では収録内容の詳細を

RELOADED 2nd NIGHT 2004-1-10
(約1時間32分収録)
 小島聡の参戦や、主要レスラー達のゼロ・ワンへの大挙登場など、何かと
日本マットとも繋がりのあるMLW(Major League Wrestling)。02年7年15
日の旗揚げ興行はフィラデルフィアでの開催やったけど、ワシの知らぬ間に
活動拠点がフロリダ周辺へ変更となったみたいや。
で、今回ご紹介するのは2004年1月10日にフロリダのオーランドにて開催
された定期戦(前日との2日間連続興行ですんや)の模様を収めたDVD。
これ、当HPではお馴染みの米国プロレス・グッズ通販店『HIGHSPOTS』
が監修〜作製〜販売までしとるようで、単体でなら13ドル弱の価格なんで
すが、他の2タイトルと一緒のセット売りでなら30ドルにしますってセールが
あり、ワシはこの甘い言葉にまんまと乗せられてセット売りの方を選んでしま
いましたんや。では早速レビューへと...。

@MLW Championship Barbed Wire Match :
 Steve Corino (w/J.J.Dillon) vs. Terry Funk
  前日の興行において行われたタッグ戦の結果をもって(よく分からない
 ルールでしたが)、今宵最初に行われますはMLW認定のヘビー級王座
 に君臨するコリーノと、御大テリーとの有刺鉄線式のタイトル戦です。
 しかもゴング前にコリーノがマイクを握り、「どないやこの試合、“アイ・クイ
 ット・ルール”でやろやないか」と御大テリーを挑発や。で、これにテリーも
 異論を唱えることもなく、血生臭くなりそうな予感の試合は運命のゴング。
 さて試合なんですが、CZWみたいに試合の序盤からガンガン有刺鉄線
 等を使うってハイ・スパート・デス・マッチではなく、すぐには有刺鉄線に飛
 ばす、また有刺鉄線に飛ばされてもまずは必死に有刺鉄線から回避して
 みせるといった、言わば『オールド・スクール式』の有刺鉄線マッチを両者
 が意識して披露した感じなんや。こうして最早手垢まみれの有刺鉄線マッ
 チが本来持っている危険度を客席に再確認させたのは、さすがは御大テ
 リーと、曲者スティーヴ・コリーノやな。
 けどいつまでも有刺鉄線マッチで流血スポットを避けて回る訳には行かな
 いですやんか。ならばとコリーノがリング設営用のレンチでテリーを殴り付
 けて、続いて有刺鉄線によりテリーの額を切り裂き出すんです。
 でもテリーも黙ってやられてばかりではおまへんワ。コリーノをリング外へ
 と引きずり出して本部席テーブルでのパイル・ドライバーを一閃でっせ!。
 これ、80年代末にテリーがリック・フレアーの持つNWA世界王座を付け
 狙って見舞った一撃を彷彿とさせる代物でして、多分技を喰らったコリーノ
 も内心はウハウハのルンルン気分やったんやないやろかなァ(苦笑)。
 考え過ぎって言われたらそれまでやけど、フレアーの個人ものDVDには、
 89年11月15日に行われたフレアーとテリーとのNWA王座戦が収録さ
 れていて、これが本試合と全く同じ構図(テリーによる“アイ・クイット戦”で
 の王座挑戦)。NWA⇒MLWとベルトの価値も違うし、有刺鉄線も付加さ
 れていて、テリーも歳を食ったけど、ここら辺りはプロレス小僧のコリーノら
 しさ大爆発って感じのマッチ・メークやと思いまへんか?。
 最後はコリーノの援護にとCW・アンダーソンとサイモン・ダイアモンドが介
 入し、テリーは有刺鉄線を体中に巻かれて(実際は、ほとんどテリー自身
 が率先して自らの体に巻いていたけどね)絶体絶命。
 何度もマイクを差し出されて「参ったって言え!」って強要されます。
 それでも頑として降参しないテリー、これでは収集がつかないと判断した
 のやろか、レフリーが試合を無理やり止めてしまいました。
 あ、狙い通りのベルト防衛に気炎を上げるコリーノ一派と入れ替わり、試
 合終了後のリング上にはかのゲイリー・ハートが登場。精根尽き果てたテ
 リーの横腹を蹴りまくるなど、今後の新たな展開を予想させる一幕もありま
 したデ。それにしてもテリーとコリーノ、いつもエエ試合をやってくれるなァ。
AMLW Jr. Heavyweight Championship Four Corners Match :
 Sonjay Dutt vs. Chasyn Rance vs. Jack Evans vs. Puma
  2003年9月19日の定期戦にて8人参加のワン・ナイト・トーナメント戦
 を制し、晴れてMLW認定の初代ジュニア王者タイトルを手にしたサンジェ
 イ。前日の興行ではジャック・エバンスを下しベルトを守ったのですが、どう
 もMLWのブッカー殿はサンジェイに試練を与えたい様で、今宵は4コーナ
 ー戦でのベルト防衛を言い渡されたんや。でも相手が3人に増えようと、サ
 ンジェイは慌てふためく様子など皆無。エバンスにキン肉バスターを仕掛け
 つつ、左足はリングに横たわるランスの喉元にレッグ・ドロップとして投下。
 続いてプーマを十八番のひねりを加えた月面水爆にてフォールですワ。
 ま、サンジェイの楽勝&完勝ってとこでしたな。
BChad Hart vs. Richard Criado
  ゲイリー・ハートの息子であるらしいチャド、試合中に空足を踏んで負傷し
 たとの猿芝居を演じたリチャードからロープ悪用のフォールでズル勝ちや。
 お父さん(Gに絶賛出演中)の前で勝てて良かったね。いやいや、これも
 お父さんの『後ろ盾』あってこその勝利でっか(苦笑)。
CLos Maximos (Jose Maximo & Joel Maximo)
 vs. Norman Smiley & Julius Smokes
  『黒い藤原』と異名を取ったスマイリーによる『ジャジャ馬ファイト』を期待
 ての観戦となった本タッグ戦なんやけど、マキシモ兄弟の激しい攻撃の前
 にローン・バトルを強いられたスモークスが今にも沈没寸前。これは短期決
 着かと思ったのですが、よくよく見てみるとスモークスが味のあるやられっ
 ぷりをちゃっかりと披露してますんや。結局、マキシモ兄弟も大爆発とはな
 らず、ワシの待ちわびたスマイリーの『ジャジャ馬ファイト』も披露されぬま
 まスモークスに土が付き試合は終了。ウーン、どうやらこのスモークスって
 奴、周囲の選手達の『輝きを消す』高度な技術を有しているみたい(←余り
 真に受けんといてや)。
DMichael Modest, P.J. Friedman & Chris Hero
 vs. M-Dogg 20, "Modern Marvel" Matt Martel & Bobby Quance
  腕の立つ選手も参戦しているのですが、こうしてキー・ボードを叩いてい
 るワシの記憶に残っているのは、モデストがマーテル(3PWマットではマ
 ット・ストライカーと名乗っています)の女子マネに手を出した場面と、最終
 的にマーテルが勝ち名乗りを受けていたって事。後は試合の全編を通して
 マーテルのおちゃらけファイトが展開されていたって印象だけですワ。
EJerry Lynn vs. Teddy Hart
  前日の興行でハマサイド&ロー・キィとの遺恨が生まれたはずのリンで
 すが、何故か組まれたのは『21世紀のルース・キャノン』ことテディ・ハート
 との一戦。確かに美味しい顔合わせではあるけど、それなら前日のイザコ
 ザは何やったのやろか(まさか、ホンマに喧嘩していたとか?)。
 試合はハートがリンの左腕に一点集中で攻撃を仕掛け、リンもTKOなどを
 繰り出して反撃を試みたものの、最後はハートによる反転式竜巻450にて
 ベテランのリンに土が付いて幕に。この試合、もうちょっと時間を割いてじっ
 くりと見せて欲しかったってのが正直なところですワ。
FGTC Carnival Finals (Three-Way Match) :
 The Stampede Bulldogs (Harry Smith & T.J. Wilson)
 vs. Havana Pitbulls (Ricky Reyes & Rocky Romero)
 vs. Dark Fuego & Pete Wilson
  前日の興行で各々タッグ戦を勝ち抜いた3チームによる、3WAY式のタッ
 グ戦。そうDVDのジャケットにも、DVDのチャプター画面にも、前日の興行
 においてテラス席の手摺より揃って月面水爆で舞い降り、お客さんのやん
 やの声援を得たヒューゴとウィルソンも参戦しているって書かれてあるんで
 すワ。それやのに実際に収録されているのは切れ味鋭い攻撃を仕掛ける
 ハバナ・ピットブルズと、大柄のスミスの体躯を効果的に活かした合体技
 を仕掛けるブルドッグスの絡みのみなんや。ヒューゴとウィルソンは最初に
 敗退してしもたんやろか。どうも全体を通じて雑な編集のDVDなんです。
GLow Ki (w/Gary Hart & ?) vs. Chad Collyer
  NWA−TNAやROHでも組まれそうな顔合わせ。試合はロー・キィによ
 る変形チキン・ウィングとキャメル・クラッチの複合技などを盛り込み、チャド
 の反撃スポットも加え、最後はロー・キィのセコンドに付いたゲイリー・ハー
 トの側近(名前は不明)による介入もあってロー・キィに凱歌が。
HScrewface Match :
 Vampiro vs. Raven
  前日の興行でイザコザのあった2人による遺恨清算戦。開始早々戦場
 は場外へと移り、本部席なども破壊しつつ進行や。ま、抜き差しならぬ2人
 って『設定』なので、楽で安直過ぎる試合展開でもOKなんやろね。
 最後もレイヴェンの投げたパイプ椅子がレフリーを直撃し、直後のレイヴェ
 ンによるバンピーロへのフォールをレフリーが見逃すってありがちなスポッ
 トを披露ですワ。当然レイヴェンは不服を失神中のレフリーに申し立て、背
 後からバンピーロがスピン・キックを食らわそうと迫っているのに気が付か
 ず...。で、ここでちょっと愚痴ります。上記した様に楽で安直な展開と、
 古典過ぎるオチの付け方の試合なんですが、もともと『この手の試合』に
 はワシは理解があるんです。けどね、演じているレイヴェンとバンピーロに
 少しの熱意も感じられんかったんや。『銭の取れる古典』と『古典を安直に
 模倣してお茶を濁す』ってのは全くの別物でっせ。それと古典って今となっ
 ては何処の誰が始めたものでもない、言わば商標登録のない『無形文化
 財』みたいなものやんか。それだけに自分達が楽をしたいからと古典の模
 倣に逃げるのは、全ての先人達の功績に唾を吐くようなもの。
 もう一度書いておくワ。古典を逃げ道にするな。以上です。
IMLW Tag Team Championship Weapons Match :
 C.W. Anderson & Simon Diamond
 vs. The Samoan Island Tribe (Samu & Mana)
  CWとサイモンの保持するタッグ王座に、強敵サモアン軍が挑むって図
 式のタイトル戦。試合の全般を通して、椅子攻撃を盛り込んだサモアン・ス
 タイルのファイトでサムゥ&マナが押せ押せの大攻撃や。これはアカンとコ
 リーノが試合に堂々と介入し、『エクストリーム・ホースメン』の盟友である
 CWとサイモンをバック・アップするも、サモアン軍に軽〜く一蹴されてしま
 い、これはいよいよタッグ王座移動かと思わせたものの、最後はJJ・ディ
 ロンの手助けもあってCWとサイモンが薄氷の王座防衛です。
 『エクストリーム・ホースメン』ってユニット自体がリック・フレアーの率いた
 『4人の騎士達』ってユニットの現代版でして、JJ・ディロンは当時『4人の
 騎士達』の脇を固めていた名脇役なんや。今回のこの人選、『オールド・ス
 クールの王』を自負するコリーノとしても面目躍如ってとこやろかね。
 また試合自体、Hと同様に『古典の焼き直し』的なところもあるのやけど、
 Hとは違ってJJ・ディロンを巡る軽いくすぐりを含め、キチンと現代劇にリメ
 イクされており、試合後半のくどいまでのネタ回しもあって楽しめました。
 Hでは大いにミソを付けた今宵の興行ですが、@と本試合、そして他の力
 の入った試合もあり、及第点以上を付けられる仕上がりとなってまっせ。


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