では収録内容の詳細を

Ultraviolent Tournament Of Death W
2005-7-30
(DVD-R*3枚)(約3時間57分収録)
 本作はDVDではなくって、DVD−R。毎度お馴染みSMARTMARKから
3枚組(!)で20ドルにて発売されている団体公認(?)の代物でして、ワシ
は我が国で唯一SMARTMARKのオフィシャル・ショップをされている大阪
梅田のイグニッション・レコードさんで3,200円(為替レートの変動で若干
値上がり)にて購入しました。
別にイグニッション・レコードさんに義理立てするつもりはないけど、米国から
通販で購入すると送料込み27ドル必要となるので3,200円ってのは非常
に良心的ではないやろか。
 さてCZWファン、いや全世界のデス・マッチ・ファンの一年に一度のお祭り
って言えば、やはり毎年7月にCZWが屋外興行でブッ放す『トーナメント・オ
ブ・デス』。2002年にCZWの親分であるザンディグの提唱により始まった
本トーナメント、今年で目出度く第4回目を迎える事となっておりまして、本
DVD−Rには勿論2005年7月30日にデラウェア州ニュー・キャッスルにて
繰り広げた阿鼻叫喚の地獄絵図が完全収録されておりますんや。
ではそろそろレビューへ、と書きたいところなんですが、ちょっと話は脱線し
て、本DVD−Rを数倍楽しく観賞するために、ワシとこのHPにもよく遊びに
来てくれている『レーブ・デイブル』さんが運営されている『米インディー系BL
OG』を参考に、2005年前半のCZWを取り巻く環境を整理しておきますワ。
まずは過去に過度の暴力表現を行ってきたツケがCZWに回って来たのか、
ペンシルベニア州(彼等の活動の拠点)の競技委員会(以下、PSACと略)
よりCZWがマークされてしまい、CZWアリーナ(元ECWアリーナ)での興
行において有刺鉄線や蛍光灯などの凶器使用を禁止する州条例が出来て
しもたそう。これ、デス・マッチを団体運営の命綱としているCZWには致命
的な条例でして、急遽対応策としてアリーナの客にモニター画面によりアリ
ーナ裏の倉庫にて行われているデス・マッチの模様を見て頂こうって趣向
で、UVU(Ultra Violent Underground)戦なるものを始めましたんや。
ま、生でお客様に過度の残虐行為を見せるのではなく、モニター画面を使っ
てなら問題はないであろう、って事でCZWとしては条例の盲点を突いたつ
もりやったのだと思いますな。でもPSACも黙ってはいません。CZWに圧力
を掛け、遂にUVU戦さえも一度は全面中止にさせられてしまいます。
けど、「WWEやダグラス派ECWも有刺鉄線を使っているやんか。ウチとこ
ばかり苛めんといてよ」とザンディグらが泣き付き、併せて懸命に『袖の下』
攻勢を仕掛けたのやろか(苦笑)、突如PSACの態度が軟化し、UWU戦の
復活⇒ペンシルバニア州条例が再度改正され、CZWアリーナでの興行に
おいて有刺鉄線や蛍光灯の使用が可能になったんですワ。
さぁこれで勢い付いたのがCZW。過去三度とも本トーナメントはCZWアリー
ナではなく、デラウェア州(確かこの州も過去にCZW対策の条例を制定した
ような?)の屋外会場での開催だったのですが、せっかくお上が認めてくれ
たのだから今年はCZWアリーナでやろう、と大々的にアピールを開始。
けど余りにCZWがはしゃぎ過ぎたのが悪かったのか、トーナメント本番が一
週間後に迫った時点で、PSACから「やっぱり君らは無茶しそうなので心配
や、この前話した全面解禁ってのは白紙に戻すワ」と非常な通告が!!。
もう本番まで時間はなく、多分それなりに前売り券もさばけていたやろし、C
ZW側には本トーナメントを中止にする考えなどなかったみたいで、それなら
勝手知ったるデラウェア州でやろかって事で落ち着いたみたいなんです。
ではでは前置きはこの辺りにして、2005年の『トーナメント・オブ・デス』の
内容をご報告させていただきまっさ。
尚、各試合の後には残酷シーンのスロー再生画面(別カメラからのアングル
を含む)や、試合を終えたばかりの各選手のコメントなども収録されとります。

★★DISC-1★★

○初参加各選手、意気込みを語る...
  ミレーノ、ウェリントン&キングストンらトーナメント初参加選手がコメント
 を寄せております。
@Barbed Wire Madness Match :
 J.C. Bailey vs. "The SeXXX Express" Sexxxy Eddy
  過去最大の数百人を動員した今年のトーナメント。壁や塀や無銭観賞を
 防止するブルー・シートなども全くない、ただの大きな広場にリングを設営
 し、即席の地獄舞台は完成。まずは7月9日の定期興行『High Stakes 3』
 においてザンディグ親分の魔手に掛かり初代UVU王者の座から滑り落ち
 たばかりのベイレイと、2004年のトーナメントにおいてバックリと裂けた
 腕の傷口から鮮血をまるで噴水のごとく噴き上げさせ、会場はおろか後日
 DVD−Rにて試合映像を観賞する者さえをも驚かせたセクシー・エディと
 の激突で、6試合続く予選道中が開始となります。で、最初はエディから
 の入場なんやけど、さすがに一気にCZW内でのステータスをアップさせた
 昨年の鮮血噴水をエディ本人も、観客達も忘れ難いのか、エディが入場
 ゲートで腕を差し出し鮮血噴水のポーズを取っただけでヤンヤの大喝采。
 で、エディは例によって客席からお姉ちゃん(この日は3人も)を見繕ってリ
 ングへ上げ、趣味の悪いTバック・パンツ一丁になって、正常位で腰を突き
 立てる御戯れや(苦笑)。で、ベイレイの入場を待ってゴングとなったので
 すが、この試合は通常の有刺鉄線戦にプラスし、リング上から吊り下げら
 れた工業用大型ホチキスや大量に画鋲が入れられた布袋を梯子を使って
 奪い、相手にお見舞いするってルール。勿論ホチキス攻撃の攻防や、エデ
 ィ十八番のゴミ箱を被っての月面水爆、ベイレイ十八番の有刺鉄線ボード
 によるフット・スタンプと、のっけからデンジャラス・スポットのオン・パレード
 状態。最後はエディのTバック・パンツの股間部分にベイレイが大量に画
 鋲を突っ込み、そこにロー・ブロー・キックを一発!!。これにはエディも堪
 らず悶絶死となってしまいました。あ、それでも半ケツ状態で股間を手で
 押さえながら控え室に戻るエディ、今年もなかなかエエ仕事をしてくれまし
 たな。観客の皆さんも心底感謝しているようでっせ。
ALight Tube Ropes/Light Tube Corners Match :
 "Mr. Insanity" Toby Klein vs. Madman Pondo
  予選第2試合は“狂気人間”トビー・クレインと、大日本プロにおける外人
 招聘窓口との噂もあるマッドマン・ポンドとの顔合わせ。で、まずワシの度
 肝を抜いたのは、クレインの持ち込んだお手製のデンジャラス・トラップや。
 なんと先の削った鉛筆を約5cm間隔でベニア板に並べ立てたもので、どう
 やらこの上に相手を落としてやろうって腹積もりみたい。おいおい、それっ
 てどない見ても洒落にはならんトラップやないの。過去W★INGやFMW
 のマットで見て来た幾多の五寸釘トラップより、数十倍安上がりに作れて、
 数百倍は危ないデ。けどワシの心配など知った事かと試合は始まり、クレ
 インはポンドによる蛍光灯攻撃をモロに受けて虫の息。そこでポンドが十
 八番の川津掛けにてクレインを捕らえたものやから、あぁここからクレイン
 はポンドの川津落としにて鉛筆トラップへ背中から落とされるんや、って目
 をつむりましたワ。しかし寸でのところでクレインは川津掛けから抜け出し、
 ポンドを担ぎ上げて反撃の電光石火デス・バレー・ドライバーが一閃。
 当然今度も一瞬目をつむったワシですが、鉛筆が倒れ易くなっていて、ポ
 ンドの受身も上手かったためか、幸いにも鉛筆が身体を貫通なんて最悪
 の場面だけは避けられたみたい。それでもポンドの腕に突き刺さってブラ
 ブラと揺れている鉛筆を見ると、これはもうこの一回限りで封印すべきトラ
 ップではないか、とさすがのワシも思っている次第です。いや、ホンマ。
B2/3 Ultraviolent Tables Match :
 Brain Damage vs. Beef Wellington
  予選第3試合は“脳挫傷”ブレイン・ダメージとビーフ・ウェリントン(以前
 みちプロに出ていた選手とは別人)の対決。ルールは単純明快で、リング
 の周囲に設置された3台のテーブルの内、2台へ相手を叩き込めば勝ちっ
 てものですんや。で、まずは有刺鉄線テーブルへウェリントンが、火炎テー
 ブルへ“脳挫傷”がそれぞれ沈み、これでスコアは1対1となります。そして
 注目の3台目は蛍光灯が設置されたテーブル。ここへウェリントンがスー
 パー・パワー・ボムによってブチ込まれ、試合は“脳挫傷”に凱歌が。
 ただし、何処といってセールス・ポイントのなかった“脳挫傷”も、ゴム手袋
 での肛門パンチ(獣医学の分野には、牛の肛門に直接腕を突っ込み腸の
 状態を検査する直腸検査ってのがあるけど、あれが元ネタなんやろかね)
 なんてベタな攻撃が売りであり、“脳挫傷”を火炎テーブルに葬る際に非常
 に手際が悪く、お客さんから一斉に野次られたウェリントンも、年に一度の
 大一番『トーナメント・オブ・デス』に出場する資格があったのかと問われる
 と、少々返事に困るレベルであったように思いますな。このジャンルもとこ
 とん人材不足なんやろね。
CHome Run Derby Death Match :
 Necro Butcher vs. Ian Rotten
  まず試合前に収録されたイアンのコメントから始まるのですが、ここでは
 当初本トーナメントに出場がアナウンスされており、土壇場で出場見送り
 となったホームレス・ジミー(実現しておれば第1回トーナメント以来の出
 場でして、期待を寄せていたファンも多かったはず)への苦言が。
 で、場面は変わって予選第4試合は、本トーナメントの行方を大きく左右
 するであろう、イアン・ロットンとネクロ・ブッチャーの顔合わせ!。
 試合はゴツゴツと頭蓋骨のぶつかり合う衝撃音がこちらまで聞こえて来る
 頭突き合戦で火蓋が切られ、“ホームラン競争”デス・マッチとのルール名
 からも分かるように、大量の画鋲がくっ付けられたビニール製の玩具のバ
 ットや、有刺鉄線が巻き付けられた木製バットが大活躍するハチャメチャ
 な内容ですワ。勿論両選手とも凶器攻撃を喰らって流血を強いられるので
 すが、イアンなんて「こんなものでは手緩い!」と、わざわざ額に自らの手
 で『得物』を走らせ、更なる大流血を演出。最後はネクロによるスリーパー
 でイアンが昇天いたしましたが、この両者でしか演じられぬ、まるでコール
 タールで満たされた底なし沼でもがくかの様な、限りなく重苦しい『ダウナ
 ー系』のデス・マッチはこの日も健在でしたデ。
 ネクロと2人でお互いの健闘を称え合い、頭頂部に画鋲を20個程メリ込ま
 せたまま、花道を引き揚げるイアン・ロットン。やっぱり男は後姿で語れて
 こそナンボなんやね。色白の締まりのない身体で、髪の毛も薄くなってい
 て、女性には一番敬遠される外見なんやけど、ワシらデス・マッチ好きには
 ホンマに格好よろしく映りまっせ。
DLight Tubes & Ladders Death Match :
 "The Future of Hardcore" Nick Gage
 vs. "Spyder" Nate Webb
  ここまでの4試合は全てCZWには所属せぬ選手達の闘いでして、本トー
 ナメント主催者であり、ウルトラ・バイオレンスを標榜する、自他共に認める
 デス・マッチ界の盟主CZW所属の選手はどないしたんや、って思っており
 ましたが、予選第5試合にてやっとニック・ゲージが登場ですワ。さてこの
 ゲージですが、唯一CZW勢では過去のトーナメントに皆勤でフル出場(他
 に皆勤でフル出場しているのは、我等がネクロ・ブッチャーのみ)。
 けど昨年・一昨年はCZWで進行中のストーリー・ラインが黒い影を落とし、
 本人としては多分複雑な思いでトーナメントから脱落しておりましたんや。
 そんな過去の苦い記憶がフラッシュ・バックしたか、仏頂面(これは何時も
 の事か)でリングに上がったゲージは、己とは正反対に軽いステップを踏
 んで現われた“蜘蛛男”ウェブを画鋲バットや蛍光灯などを使ってまるで親
 の仇のごとくボコボコにし、蛍光灯で組んだやぐらの上に梯子の上から叩
 き落して強引に試合に幕引きですワ。欲求不満のはけ口となった“蜘蛛
 男”、とことん哀れでしたデ......(涙)。

★★DISC-2★★

@Handicap Fans Bring The Weapons Match :
 Zandig vs. "The King of Diamonds" Eddie Kingston
 & "Primo" Robby Mireno (w/Rucks)
  予選第6試合は遂にザンディグ親分が直々の御出馬。客席からは『FUC
 K PSAC』なんてプラ・カードも上がる中、ブラック・アウト軍の広報担当メリ
 ーノと、同じくブラック・アウト軍の三下格キングストンを相手にした、頭数で
 はハンディ戦とは言うものの、実際はまだまだザンディグに分があるやろっ
 て内容の試合が始まりました。で、この微妙(いや、結構誰の目にも明らか
 か?)な差を埋めんとブラック・アウト軍の片翼ラッカスが積極的に試合へ
 介入し、今度はここにブラック・アウト軍とは因縁浅からぬジョーカー(詳細
 は、ここを参照して)までが姿を現しザンディグを援護射撃。試合は蛍光灯
 をリング上に山積みにして、ジョーカーが必殺のフィニッシュ・ムーヴである
 ジョーカー・ドライバーによってメリーノを叩き付けて勝ち名乗りや。けど、こ
 れで予選をクリアーしたのがザンディグってのも、いまいち納得がいかない
 気分ではありますな。あ、ちなみにこの試合の中でザンディグが側転エル
 ボーを披露するのですが、ちょっと目測を誤ったみたいで、ザンディグの足
 が相手の首に絡みつく、なんともぶさいくな代物となっておりました。エ、あ
 れって最初から狙った、実は非常に難易度の高いムーヴなんでっか?。
AFans Bring The Weapons Match :
 Necro Butcher vs. Brain Damage
  ここから3試合が準決勝戦。まずは準決勝の第1試合ですが、“脳挫傷”
 を相手に、地力で二枚も三枚も上手のネクロ・ブッチャーが一方的に潰して
 しまった感じでしたな。特に序盤と終盤に二度演じられたゲンコツ合戦は絶
 品でして、加えて中盤ネクロの振り上げたミニ・ギターをモロに頭頂部に喰
 らってしまった“脳挫傷”は無残な大流血(リング・ネームと引っ掛けた笑え
 ん洒落なんやろか?)。“脳挫傷”、ドクドクと頭から血を流しながら、それ
 でもネクロより画鋲グローブで強烈な一発まで浴び、最後は蛍光灯の山へ
 フェイス・バスターにて叩き込まれて憤死ですワ。いつもは『やられキャラ』
 のネクロですが、こんな試合もキチンとやれるんやね。感心感心。
B2/3 Light Tube Log Cabin Match :
 Zandig vs. "Mr. Insanity"Toby Klein
  準決勝第2試合はザンディグ親分と“狂気人間”トビー・クレインの激突。
 蛍光灯を器用に組み上げて作った3つのやぐらをリングの周囲に配置し、
 先に2つのやぐらへ相手を叩き落せば勝ちってルールですワ。試合はザン
 ディグ親分がクレインをコーナー・ポスト上からやぐらへと叩き落し、幸先良
 く1本を先取。これではアカンとクレインも反撃を開始し、十八番のデス・バ
 レー・ドライバーにてザンディグ親分を捕らえ、これでスコアはイーヴンや。
 最後は上背のあるクレインをザンディグ親分がリフト・アップして見せ、その
 ままやぐらへとクレインを放り投げてジ・エンド。ウーン、ザンディグ親分の
 底力が垣間見えたのですが、クレインの側にちょっとだけ遠慮があった様
 にも感じられて。やっぱり賃金支払い者のザンディグ相手では、あれやこ
 れやの諸事情が複雑に絡んで気後れしてしまうんやろかね。
CPanes of Glass Match :
"The Future of Hardcore" Nick Gage vs. J.C. Bailey
  準決勝第3試合は、ガラス板がふんだんに導入されたリングを舞台に、ゲ
 ージとベイレイがぶつかるって構図。両選手ともに覚悟を決め、殆ど自らガ
 ラス板へと身を投げたり、ガラス板の下敷きになってガラス板ごと踏み抜か
 れて見せる様は、もうデス・マッチなんて低俗(失礼)なものではなく、どこ
 かしら崇高なものさえ感じさせられましたデ。最後はパイプ椅子の上に蛍
 灯を山積みにした即席トラップへ、コーナー・ポスト上からゲージがベイレイ
 を後方飛びのパイル・ドライバーにて叩き落して完全粉砕。これで今年の
 トーナメントは、ザンディグ、ゲージ、ネクロの3選手によって決勝戦が行わ
 れる事になりましたんや。
DUltraviolent Battle Royal :
 参加選手:Scrawny , Andy Sumner , WHACKS , Danny Havoc ,
 DJ Hyde , Ravage , Rick Feinberg , Heretic , Blood , Sean Bishop ,
 The Hellaware Assassin
  決勝戦に出場する3選手が息を整えるまでの時間、ちょっとここらで皆様
 方も息抜きでもどうでっかと、有象無象の若手選手達を集めた時間差入場
 式で、オーバー・ザ・トップ・ロープ・ルールのデス・マッチ・バトル・ロイヤル
 が始まりました。この試合、どうやら最初にリングに上がったスクラウニィと
 アンディはセキュリティ係らしく、追って入場して来たのはフィラデルフィア
 着の独立団体の試合写真を撮影し続けている、少々倒錯系のお店でもあ
 るらしいお馴染『WHACKS』のオーナーってズッコケ具合。まぁこれより以
 降はそれなりの若手もワラワラと沸いて出ては来たし、トーナメント本戦と
 変わらぬデンジャラスなスポットもありはしました。ただしどいつもこいつも
 ヒノキ舞台に平常心を失ったか、息の合わない場面やミス・ムーヴが散見
 されて。最後は『WHACKS』のオーナーが並み居る強豪(?)を打ち負か
 して優勝するってハート・ウォーム(??)な場面が用意されていて、これは
 これで良かったのかな、なんて思う反面、プロレス本来の技術(ってのもこ
 れまた曖昧な表現やな)が劣っていても、公認凶器さえ振り回せばそれな
 りに形になってしまうって事実を満天下に知らしめてしまったってのも否定
 は出来ないし。トーナメント本戦の各試合を際立たせるためにも、こんな変
 なアトラクション(各選手には申し訳ないけど)は今後は勘弁して欲しいな。

★★DISC-3★★
 
@Pits of Hell (Pit of Lemon Juice, Pit of Salt & More)
 - No Ring Canvas - Barbed Wire On The Plywood Death Match :
 Necro Butcher vs. Zandig
 vs. "The Future of Hardcore" Nick Gage
  そんなこんなでいよいよ2005年の『トーナメント・オブ・デス』の決勝戦。
 ここで決勝戦の特別レフリーとして観客に紹介されたのは、今を遡る事10
 年前の1995年、当時行け行け状態で飛ぶ鳥を打ち落とす勢いにあったI
 WAジャパンが、真夏の川崎球場を舞台にデス・マッチ・トーナメントを開催
 した事があって、その決勝戦にてテリー・ファンク対カクタス・ジャックの大
 一番を裁いたジプシー・ジョー爺ですワ。けど、このワシでさえ忘れていた
 そんな些細な事実(失礼)をわざわざマイクでアナウンスするって事は、そ
 れを聞いてなるほどそうかと理解出来る人間が客席に相当数居るって事
 でもあって。ウーン、ワシらが米国のデス・マッチ団体に憧憬を抱くのと同
 様、米国のデス・マッチ・マニアは当時のIWAジャパンを羨望の眼差しで
 見つめているやろな。ま、それも無理はないか。あの真夏のトーナメント、
 爆破系の試合形式が取られた決勝戦は、肝心の爆破がセコくて今や語り
 草となっているけど、出場選手は掛け値なしで豪華絢爛やったし、潜在的
 な需要があるからやろね、つい最近も米国の通販プロレス・グッズ屋の商
 品欄にデカデカとブート・DVDがアップされていたからなァ...。
  おっと脱線してしもたな。さて注目の3WAY方式の決勝戦ですが、まずリ
 ングに上がったのはザンディグ。そしてそのザンディグをリング上で待ち受
 けていたのはCZWの仇敵PSACのフランク・タレント氏を模したハリボテの
 人形や。これ、実は当日はお客が思い思いのお手製凶器を持ち込み、そ
 の中で一番『危険』だと思われるブツを作成した人に対し、この日発売とな
 ったばかりのSMARTMARK製のUVU特集のDVD−Rがプレゼントされ
 るって企画があって、どうやらこのハリボテ人形がダントツの『危険』さであ
 ると認知されたそうなんや。当然ザンディグも製作者の意を得たりと、憎き
 フランク・タレント氏のハリボテ人形に鎌で一撃を加えて首をバッサリと跳
 ね飛ばすと、四方八方の観客から拍手喝采が。いやはやさっきのジョー爺
 のネタといい、このフランク・タレント氏のハリボテ人形といい、みなさん想
 像以上に奥深いところでプロレスを楽しまれているんやなァ。
  おっとまたまた脱線してしもたな。ゲージとネクロの登場を待って始まった
 決勝戦ですが、序盤はネクロが外様扱いとは言うものの最近CZWの本体
 寄りにポジションを得ていて、これとは反対にゲージはCZW所属とは言う
 ものの反体制側の立ち位置、そんな捻れ現象からザンディグがネクロに
 対し共闘を申し入れ、ネクロがこれをアッサリと拒否する場面から始まりま
 した。そして我等がネクロ、またも十八番のゲンコツ合戦をやろうやないか
 とリング上にパイプ椅子を3脚用意し、ザンディグとゲージに着席を命じて、
 順に自身の左隣に座る相手の顔面にゲンコツを振るいます。でもネクロの
 鉄拳を受けて着火したのはザンディグの闘魂。ネクロをリフト・アップして蛍
 光灯の山へ叩き落すなど、獅子奮迅の大暴れでっせ。いやホンマ、ここま
 での予選道中、ザンディグの闘いっ振りには何かと嫌味ったらしい小言を
 書き連ねてはおりましたが、この日のザンディグは大観衆を動員出来た事
 もあってか、心身ともに絶好調の様子。これならもっと月一の定期興行で
 も身を粉にして頑張れよって、更なる小言まで書きたくなる位でしたワ。
 さてさて試合前にネクロが蛍光灯を叩き割って破片をリング上にバラ撒き、
 もともとリング上に敷き詰められていた有刺鉄線ボードと併せて足の踏み
 場もない程となったリングでは、ザンディグ、ゲージ、ネクロの果て無き暴
 虐行為が延々続いておりましたが、終盤正にウルトラ・バイオレンスな場
 面が現出。なんとゲージがスープレックスによってネクロを火炎トラップへと
 投げ込んだのですが、ゲージの着用していたTシャツに火の付いた燃料が
 染み込んでしまったようで、ゲージが文字通りの火ダルマ状態に。過去に
 金村やシャドウWXなども同じ目に遭った、あの地獄の一場面が鮮やかに
 CZWマットに蘇ります。けど当のゲージはそれどころやおまへんワ。リン
 グサイドを半狂乱で走り回り、スタッフが手にした消火器によって火を消し
 て貰ったものの、しばらくは戦線復帰出来なかった(あのまま退場でも誰も
 文句は言わんかったやろ)んやさかい。で、ゲージの失速を尻目に、遂に
 ネクロが勝負に出ました。ザンディグをゲンコツの雨あられで完全KOし、
 応急処置が終わったばかりのゲージには、テーブル上に設置された4連
 ガラス板トラップ葬で、念願のトーナメント初制覇を達成でっせ!!
 良かったね、ネクロ・ブッチャー。日々精進して来た甲斐があったやんか。
 ワシ何時も何時も祈ってたんやデ。デス・マッチの神様がアンタにニコリと
 微笑かける日が来るのを。あ、ネクロの奮闘振りに満足したのか、ザンデ
 ィグは7月9日の定期興行『High Stakes 3』においてベイレイより奪ったU
 VU王者のベルトをあっさりとネクロへプレゼントしとりますワ。でもネクロ、
 注意しとかなアカンよ。ベルトを持たされた事で、ザンディグは更なる無茶
 をアンタに要求してくるやろから......(苦笑)。
 追伸:特別レフリーとして招聘されたジプシー・ジョー爺ですが、これが全
 くのデクの坊。高齢で動きが鈍いのは敬老精神旺盛なワシやから堪忍し
 てやってもエエけど、カウントを入れるのにリングに横になるのを嫌がると
 は一体全体どう言う了見なんや。そらリング上は蛍光灯の破片や画鋲が
 散乱していて身体を横にするのは嫌やろうけど、それならレフリーなんて
 役目を受けんなよな。しかも腰が痛いのか、腰を屈めてカウントを入れる
 事まで出来ないありさまや...。終盤あまりの無能振りに業を煮やしたゲ
 ージによって鉄柱へと投げ付けられて失神(これを機に、若手レフリーと交
 代)させられていたけど、とんだところで老醜を晒してしもたな。
【ゴメンなさい、訂正いたします】
  上に、IWAジャパンが川崎球場にて開催したデス・マッチ・トーナメン
 トにおける決勝戦であるテリー・ファンク対カクタス・ジャックの大一番を
 裁いたのはジプシー・ジョー爺と書きましたが、これは全くの間違い。
 ジプシー・ジョー爺が裁いたのは予選でのカクタス・ジャック対テリー・ゴ
 ディ戦でした。ここにお詫びして訂正させていただきます。

【総 括】
  過度のバイオレンス表現でワシらデス・マッチ・マニアの度肝を抜いた第
 1回トーナメント、ニック・モンドの感動の勝利で幕となった第2回トーナメン
 ト、公認凶器の物量を増やし、それに伴って各選手が流す血の量を増やす
 って、ある種一番単純で手っ取り早い手法で過去の2度のトーナメントを軽
 々と凌駕してみせた第3回トーナメント。
 では今回の第4回トーナメントはどうであったかと問われると、なかなか上
 手い言葉が浮かんで来ません。ただワシが思うのは、過度のバイオレンス
 の追求については前回の第3回トーナメントで頂点が極められていて、今
 回のトーナメントではCZW自体、何かこれまでとは違ったモノを探して模索
 をしていたのではないかって事なんです。
 デス・マッチ・ファイターの絶対数の減少、伸び悩む若手選手、PSACから
 の横槍、定期興行の度に目減りして行く観客動員、etcetc...。
 CZWを取り巻く内的外的な様々の因子が複雑に絡み合って互いに影響を
 与え合った結果、嫌な言葉やけど不可避的にCZWは『延命策』を探し始め
 たんでっせ。で、今回の第4回トーナメントでとりあえず出た答えってのが、
 『万人は無理でも、これまで以上の数のファンに受け入れられる、以前より
 は安心して観戦可能なウルトラ・バイオレンス』
 もっと端的に言えば、『大衆性を兼ね備えたウルトラ・バイオレンス』ってな
 るんやろか。そう考えて再度今回のトーナメントを反芻すると、過去のトー
 ナメントでは必須項目であった高所落下スポットが排除されていて、実際
 にワシらに披露されたのは、過去の激戦の中である程度なら『大丈夫や』
 と整理されたスポットばかりやんか。多分今回『ヤバい』って感じたクレイン
 の持ち込んだ鉛筆トラップは次回以降は排除されるやろし、ゲージが火ダ
 ルマとなった件については『アクシデント』で淡々と処理されるはず...。
 ただこれからのCZWは舵取りが大変でっせ。過度の暴力描写に慣らされ
 たお客を相手に、バイオレンス側に針が振れるとPSACがうるさいし、『大
 衆性』を求め過ぎるとWWEをはじめとする既存のエンタテイメント団体と
 の差別化が図れなくなる。ザンディグ親分や、SMARTMARK社代表取
 締役&現CZWブッカー職のマイク・バーンズ氏の手腕が見物やね。


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