では収録内容の詳細を

Return of Dudley Boyz 2000-12-15
(DVD-R*2枚)
(DISC-1 : 約1時間54分収録)
(DISC-2 : 約1時間43分収録)
 ECW存命時に、地方でのドサ回りを含め、その興行の大半をビデオ収
録したと伝えられる米国のプロレス・グッズ屋『RF-VIDEO』。
これまでは120分テープのVHSテープを使い、2倍速録画なんて実に得
体の知れないフォーマットで秘蔵映像を収録し、全世界のECWマニア相
手に通販で商売をしておりましたんや。
で、その『RF-VIDEO』も昨今のECW再評価の潮流とデジタル化の波を
感じ取ったか、今となっては非常に貴重な過去の映像ライブラリーをDVD
−R化して順次発売すると決めたみたいなんです。
さて、今回ご紹介するDVD−Rの内容はと言うと、2000年12月15日に
ニュー・ヨークのエクルズ・ロッジにて開催された定期戦が収録されたもの。
で、当時のECWなんですが、会場こそ超満員に埋まっているものの経営
難によって崩壊の瀬戸際にありました。そこでECWを潰してなるものかと、
ECWからWWF(当時)へとステップ・アップして行ったスーパー・スターズ
が一夜限りの里帰りを決心。さてさて誰が生まれ故郷のリングに戻って来
たのか、まずはワシの拙いレビューでもお読みになってご確認下さいな。

★★DISC-1★★
@Chilly Willy vs. Mike Bell
  最近はアメ・プロ関係の書籍なんかも以前に比べて充実して来ており、
 ワシらズブの素人にも懇切丁寧に業界用語を紹介してくれたりします。
 で、皆様は【ダーク・マッチ】って言葉を御存知でしょうか。新入選手や転
 入選手の腕前を測定するのが目的の試合で勿論勝敗なんて二の次、三
 の次。要はそいつが使える奴かどうかってのを品定めするそうですな。
 さて若手のチリー・ウィリーに秒殺されたマイク・ベル、彼への首脳部の
 評価はどうだったんやろね。ワシなら、もっと勉強して出直して来なさい
 ってのが正直な感想ですが。
○Hardcore TV Opening
  お馴染みのジョーイ・スタイルスとジョエル・ガートナーがリングに現れ、
 ここからは定期TV放送番組収録用のカメラも入ったみたい。
 まずは当時絶賛売出し中であったジョーイ・マシューズとクリスチャン・ヨ
 ークの2人がリングに上がったところで、サイモン・ダイアモンド、CW・ア
 ンダーソン、スインガー、ダーン・マリー嬢からなる悪者(って程は悪くな
 いんや、ホンマは)ユニットが登場。マシューズ(左手を三角巾で吊って
 いる)とヨークをプロレス番組製作方法の定石通りに痛ぶりだし、ここに
 これまた定石通りに正義の味方役のトミー・ドリーマーも登場。
 しかもまたまた定石通りドリーマーまで悪者ユニットに迎撃されてしまい、
 誰かドリーマーらを救出する骨のある奴は居ないのかって会場内が悲鳴
 に包まれた(←大袈裟やな、ワシ)ところにWWFから一夜限り御帰還と
 なったダッドリー・ボーイズが登場!!。
 実は彼等の御帰還はパンフレットにも書かれてあり、お客さんは全員事
 前にダッドリーズの登場は知っていたはずなんですが、ベタな手法と言
 われようとやはりこんな御帰還方法やと盛り上がり方も違いますな。
 満場の声援を受けたダッドリーズはダーン・マリー嬢に得意の「WAZAA
 AAAAP」を決め、その上ババはマイクを握ってロック様からの借用ネタ
 で「遂に我が家に帰って来たデ!」と嬉しい一席をお披露目や。
 続いて悪者ユニットに対してメインでの『ダッドリー村方式』のストリート・
 ファイト戦を突き付けとりますワ。
AMichael Shane vs. Bilvis Wesley (w/Prodigy & Chris Kruger)
  HBKことショーン・マイケルズが主催するTWA(テキサス・レスリング
 ・アカデミー)より派遣されたマイケルズの甥であるらしいマイケル・シェ
 ーンがエルヴィス・プレスリー・ギミックのビィルヴィス・ウェスリーと対戦
 した試合や。マイケルズの甥ってのはへそ曲がりが大多数を占めるEC
 Wファンの絶好のネタのようで、シェーンも客席からの遠慮のない口撃
 に晒されたんやけど、ウェスリーの力技やプロジディらセコンド陣の介入
 を跳ね返して激勝。これによって場内からヤンヤの歓声を受けました。 
BBalls Mahoney & Nova
 vs. E.Z. Money & Julio Dinero (w/Elektra)
  ECW初期、ノヴァはスーパー・ノヴァって名前でアホ丸出しのスーパ
 ー・ヒーローを演じていたんや。そやのに今や彼も試合の序盤にエンジ
 ンの掛からぬ若手のEZらを引っ張るまでに成長。そうか頑張ったんや
 ねアンタもって思った途端、ロープ・ワークをミスって馬脚をあらわしてし
 まいました。しかもエレクトラ嬢の介入によってEZらに土まで付けられ
 て。けどこうして後輩を売り出してやっているって事実こそが、彼がホン
 マに成長したって証でもある訳でして...。
CJerry Lynn (w/cyrus) vs.
 Christian York (w/Joey Matthews)
  ECW一番の腕達者とヒール系実況者のサイラスに紹介されたリン。
 リング登場と共に場内からの罵声を一身に浴びておりますが、これも
 人気と実力をファンが認知しているからこそ(それでも辛いやろな)。
 試合はリンがヨークに対してカウント3直前まで与えてやる大サービス
 の末、十八番の変形墓石パイルでヨークを一蹴や。
DJustin Credible (w/Francine) vs. Kid Kash
  これまた当時大プッシュ中のキッド・キャッシュが40日前まではECW
 認定の世界王者であったジャスティンと一戦交えとります。
 試合はレフリーの誤爆失神中にDのリンと同様に今度はジャスティン
 がキャッシュにホントに3カウントを与えてやる大盤振る舞い。
 しかも直後に墓石パイルでキャッシュを沈めるって幕の引き方までが
 Dの試合とまんま同じや。
 あ、ジャスティンに仕えるフランシーン嬢、この夜は薄い水色のワン・ピ
 ースに白のTバック。例によって乳首がワン・ピースを突き破りそうに浮
 き出ていて、相変わらずエエおんなやな、なんてワシを唸らしたのです
 が、試合後は何をジャスティンから叱責されたのか半ベソ状態に...。
○場面は変わって...
  WWFなどと違ってほぼ100%若いオトコどもで埋まるECWの会場。
 当然女性客は目立つんやけど、何も皆に「おっぱい見せろ!」って囃し
 立てられたからってホンマにポロリとやらんでも(苦笑)。
EDanny Doring & Roadkill
 vs. Da Baldies (Angel & Tony DeVito)
  エンジェルとデヴィトからなる暴走禿頭軍を迎え撃つは、EWCタッグ
 王者コンビのドーイングとロードキル。どっちも即席コンビではなく、それ
 ぞれそれなりのキャリアを積んだチーム同士の激突でして、当初試合を
 裁いていたレフリーが終盤誤爆絡みで失神となるアクシデントに遭遇。
 と、花道奥からどうやら暴走禿頭軍によって鼻薬を嗅がされた別のレフ
 リーが姿を見せます。これは王者コンビの危機かと思わされたところで、
 またまたWWFから御帰還のスーパー・スターズの登場でっせ。
 先のダッドリーズ御帰還に続き、聞き覚えのあるテーマが会場に鳴り響
 いてサングラスに皮ジャンで決めたなんとも男臭いタズが堂々のリング
 ・イン。悪役(?)レフリーを締め落とし王者コンビのベルト防衛を演出や。
 尚、ドーイングもロードキルもタズやババ・レイが師範を務めていたEC
 Wの選手育成道場『ハウス・オブ・ハードコア』の出身でして、これは何
 とも心憎い演出。「お前ら2人、しっかりやりや」とでも言ってるんやろね、
 リング上ではタズが教え子達に声を掛けて抱擁してやっております。
FECW TV Title Match :
 Rhino vs. Spike Dudley
  小兵スパイク君相手に獣人ライノがやりたい放題。一方的にド突き回
 して、「こっちに投げてくれ!」ってお客の望み通りにリング上からスパイ
 ク君の体を客席へとポイ捨てや。この後も場外テーブルへのパイルを含
 めてスパイク君を完全に抹殺しTV王座のベルトを防衛したライノでした。
 ただ、プロレスってジャンルだけは摩訶不思議。ワシの(そして多分客席
 全員の)脳裏に焼き付いたのはライノの圧倒的な強さではなく、スパイク
 君の身体を張ったボコられ芸。スパイク君、今夜もお疲れ様でした。
 そして身体だけは大事にしてや。

★★DISC-2★★
@Tajiri & Mikey (w/Sinister Minister) vs.
 FBI (Little Guido & Tony Mamaluke w/Sal E. Graziano)
  絶対にハズレのないタジリとグイドーの絡み。これは先刻お客さんも
 承知済やから、さて今夜はどんな展開でワシらを楽しませてくれるんや
 ろかって、最初から皆さんすっかり『出来上がって』おります。
 まぁ当人達にとっては役者冥利に尽きるでしょうが、そこまで期待される
 と普通ならかえってプレッシャーに感じるもの。
 しかしタジリは今夜も複雑怪奇なストレッチ技(しかも2種類)を披露して
 くれるし、グイドーはでグイドーでボケをかましながらも随所に隠し持った
 ナイフをチラリ。最後は純血イタリア軍の連続攻撃にタジリが沈んだけど、
 今夜もお客さんは大満足やったと思いまっせ。
AECW World Title Texas Death Match :
 Steve Corino (w/Jack Victory) vs. Sandman
  11月5日のPPV『NOVEMBER TO REMEMBER』にてリン、ジャ
 スティン、サンドマンと『ダブル・ジャパディ』式の世界王座戦をやり見事
 にベルトを手中にした『オールド・スクールの王』、スティーヴ・コリーノ。
 今夜は因縁浅からぬサンドマン相手の防衛戦なんやけど、例によってサ
 ンドマンの堂々の入場シーンが長いのなんの。
 テーマ曲であるメタリカの名曲『エンター・サンドマン』(場内大合唱となる
 場面は鳥肌ものの格好良さ!)を丸々フル・コーラス使ってもまだリング
 ・サイドで缶ビールをお客さんへ振り撒いているんですワ(苦笑)。
 さて試合なんですが、序盤サンドマンが『オールド・スクールの王』に対し
 てハーリー・レイス張りのバーティカル・スープレックスを見舞うなんて場
 面があり、この時点でワシの涙腺もブチ切れ状態(アホやね)。
 対するコリーノもカウ・ボーイ・スタイルのレスリング・シューズを凶器に使
 い、『オールド・スクールの王』の異名は伊達やないと自己主張。
 で、試合は中盤サンドマンが梯子を、コリーノのセコンドに付いたビクトリ
 ーが場外フェイスを各々リングへと投げ入れ、一気にエクストリーム度が
 高まって来ますんや。
 しかし今夜の試合の公式ルールが10カウント以内に立ち上がれなかっ
 たら負けって『テキサス式デス・マッチ』であった事が両者の命運を分けま
 した。梯子と場外フェンスと椅子が組み合わされたデンジャラス・スポット
 遂行後、サンドマンもコリーノも完全にダウンとなるんです。
 レフリーは無情に10カウントを数え始め、先に立ち上がったのはサンドマ
 ンでしたんや。けど残りのカウントをコリーノへ向けて数えているレフリー
 の背後ではビクトリーがロープ越しにサンドマンへ卑劣な一撃をお見舞い。
 これを見ていたかの様に(実際見ていたんやけどね)コリーノは10カウン
 ト寸前に立ち上がり、では試合続行とレフリーが振り返ると、そこには大
 の字でリングに伸びるサンドマンの姿が...。
 いやはやコリーノらしい幕の降ろし方、お腹が一杯になりましたワ。
BDudley Boys (w/Joel Gertner) & Tommy Dreamer vs.
 C.W. Anderson & Swinger & Simon Diamond (w/Dawn Marie)
  ECW時代にダッドリーズがお抱えのリング・アナとしてコキ使っていた
 ガートナーが当時同様に脂ぎった美声でD・ボンとババを紹介(感激!)  
 して始められた『ダッドリー村方式』のストリート・ファイト戦。
 けどこれは試合ってよりドリーマー(WWF製のダッドリーズのロング・スリ
 ーヴ・シャツを着用)とダッドリーズによるネタ合戦や。特にダッドリーズの
 参戦が嬉しかったのか、ドリーマーは試合そっちのけでスコッティ・2・ホッ
 ティの持ちネタであるはずの『W・O・R・M』やリキシの持ちネタであるは
 ずの『スティンク・フェイス』を出し、挙句の果てにガートナーやリング清掃
 係のアルバイト君までリングに上げてリキシ&トゥ・クールのテーマを流し
 彼等独特のブレイク・ダンスまで再現するなどと乗り乗り状態。
 その上、早く試合の続きをやろうぜって言いた気な悪者ユニット(って程
 は悪くないんや、クドくて申し訳ないけど)がリングに上がった途端、当時
 WWFマットではバリバリのヒールであったダッドリーズの闘志に火が付
 き、何とババは巨大な蛮刀を取り出してCWの額を切り刻む悪行三昧。
 続いてサイモンに「WAZAAAAAAP」が決まり、ダーン・マリー嬢は哀れ
 テーブル・パワー・ボムの餌食と化し、最後にサイモンへダッドリーズのフ
 ィニッシュ・ムーヴである3Dがズバリと決まりましたんや。
 場内は秒刻みの過酷さであるはずのWWFの興行スケジュールをやりく
 りして崩壊寸前のECWを救えと、一夜限りの御帰還を果たしてくれたダ
 ッドリーズに対して感謝の意を示すチャントで溢れ返っておりますが、ワ
 シは見事に噛ませ犬役を完遂してくれたサイモンら悪者ユニット(って程
 は悪くないんや、合計3回も書いてしもたけど)にも感謝しときます。

【追記】ダッドリーズやタズの御帰還でECWが持ち堪えられたのかと言う
 と、それがそうでもなかったとプロレス史は残酷に語ってくれるはず。
 いや、ダッドリーズにもタズにもECWの近い将来の崩壊が感じられたか
 らこそ、潰れる前に一度はお里帰りしとかなアカンって気持ちが働いた
 のかも知れんね。
  さてダッドリーズやお客さんに呼び出される形で最後の最後に花道へ
 姿を表したECWのプロデューサーであるポール・E。何時もの悪役顔は
 どこへやら。ECW崩壊って事実を知る今やからそう思えるのやろけど、
 何やら決意を秘めた男の表情でしたな。
  あ、ダッドリーズの試合は既に『THE BEST OF THE DUDLEY BO
 YZ』ってタイトルでDVD化されとるけど、このDVD版には冒頭のイザコ
 ザ劇は勿論、試合前のババによる2階席の客イジリ等も未収録。
 しかも肝心の試合までダイジェスト収録(WWFからのパクリ・ネタに問題
 があるのかもな)なんです。
 TV局撮影の画像が収録されたDVD版に比べ、このDVD−R版はハン
 ディ・ビデオ・カメラのベタ録りでちょっと観辛いけど、生々しさだけは格
 別ですワ。マニア向けの商品やなんて敬遠せんと、一度ご覧になってい
 ただけたらと思いますな。

【お詫び】上掲したレビューは、以前本興行の模様を収めたVHSテープ版
 を『RF-VIDEO』から購入した際に書いたものに、一部修正を加えたもの
 です。新たに書き下ろすと良かったんやけど、そこまで気力がなくって。

【プチ自慢】DVD−R版を最後まで鑑賞してビックリ。VHSテープ版ではダ
 ッドリーズやお客さんに呼び出される形で花道へ姿を表したポール・Eの
 表情が少々収録されて映像が途切れるのに対し、DVD−R版ではその
 後に缶ビール片手に現れたサンドマンの発声で、ダッドリーズ、ドリーマ
 ー、ポール・E、サンドマンが乾杯するシーンまで収録されていました
 しかもサンドマンの羽織っているアディダス製のジャージ(背中にECW
 のロゴ・マーク入り)、これって2002年2月3日のFMW大阪枚方パーク
 大会でワシがサンドマン本人から6,000円で譲ってもらう事になるやつ
 なんや(詳細はこっちを見てね)。
 こうしてDVD−Rの中でサンドマンが着用していたジャージが、今は我
 が家の押入れの中に保管されているっのも、なんか不思議な気分でし
 たワ。


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