では収録内容の詳細を
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Scott Hall in ECW 2000-11-11 (DVD-R)
(約2時間20分収録) |
ECW存命時に、地方でのドサ回りを含め、その興行の大半をビデオ収
録したと伝えられる米国のプロレス・グッズ屋『RF-VIDEO』。
これまでは120分テープのVHSテープを使い、2倍速録画なんて実に得
体の知れないフォーマットで秘蔵映像を収録し、全世界のECWマニア相
手に通販で商売をしておりましたんや。
で、その『RF-VIDEO』も昨今のECW再評価の潮流とデジタル化の波を
感じ取ったか、今となっては非常に貴重な過去の映像ライブラリーをDVD
−R化して順次発売すると決めたみたいなんです。
さて、今回ご紹介するDVD−Rの内容はと言うと、2000年11月11日に
ニュー・ヨークにてECWが開催した定期興行の模様を収録したもの。
さぁ、掛け値なしの超ビッグ・ネームをスペシャル・ゲストとして招いた本興
行、早速内容を報告いたしますワ。
○ウワッ、スコット・ホールや!
DVD−Rを再生した途端、モニター画面に映ったのはスーパー・スター
のスコット・ホール。WCWを解雇され、ちょっとした気紛れでECWに現
れたのでしょうか(この辺りの裏事情、誰かご存知ないでっか?)。
このビッグな客人の登場に客席も大興奮。また、ホール自身も客席の
沸き様を目の当たりにしてまんざらでもない様子や。
けどここにルー・E・デンジャラスリー(ポール・Eのパロディさん)が出て
来て、「ワシこそが本当のボスだ」と難癖を付け出して...。
@Scott Hall vs.
Big Sal E Graziano (w/Guido Maritato & Tony Mamaluke)
ホールと戦うのは、日頃はグイドー&ママルークが組む『純血イタリア
人』ギミックの後ろ盾として暗躍している巨漢のビッグ・サル。ホールも
試合開始早々くわえていた爪楊枝をサルに投げ付けて格の違いを強調
するものの、サルの巨体を持て余し気味。それでも頑張ってサルをボデ
ィ・スラムに投げ捨てたのですが、これが惨めな腰砕け。この後はグイド
ー&ママルークも介入を行ってサルを援護。遂にスーパー・スターのホ
ールがサルの巨尻に圧殺さてれしまいました!!!。
○ジャスティン、吠える!
この夜の興行の僅か6日前、PPV『November To Remember 2000』
にてジェリー・リンの保持するECW王座を巡り、リンやサンドマンやステ
ィーヴ・コリーノと『ダブル・ジャパディ』戦なる余り聞き慣れない形式の世
界タイトル戦を行ったジャスティン。最後の最後でコリーノに負けてベルト
を手にする事は出来なかったのですが、リングに上がって不満たらたら
でその際の愚痴を垂れておりまっせ。
AMichael Shane vs. Mad Dog
いきなり場外へのサマー・ソルト・プランチャを放って客席の目を釘付け
にした、ショーン・マイケルズの甥であるマイケル・シェーン。コーナーか
らミル・マスカラス風にダイヴィング・ボディ・アタックを見舞ってドッグを
下したけど、正直あっぷあっぷで足が地についていなかった感じです。
BHot Commodity (Julio Denard & Chris Hammerick
& EZ Money w/Elektra)
vs. Yoshihiro Tajiri & Mikey Whipwreck & Super crazy
息の合った者達による6人タッグ戦。タジリ&マイキー&クレイジーに
よるパイプ椅子を使ったトリッキーなスポットも披露し、これは余裕で勝
利かと思わせたのですが、なんとタジリが比較的短時間でハムリックの
レッグ・ドロップに沈められる大波乱。しかもこの結末を巡り、タジリとクレ
イジーが殴り合いの内輪揉め...。
CYoshihiro Tajiri vs. Super crazy
って事でいきなり始まった(←そんな事はないか)タジリとクレイジーの
シングル戦。なる程、先の試合の勝負時間が短かった訳やね。
試合はタジリによるフット・スタンプでの場外テーブル葬、クレイジーによ
る月面水爆での場外テーブル葬と、組んで良し、戦って良しの両人のス
キルの高さを感じさせる内容。終盤、緑の毒霧がレフリーを直撃し、これ
でタジリの攻め手も尽きたかと思わせたら、これまでずっとリング下で2
人の戦い振りを眺めていたマイキーがタジリに助け舟。
元々はPPV『November To Remember 2000』の試合中に発生したアク
シデントが引き金となって、なんとなく組む事となったタジリとクレイジー。
喧嘩別れになったけど、これで『元の鞘に納まった』って事なんやろか。
DDanny Doring & Roadkill
vs.Prodigy & Bilvis Wesley
(w/Oz & John Phoenix & Chris Kruger & Prodigette)
女子マネ(Prodigetteって名前である事を、某巨大掲示板でお教えい
ただきました。感謝!)も含む6人全員攻撃でドーイング&ロード・キル
に仕掛けた若手一派。しかし6人全員が次々コーナーに押し込まれ、
最後に巨漢ロード・キルの圧殺攻撃をモロに受けてしまいます。
で、馬鹿馬鹿しかったのが、ここから。ロード・キルが圧殺を解くと、6人
全員がパタパタと対角線側のコーナーに向けて倒れだし、口部、局部、
尻部など、ちょっと恥ずかしい場所を接点に、全員が数珠繋ぎ状態とな
ってしまいますんや。ここまでやってくれたら何も言いません。最高!!。
あ、この後にグイドー&ママルーク&サルが乱入し、ドーイングの頭髪
とロード・キルのご自慢の髭をハサミで切り刻む暴挙を行っております。
ENova vs. Little Guido
(w/Tony Mamaluke & Big Sal E Graziano)
ユニットとしての『純血イタリア人』ギミックから発展したのやろね、グ
イドーは『シシリー島出身のシューター』って個人ギミックも用いているの
ですワ。この夜もノヴァの放った飛び技を電光石火で脇固めに捕らえる
など、“シューター”ギミックがハッタリではない事をさり気なく披露や。
で、最後はママルークやサルまで介入させた末のフォール負け...。
別にアホ・キャラに固執せんと“シューター”ギミック一本で勝負も出来る
やろに、それでもアホ・キャラをやってしまうのがこの人のバランス感覚
なんやろな。リトル・グイドー、ワシは大好きな選手です。
FECW World Title Match :
Jerry Lynn vs. Steve Corino (w/Jack Victory & Dawn Marie)
この夜の興行の僅か6日前、PPV『November To Remember 2000』
にてジェリー・リンの保持するECW王座を巡り、リンやサンドマンやジャ
スティン・クレディブルと『ダブル・ジャパディ』戦なる余り聞き慣れない形
式の世界タイトル戦を行い、最後にジャスティンを下して新王者となった
スティーヴ・コリーノ。今夜はリンのリターン・マッチを受ける事となったみ
たいです。さて『オールド・スクールの王』を自認するコリーノ、王座に就
いて自らが理想とする王者像ってのを我々にアピールせんとアカンので
すが、彼が選んだのは徹底した受け。これ、ある意味なる程なって感じ
の選択ですワ。で、リンの厳しい攻めを一方的に受け続けていたコリー
ノですが、ここにジャスティンが竹刀を持って現れ、問答無用の無差別テ
ロを実行。リンのリターン・マッチは無効試合となってしまいました。
GECW World Title Match :
Sandman vs. Steve Corino (w/Jack Victory)
ジャスティンの無差別テロにより、結果的に大事な王座を守る事が出
来たコリーノ。止せばエエのにマイクを握り、「WWF、WCW、プエルトリ
コ、日本、何時でも、誰の挑戦でも受ける!」と豪語や。
すると会場にはメタリカの名曲『エンター・サンドマン』が流れ、ビール缶
を片手にしたサンドマンが勇躍登場。「それならワシの挑戦を、今ここで
受けてくれ!」って事なんやろね。それと本DVD−Rには『エンター・ザ
・サンドマン』を大合唱する客席の声がダイレクトに収録されておりまし
て、これが鳥肌ものの大迫力。これ、市販の正規ルートで販売されてい
るDVDやビデオ・テープでは決して味わえない臨場感でしたワ。
さて「何時でも、誰とでも」とは言ったが、「今から、アンタと」とは言った
覚えがないと半泣き状態(エエ顔してたデ、役者やのゥ)でサンドマンの
申し出から逃げようとするコリーノですが、竹刀と缶ビールを頭に喰らっ
てはどないしようもおまへん。で、当初予定になかった(←そんな事はな
いか)番外世界タイトル戦が始まったのやけど、ここでもコリーノは徹底
した受けの美学を展開。実際、場外フェンスや梯子などを持ち出してサ
ンドマンが攻めて来るのを一身に受け止め、最後の最後にネック・ブリ
ーカー・ドロップ一発で薄氷の勝利を得るまで、攻撃のシーンは皆無。
ウーン、Fで自らの理想とする王者像を云々って書いたけど、Fとこの
Gでキッチリとコリーノは王者像を披露してくれましたデ。そう、この2試
合はスティーヴ・コリーノの王者としての所信表明なんですワ。
HFalls Count Anywhere Match :
Simon Diamond & C.W.Anderson & Swinger
vs. Tommy Dreamer & Christian York & Joey Matthews
『いつも問題を抱える男』サイモン・ダイアモンドらにエニィ・ウェア・ルー
ルで挑むのは、ヨーク&マシューズの人気者コンビを従えたトミー・ドリー
マー。けど自身を含め、身内は全員流血。コーナーに立て掛けたテーブ
ルに向けてアンダーソンを十八番のデス・バレー・ドライバー(別名スピコ
ーリ・ドライバー)で投げ付けるも決定打とはならず、敗色濃厚となったと
ころで思わぬ助け舟。以前はダッドリーズお抱えのリング・アナとして活
躍していたジョエル・ガートナーが、暑苦しいダブダブの肉体にジャイア
ント・キマラそっくりのペイントを描いて登場ですワ。この滑稽な闖入者に
ペースを乱されたか、サイモン組に土が付くのですが、凄惨だったのは
ここから。ドリーマー、ヨーク、マシューズ、ガートナー、4人揃ってボコボ
コの目に遭わされてしまいました。
IECW TV Title Match :
Rhino vs. Kid Kash
8月26日の定期戦以降、TV王座を巡って対立し続けるライノとキャッ
シュ。キャッシュは華麗な飛び技で攻撃をするのですが、波に乗りそうに
なる度に獣人ライノのゴアが猛然と火を噴き、攻撃が単発単発となって
しまいます。最後もコーナー上から力任せにパイル・ドライバーで叩き落
され敗退となったキャッシュでしたが、やはりライノの牙城は易々とは崩
せないのでしょうな。あ、まだこんなモノでは物足りないとキャッシュに
仕上げの一発を狙ったライノ。けど場内にはAC/DCの『地獄のハイ・ウ
ェイ』が大音響で流れ、スパイク・ダッドリー君がキャッシュ救出に出現し
て、アシッド・ドロップにてライノを料理。スパイク君、エエとこ取りの楽な
お仕事でしたな。
JBalls Mahoney & Chilly Willy
vs. Da Baldies (Angel & Tony DeVito)
これ、元々はウィリーと『暴走禿頭軍』のデヴィトとのシングル戦だった
のですが、デヴィトの相方であるエンジェルがパイプ椅子を持って試合に
介入したため、ならばと『椅子大王』のマホーニーも急遽登場となった次
第です。ま、試合ってよりも、ド突き漫才ってとこでっか。
KScott Hall vs. Justin Credible (w/Francine)
最後の最後に再び登場したのはスコット・ホール。ジャスティン・クレデ
ィブルとのシングル戦です。さて、90年代のある時期、WWEの前身W
WFには、ショーン・マイケルズ(HBK)、ケヴィン・ナッシュ、スコット・ホ
ール、ショーン・ウォルトマン(後のX−PAC)、ハンター・ハースト・ヘル
ムスリー(後のHHH)らによる『KLIQ』って派閥があったそう。これ、リン
グ上のアングルとは全く別物の、バック・ステージにて気の合うレスラー
達によるグループでして、個人では会社に対して言いたい事も言えない
ので、皆で結集して簡単に会社の言いなりにならないようにしよう、王座
を巡る戦いの輪を派閥内で回し、常に自分達が団体の主役でいよう、っ
て狙いも持っていたそうです(←間違っていたらゴメンね)。
で、当時「ポルトガルの兵士」アルド・モントーヤなるギミックで“ジョバー”
役を務めていたジャスティンも、正規メンバーではない(?)ものの、『KL
IQ』の周辺をチョロチョロとしていたそう(←間違っていたらゴメンね)。
ま、当時のジャスティンからすると、スコット・ホールってのは雲の上の存
在だったのだと思います。よって、月日が流れ、WCWを解雇されたスコ
ット・ホールが突然ECWに現れて、「なぁ、昔のよしみやんケ。銭金の
問題やなしに、ちょっとリングに上げてくれへんか」なんて頼まれたら断
り切れんかったやろ(←大半がワシの妄想、笑い飛ばしてや)。
尚、試合の内容ですが、これはもうホールのワン・サイド・ゲーム。
いや、別に一方的に攻め立てて勝ったってのじゃなく、ジャスティンの側
に遠慮以上の『何か』があるのがモニター画面の前のワシにもひしひし
と伝わって来て...。スコット・ホール、フランシーンの介入も余裕でい
なして、ジャスティンをレイザーズ・エッジにて下しておりますワ。
【追記】
今回のスコット・ホールのECW参戦、このレビューだけをお読みになる
と2000年11月11日一夜限りと思われるでしょうが、『RF-VIDEO』の商
品紹介欄を見ると、どうやら前夜の11月10日が初参戦やったみたい。
前夜のホール、ジェリー・リンと組んでジャスティン&ライノと対戦している
ようで、こちらも何時かは映像入手したいな、なんて考えております。 |

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