互いに相通ずるものがあったようで、ロットンの
 口からはザンディグに対して素直に「アンタを尊敬するワ」って台詞も。
 さてさてこれからのCZWとIWA−MIDSOUTHの関係に大注目やね。
AJon Dahmer vs. Z-BARR
  金網爆破マッチの後の前座試合か、これはとことん辛い扱いや。バー
 が仲間を介入させてダマーからズル勝ちをもぎ取ったけど、一度金網爆
 破で温まった客席も多分金網撤去に要した時間で冷めきっていたはず
 で、試合に対し誰も関心を持っていないのがよく分かりますワ。
BCZW Junior Heavyweight Championship :
 Ruckus vs. Derek Frazier
  真夏8月の興行なのにどうにも再び温まって来ない客席。やはり第1試
 合に金網爆破マッチを持って来た影響は甚大や。
 でもジュニア王者のラッカスは持ち前の独創的なムーヴで集中力を一度
 失った客席相手に果敢に芸を披露。しかも相手のフレイジアが想像以上
 に奮闘したためラッカスはなんとか薄氷の勝利を収める羽目に。
 ま、フレイジアが頑張ったのか、ラッカスのリードが良かったのかは意見
 の分かれるところでしょうが、これは結構グッド・マッチでしたデ。
CCZW World Tag Team Championship :
 Rockin Rebel & Greg Matthews
 vs. Ian Knoxx & Adam Flash (w/Simply Lucious)
 vs. The Backseat Boyz (w/Dewey)
  CZWではメサイアらと反逆軍団HI−Vを組織している現タッグ王座コン
 ビのバックシート・ボーイズ(アシッド&カシミール)が、3WAY方式で王座
 防衛戦へと繰り出した図式。HI−Vの一員として行動すると平気で悪辣
 な行為を行うアシッドとカシミールですが、いざバックシート・ボーイズとし
 てタッグ戦をやると、途端に華のあるセンスの良い小粋な悪党チームに
 変貌するのやからなんとも摩訶不思議(員数合わせのため無理してHI−
 Vに属しているのやろね)。
 この日も他の2チームに好き勝手に試合をさせて、最後はフラッシュがマ
 シューズをフォール。あれ、これやとタッグ王座移動やないのって思わせ
 た途端、契約書を片手にスタッフが現れ王座は移動しない(契約書に王
 者コンビがサインしなかったとか、まぁその手のギミックやろね)と発表。
 CZWでは他に彼等とタメを張れるチームも見当たらないし、その上にこ
 の作戦が使える限りバックシート・ボーイズの王座は当分安泰やね。
DJonny Storm vs. Sonjay Dutt
  手元の資料によると末期XPWなどに参戦経歴のあるらしいストームが
 CZW初参戦(?)。ま、小柄なものの腕達者なサンジェイ相手ではすぐに
 馬脚を現すかと思っていたんですが、ストームも腕は確かであったようで
 して、見事にスピーディな攻防でサンジェイとスゥイングしてくれましたワ。
 試合結果ですか?。サンジェイの勝利ですが、ワシは今後のストームにち
 ょっと注目してみたいな、なんて思っている次第ですんや。
EFans Bring The Weapons Match :
 JC Bailey vs. Necro Butcher
  7月26日の『トーナメント・オブ・デス・2』にIWA−MIDSOUTH側の手
 駒として参加し、文字通り血まみれの闘いを披露してCZWファンのハート
 をガッチリと掴んだ両者が、この日は直接対決にて再度CZWファンと対峙
 する事に。さて、ファンが各自いろいろと趣向を凝らして作った各種凶器が
 自由に使用出来るこの試合なんですが、もともとベイレイとブッチャーには
 デス・マッチで清算しないと駄目な遺恨なんてこれっぽっちもおまへん。
 その代わり両者には、『デス・マッチって表現方法』でもう一度リングを取り
 囲むCZWファンの度肝を抜くって共通の目的がおましたんや。
 そやから凶器で互いを切り裂き合い、コーナー・ポスト上からコンクリート
 の地面目掛けてブレンバスターで投げ合っても、どこかしら彼等の試合に
 は清々しいものがあるんです。
 最後はブッチャーが裸締め(意味深な幕切れや)でベイレイを切って捨て
 たけど、この激闘にスタンディング・オベーションにて応えるCZWファン
 様子を見ると、前述した両者の目的は立派に果たされたみたいや。 
FCZW World Heavyweight Championship :
 The Messiah (w/Dewey) vs. Corporal Robinson
  Eの試合後にザンディグやロットンらがベイレイとブッチャーの激闘を讃
 えていると、「お前ら、何をちんたらと友情ゴッコしとるんや」とメサイア率
 いる反逆軍HI−Vが現れ、折角のハート・ウォームな場面を完全に粉砕。
 如何にも悪者達って行いで、ある意味微笑ましくさえもありますが、ここに
 IWA−MIDSOUTH側の番頭格であるロビンソンが現れメサイアを襲撃。
 メサイアとロビンソンによるCZW認定の世界王座戦が始まりました。
 試合はEで使われた各種凶器の残骸が再び使用され、メサイア必殺の
 ゴッドスマック(旋回式顎砕き)をモロに浴びたロビンソンがそれでもフォー
 ルを許さぬ意地を見せたものの、最後は会場後方の機材置き場上からロ
 ビンソンがメサイアによってパワー・スラム風にテーブル葬されて幕切れ。
 ロビンソンも奮闘したけど、やはりメサイアの牙城は易々とは攻め落とせ
 ないみたいやね。ただメサイアもどうにもCZWでは突き抜けない感じ。
 XPW時代がピークやったなんて本人も言われたくないやろに...。
GBJW Deathmatch Championship
 200 Light Tube Death Match :
 Nick Gage vs. Nate Hatred (w/Dewey)
  Eにおいて闘う両者間に全く遺恨の介在しないデス・マッチを提示され、
 それによって目の前でCZWファン達が総毛立たされたのを確認したはず
 のゲージとヘイトリッドによる、CZW名物の蛍光灯200本戦や。
 しかもIWA−MIDSOUTH側が遺恨の介在しないデス・マッチなら、こち
 らは元チーム・メイト(H8クラブってユニット)同士の激突で、その上に7月
 26日の『トーナメント・オブ・デス・2』では予選に参戦中のゲージをヘイト
 リッドが襲撃し、これによってゲージが予選で敗退するって事件がありまし
 て、それはそれは両者間に遺恨渦巻く図式となっておりますんや。
 試合はリングをぐるりと囲んだ200本の蛍光灯がほとんど両者の頭部や
 腹部や背中で砕け散るって凄惨な内容で、終盤ヘイトリッドを援護射撃す
 べくバックシート・ボーイズの片割れアシッドが介入し、ゲージに卑劣極ま
 りない不意討ちをお見舞い。これが引き金となってゲージが惨敗、しかも
 大挙乱入したHI−V軍の凄惨なるリンチまでが血まみれのゲージには用
 意されており...。
 あ、この試合なんですが大日本プロ認定のデス・マッチ王座を保持(事の
 経緯は調査中)していたヘイトリッドにとっては正念場やったのですが、HI
 −V軍の全面バックアップにより見事にタイトル防衛となりました。
  
【総評】
  共にデス・マッチってキャンバスに絵を画きつつ、その手法が全く異なる
 CZWとIWA−MIDSOUTH。ここまで記して来たように@やFでは両団
 体の看板選手同士が戦い、EやGでは身内同士が戦って、どちらがより
 クレイジーであるのかを競い合いました。
 で、大量の血を流し合った末に出て来た答えってのは、@でのイアン・ロッ
 トンによる「アンタ(らの表現方法)を尊敬するワ」って言葉。
 多分これはザンディグも同じ思いであるはずで、両団体の表現手法の差
 異に優劣など付くはずもなく、7月26日の『トーナメント・オブ・デス・2』か
 ら続いた『真夏の狂気』は幕となりましたんや。

【未確認情報】
  ネット上で見た情報なんやけど、CZWが余りにえげつない興行を打つ
 ので、デラウェア州ではCZWに標的を絞って彼等が興行出来ないような
 条例を可決したそう。7月26日の『トーナメント・オブ・デス・2』やこの8月
 23日の定期興行が悪かったのか、それとも条例可決の動きを感じ取っ
 てどうせここではもう興行出来ないのだと開き直ったCZWが、最後に過
 剰な暴力描写で一花咲かせたのか定かではありまへんが、当地を勝手
 にCZWの聖地と認知していたワシにとっては寂しい限りですワ。


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