では収録内容の詳細を

BREAKING POINT 2004-10-9 (DVD-R*2
枚)
(約3時間42分収録)
 本作はDVDではなくって、DVD−R。毎度お馴染みSMARTMARKから
2枚組で20ドルにて発売されている団体公認(?)の代物でして、ワシは我
が国で唯一SMARTMARKのオフィシャル・ショップをされている大阪梅田
のイグニッション・レコードさんで2,900円にて購入しました。
別にイグニッション・レコードさんに義理立てするつもりはないけど、米国から
通販で購入すると送料込み27ドル必要となるので、2,900円ってのは非
常に良心的ではないやろか。
さて本DVD−Rの内容は2004年10月9日にペンシルベニア州フィラデル
フィアのヴァイキング・ホール(元ECWアリーナ)にてCZWが開催した定期
興行を完全収録したものです。では早速レビューへと...。

★★DISC−1★★

@James Newblood vs. Javi Air
  駆け出し新人達(多分)によるオープニング・マッチ。両選手とも晴れ舞台
 に舞い上がってしまったか、ミス・ムーヴ連発でブーイングを喰らってしまい
 ました。で、この失態を挽回しようとニューブラッドは場外へのコーク・スクリ
 ュー・プランチャやシューティング・スター・セントーンにより、ハヴィ・エアー
 を沈めよります。けど個人による難易度の高いムーヴは出来ても、プロレ
 って対戦相手との息のあったスポットが肝心やからねェ。もっと対戦相手と
 の絡みでお客様にアピールするようにならんとな。二人とも精進してや。
AJimmy Rave vs. Ian Knoxx
 (Special Guest Referee : Sonjay Dutt)
  ジュニア王者のサンジェイが三角巾で左腕を吊ってリングへ。マイクを握
 って一席ぶっていると、サンジェイの所有物であるはずのジュニアのベルト
 を片手にジミー・レイヴが登場や。ジュニアのベルトについては2004年2
 月7日の定期戦『5 YEARS IN THE MAKING !』でのサンジェイの防衛達成
 後に、何者かに盗まれるって事件がありまして、この下手人がM−ドッグ2
 0だと判明。本興行ではドッグは不参加やけど、ドッグと歩調を合わせるレ
 イヴがベルトをネタにサンジェイをからかいに来たってとこみたいや。
 けどサンジェイも黙ってからかわれているだけではおまへん。正規軍所属
 の伸び盛りのイアン・ノックスを呼び出してレイヴとの試合を強要し、自身
 ちゃっかりレフリーとして試合を裁く役に回ります。
 ってな事で始まった試合なんですが、試合巧者のレイヴによる飛び付き十
 字固めなど変幻自在の攻撃の前に、体格に勝るノックスもなかなか勝機が
 見出せまへん。最後こそ一瞬の丸め込みにレフリーのサンジェイが電光石
 火の3カウントを入れましたが、内容ではレイヴに軍配を上げるべきや。
BTag Team Gauntlet Match :
 CKNY (Cory Kastle & Niles Young)(w/Jude) ,
 Jon Dahmer & DJ Hyde ,
 Sean Bishop & Derek Frazier ,
 The H8 Club (Nick Gage & Nate Hatred) ,
 Chri$ Ca$h & JC Bailey ,
 Chris Hero & "Double C" Claudio Castagnoli ,
 All Money Is Legal (K-Murda & K-Pusha)
  勝ち残り式の7組参加によるガントレット戦。やはり注目は2004年9月1
 1日のPPV『HIGH STAKES』において、ザンディグ親分より年末恒例の金
 網戦『CAGE OF DEATH』の第6回大会にチーム・キャプテンとして参戦しろ
 と命じられたクリス・キャッシュ(直後にはJC・ベイレイを軍団員に指名)と、
 『妻殴り』ことワイフ・ビーターと『正義痛』ことジャスティス・ペインによるオリ
 ジナル・H8クラブとの抗争が勃発した、ニック・ゲージとネイト・ヘイトリッド
 による現行H8クラヴの動向か。
 まず試合は巨漢コンビのダマー&ハイドを現行H8クラヴが十八番のパイ
 プ椅子攻撃にて殴り倒したところで、キャッシュ&ベイレイがリング・イン。
 注目のチーム同士の激突となったのですが、ここに『妻殴り』と『正義痛』が
 強行乱入を行い現行H8クラヴを急襲。キャッシュ&ベイレイには棚ボタ式
 に勝利が転がり込んで来ましたんや。こうなると勢いはキャッシュ&ベイレ
 イに。難敵クリス・ヒーロー(相方は10月5日のIWA−EastCoast旗揚げ
 戦では戦っていたはずのダブルC)組をダブル・フォール・スポットによって
 なんとか退け、チーム・プレーで波状攻撃を仕掛けてくるマネー軍も撃破。
 これによってキャッシュ&ベイレイは、今夜の後半戦でブラック・アウトの
 保持するタッグ王座への挑戦権を手にしてしまいました。
CSpyral vs. Ghost Shadow
  駄目試合。この四文字でレビューを終わらせてもエエ内容でしたワ。トッ
 プ・ロープ上でのワン・ステップから繰り出されるはずの場外ダイヴ、これを
 ゴーストが足を滑らせ見事にずっこけやもんな。ゴーストのマネージャーの
 方が動きもマスクも良かったくらい、本試合には見るべきものが全くありま
 へんでした。
D"Spyder" Nate Webb vs.
 "King" Eddie Kingston (w/The Blackout)
  会場人気では格段のものを持つネイト・ウェブ(IWA−MIDSOUTHから
 の出稼ぎ君)と、黒人非道軍ブラック・アウトに属する“白人のクズ”ギミック
 のキングストンとの一戦。ブラック・アウトの非道さ(極悪って訳やなく、ちょ
 っと悪いって程度やけど)をディスプレイするためにチーム全員で試合に何
 度も介入を行い、最後にはウェブを負かしてしましました。ただブラック・ア
 ウトの非道さは狙い通りにディスプレイ出来たでしょうが、人気者のウェブ
 こんな形で一方的に負け役にしてしまうってのもどうなんやろか。
 片方を立てれば片方が立たないのやとは思いますが、そこをどうにかする
 のが脚本家(誰なのかは知らんけど)の役割のはずでっしゃろ...。
EEl Generico & eXceSs 69 vs.
 Crazy Crusher & "Mr,Wrestling"Kevin Steen
  カナダの異能集団IWS(Internet Wrestling Syndicate)に所属する4選
 手によるタッグ戦。まるでサッカー場に居るかの様に一部観客からはチア
 ・ホーンの吹き鳴らす音と、『♪オレ〜、オレオレオレ〜♪』の合唱が湧き
 上がる、なんとも奇異な雰囲気の中で試合は行われました。
 最後は“ミスター・レスリング”の異名を誇るケヴィンがパッケージ・パイル
 ドライバー(相手の両足を固める変形式の技)一発でジェネリコ(こいつが
 一番人気でした)を沈めましたが、正直言ってそこまで無理やり盛り上がら
 なくってもってのがワシの偽らざる感想。CZWもここ最近はタレント不足な
 ので、IWS勢に頼りたいってところなんやろけど...。

★★DISC−2★★

@CZW Iron-Man Championship :
 Homicide vs. Chris Hero
 (w/"Double C" Claudio Castagnoli & Black Jack Marciano)
  ジミー・レイヴの腰からアイアン・マン王者のベルトを引っ剥がした以降は、
 のらりくらりとこの王座を防衛し続けるクリス・ヒーロー。なにやらダブルCと
 マシアーノを手下として雇い入れたみたいですワ。
 さて試合の方ですが手下達のおちゃらけ介入も容認しつつ、難敵ハマサイ
 ドのフィニッシュ・ムーヴであるコップ・キラーを二度も防ぎ、何時も通りに複
 雑怪奇な複合技を披露したクリス・ヒーロー。けどハマサイドのエース・クラ
 ッシャーをモロに喰らい、アイアン・マン王座防衛に赤信号が灯ったかと思
 わせた瞬間、『正義痛』ことジャスティス・ペインが突然の試合介入や。
 この好機を逃してなるかと、ヒーローがハマサイドを丸め込み3カウントを
 ット。どうやらヒーローと『正義痛』は内通していたようですな。
 当然ベルト奪取のチャンスを奪われたハマサイドは激怒、次回11月14日
 の定期戦で両者の一騎打ちが組まれそうな雲行きですワ。
AJay Lethal vs. Roderick Strong
  コーナー上段からのバンザイ・ドロップを放つ際、足を滑らせて無様な姿
 でマット上に落下し、脛を強打してしまったジェイ。どうも今夜は皆さんミス・
 ムーヴを披露してしまいますな。これって誰か一人がやらかしてしまうと、
 連鎖的に後の試合に出る選手へ伝播してしまうものなんでしょうか。
 試合はロドリック・ストロングに凱歌が上がるんやけど、試合後にアレックス
 ・シェリーが姿を見せ、ジェイやロドリックに共にジュニア戦線を盛り上げよ
 と提案。これにはジェイもロドリックも異論がないような仕草や。でも突然ロ
 ドリックがアレックスに不意討ちを一発。これまた次回11月14日の定期戦
 で両者の一騎打ちを組まんとアカンような雲行きですワ。
BCZW World Tag-Team Championship :
 Blackout (Ruckus & Sabian)(w/Eddie Kingston , Robbie Mireno ,
 Maven Bentley) vs. JC Bailey & Chri$ Ca$h
  タッグ王座戦を前に、ブラックアウトの広報担当ジョン・ハウスが登場。リ
 ング上に椅子を二つ用意して、ガントレット戦を制してタッグ王座への挑戦
 権を手にしたクリス・キャッシュとJC・ベイレイを呼び出し、即席のトーク・シ
 ョーを開催や。当然これには裏があると用心していたはずのキャッシュとベ
 イレイでしたが、やはりと言うかなんと言うかブラックアウト側総出の奇襲
 を受け、劣勢のままに試合へ突入する羽目に。それでも年末恒例の金網
 戦『CAGE OF DEATH』に出場するキャッシュとベイレイを強力にプッシュせ
 んとアカンって団体の事情もあって、ブラックアウト側のセコンドがサビアン
 にベルトでの誤爆を見舞うってスポットを用意させ、ブラックアウト側からキ
 ャッシュとベイレイにタッグ王座を強引にスイッチ。
 おいおいそこまで露骨にキャッシュとベイレイを売り出すんかいなって思っ
 たら、どうやら今回のタッグ王座戦の誓約書にカラクリがあって、ベルトそ
 のものはブラックアウト側へ残ったみたい。フーン、古典的なネタですな。
 で、ブラックアウトにボコられるキャッシュとベイレイ救出に現れたネイト・ウ
 ェブがチーム・キャッシュに合流したところで、ザンディグ親分が登場。
 2004年6月12日の定期戦『TRIFECTA ELIMINATION U』を前に、ブラッ
 クアウトと決別しイラクへの派兵のためにCZWから一時退団していたジョ
 ーカーの復帰をアナウンスし、次回11月14日の定期戦でキャッシュ、ベイ
 レイ、ウェブ、ジョーカーの4人と、ブラックアウト側との4対4での対戦カー
 を組んだと客席に向けて説明。ウーン、この試合もまた次回興行に向けて
 のネタ振りの場でしたんやね。
CCZW World Heavyweight Championship :
 Messiah (w/Adam Flash & Dewey) vs. KAOS
  2004年9月11日のPPV『HIGH STAKES』で忽然とCZWマットに姿を現
 したケオス。もともとはメサイア同様XPWを主戦場しており、XPW時代に
 はメサイア率いるブラック・アーミーの構成員からスタートして、その後には
 エンタープライズなる新軍団を結成してメサイアとは敵対していたんや。
 またXPW(オーナーはロブ・ブラック氏)って団体自体、当地フィラデルフィ
 アを根城とするECWやCZWを目の敵にして来たって歴史もあります。
 そんな背景を持つメサイアとケオスがヴァイキング・ホール(元ECWアリー
 ナ)でCZW世界王座を争うってのは、米国独立団体の興亡を眺め続けて
 来たマニアさんには感慨深いものがあるんやないやろか。
 ただしケオスって選手自体がちょっと問題。顎がしゃくれていて、酸欠の池
 の鯉みたいに何時も口をポカンの空けているのは仕方ないとしても、元々
 プロレスの腕には?マークの付く奴でして、XPW時代にフィラデルフィアに
 遠征した際もさしたるインパクトを残せなかったんですワ。
 物珍しさだけでこんな奴を絡まして大丈夫かいなと心配しましたが、ワシの
 悪い予感はモロに的中。メサイアのセコンドに付いたアダム・フラッシュの
 椅子攻撃を受けて見え見えのブレード・ジョヴを行ったケオス、これでお役
 御免とでも思ったか、レフリー誤爆スポットとハマサイド&『正義痛』の無差
 別テロ乱入(何が目的なのか全く不明。これが両者による“真”の無差別テ
 ロ乱入なら我慢もするけど、脚本家のペンによる乱入なら最低最悪の代物
 でっせ!)を盛り込んで、メサイアから土を付けられるのが精一杯でした。
 しかも止めておけばエエのにケオスがメサイアに再戦を求めると、メサイア
 は次回11月14日の定期戦で腹心のフラッシュを倒せば、お前の挑戦を再
 度受けてやると提案。すると、ならばケオスを倒せば俺が世界王座への挑
 戦権を得るんだと理解したフラッシュが、メサイアにダブルクロスの椅子攻
 撃を見舞って王座を巡るストーリーへ堂々名乗りを上げる始末や。

【道頓堀次郎のボヤキ】
  おいおい、メイン・エベントを含めて大半の試合が次回興行に向けてのネ
 タ振りの場かいな。物語にピリオドを打たず、お客の興味を引き続けるって
 のはプロレス団体運営の鉄則やけど、ここまで露骨なのってどないなんや
 ろか。物語にピリオドを打たないって事と同じくらい、起承転結の『結』って
 のもプロレス団体運営には大切なんやけどなァ。今のCZWって起承転結
 やなしに、起承転の繰り返しばかりに感じるワ。ここら辺りはライヴの客も
 微妙に察しているようで、今回の定期興行は観客の動員数も会場の雰囲
 気も低調やったデ。
 多分常連客達の頭の中には、「どうせ今夜の定期戦は年末に向けてのネ
 タ振りばかりや、わざわざ銭を出して観に行く必要はないデ」って読みもあ
 ったんやないかな。WWEみたいに週一の定期放送でネタを振って、月一
 のPPVで決着ってスケジュールをCZWが組めんのは分かるけど、いくつも
 の物語が同時に平行して走っているんやから、どれか一つくらいはキチン
 幕引きとなる物語があってもエエのに。


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