では収録内容の詳細を
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ULTRA CLASH 1993 (VHS-TAPE)
(約1時間45分収録) |
本作はDVDではなくって、VHSテープ。米国の『RF-VIDEO』ってちょっ
と怪しいプロレス・グッズの通販屋から1本12ドル(今回は定例の週末セ
ールに合わせてオーダーしたので2割引の9.6ドルやった)で発売され
ている代物です。内容はと言うと、まだECWが【Extreme Championship
Wrestling】ではなく、【Eastern Championship Wrestling】の略であった頃
の1993年9月18日にフィラデルフィア州のECWアリーナにて開催した
定期興行『Ultra Clash 1993』を収録したもの。
さてさて本定期興行の背景なんですが、WWEが直々に編集したECW
のヒストリーものDVD『THE RISE + FALL OF ECW』や、週刊ゴングが編
集したECWの特集本によると、当初ブッカー&マッチ・メイカー職に就い
ていた故エディ・ギルバート(W★INGでは初代ブギーマンを好演!)が
職権を使って自身ばかりが目立つネタを書くので団体オーナーのタッド・
ゴードンと反りが合わず、この興行を開催するにあたりタッド・ゴードンが
遂に一大決心。改めてポール・E・デンジャラスリー(ポール・ヘイマン)に
全権を委ねる事になったらしいんです。そう、与えられた準備時間や手駒
(レスラー)にポール・Eの意向がどれだけ反映されていたのかは定かで
ないのですが、この興行こそが“奇才”ポール・Eによる初采配興行。
そう思うと皆さんも、ちょっと気になって来るでしょ。
では、ECWアリーナ名物の麦わら&サングラス(この夜は素顔やけど)も
最前列にドカリと陣取る93年のECWアリーナへと、早速ワシと一緒にタ
イム・スリップしてみましょか...。
【注意】
『Eastern』時代のECWの映像については、以前ビデオ安売王系のシ
ョップで『ECW:ハードコア・プロレス・シリーズ』と称して全15巻のビデ
オ・テープが販売された事がありまして、今でも中古ビデオ屋さんをマメ
に探すと安価で購入可能なんですが、本映像も冒頭のタイトルの作り
等はそれらと同じ。また英文で著作権に係る警告も入るし、実況もジョ
ーイ・スタイルスが勤めている事から、ダヴィングの元ネタ側は米国内
で正式に販売された商品のはず。また先にレビュー済の『Summer Sizz
ler 1993』はダヴィングを何度も重ねた画質劣悪の困った代物やったけ
ど、こちらは画質も水準(ってのも曖昧やな)以上でしたデ。
@Jason Knight & Ian Rotten vs. The Public Enemy
で、ポール・E初采配興行の記念すべき第1試合がこれ。DVD『THE
RISE + FALL OF ECW』でポール・E自身が述懐しておりましたが、本興
行を采配するにあたり、まずプロデュースしたのがジョニー・グランジ&
故ロッコー・ロックからなるパブリック・エネミーってユニット。ポール・Eの
期待を背負ってジェイソン&イアン・ロットンとの激突に臨み、若干(いや
、かなり?)ヨレヨレ感も漂わせるロッコー・ロックのハイ・フライ・ムーヴ
にてなんとかイアン・ロットンを撃沈。良かったね、ポール・Eもパブリック
・エネミーも無難な船出が飾れて。
APennsylvania State Title Match :
Tony"Hitman"Stetson vs.
"Ironman"Tommy Cairo (w/Hunter Q. Robbinson III)
ペンシルベニア州王者のタイトルが懸かった試合で、前王者のカイロ
がステトソン相手に王座奪回を狙うって構図みたい。アマレスの下地も
伺えるカイロがスープレックスによってステトソンを押しまくるのやけど、
セコンドに付いたハンターQがレフリーの注意を惹き、ここでステトソン
がベルト攻撃をカイロに見舞いズル勝ちをまんまとゲット。ただしこの幕
引きの場面、両選手、レフリー、ハンターQともに全く息が合っておらず、
段取りを外したってのが見え見えでしたワ。
BMask vs. Mask Match :
Super Destroyer #1
vs. Super Destroyer #2 (w/Hunter Q. Robbinson III)
ECW認定の初代タッグ王者組であるスーパー・デストロイヤーズ(あ
のビル&スコット・アーウィン兄弟とは別ものなんでしょ?)、何が原因
か仲間割れを起こし、互いのマスクを賭けての一騎討ちへと発展した
模様。セントーン・ドロップによりどうやら1号が勝った様で、2号のマス
クが剥がされたのですが、この人は一体誰???。
ウーン、折角マスク剥ぎ戦の末に素顔を晒したのに、その結果が「アン
タ、誰?」ではどないしようもないなァ...。
【お問い合わせ】
どちら様か、試合に負け素顔を晒した2号の本名をご存知ないでっか。
CScaffold Match :
J.T. Smith vs. Dark Patriot
試合に敗れ素顔を晒した事でブチ切れたか、1号への暴行を繰り広げ
るスーパー・デストロイヤー2号。しかもここにこれまたマスク・マンのダ
ーク・パトリオット【正体は故エディ・ギルバートの弟であるダグ・ギルバ
ート(W★INGでは初代フレディ・クルーガーを好演!)だそう】までが
加わり、1号をやりたい放題のボコボコに。
誰か奴等の悪行を止めんかいなと場内が悲鳴に包まれた(苦笑)その
瞬間、颯爽と姿を現したのはJT・スミスその人。おいおいこの後【Extre
me】の時代になってヘタレっ振りを大いに発揮するJTが何の用やねん。
しかもダークを追ってリング上に設置された高所へと登って行くところを
見ると、あのJTが恐れ多くも高所足場戦なんて危険なマッチ・メークを
受けよったんかいな。あ、しかもJT、高所足場に登った途端、ダークの
パウダー攻撃をまともに喰らいよったデ。これは秒殺でリングへと落下
やろなァ.........。
【この後、数分経過】
おいおい、秒殺でリングへ落下するかと思ったJT、ごっつい頑張っとる
やないの。ダークのチョーク攻撃も耐えて、何度も落下の危機を乗り切
りよるどころか、危険極まりない高所足場の上でドロップ・キックまで披
露しよった。で、最後はやや唐突気味にモロにリングへと落下やんけ。
通常、高所足場からの落下スポットは足場に一度ぶら下がる事で、落
下する高度を低くして身体への衝撃を減少させ、加えてお客には「あぁ、
もうアカン。落ちる、落ちる〜ッ!」ってヒヤヒヤドキドキさせるのが定石。
そやのにこのJTの定石破りの破天荒な行い!。ウーン、これまでヘタ
レのJTなんてバカにしとってホンマに悪かった。【Extreme】の時代にな
ってからのJT、余裕のヨッちゃんで『三味線を弾いていた』んやね?。
DTexas Tornado Bunkhouse Match
Abdullah The Butcher & Kevin Sullivan
vs. Stan Hansen & Terry Funk
信じられないコンビ、『インクレディブル・タッグ』と称してW★INGでは
松永とポーゴがタッグを組んだ事があったけど、こっちはそれ以上にイ
ンクレディブルなコンビ。なんとなんとブッチャー&サリバンに相対する
のはテリー御大&スタン・ハンセンの超ドリーム・タッグや!!!。
ま、元々ハンセンはテリーの門下生やし、全日本マットでの抗争もホン
マに両者が仲が悪かったためやないのはこっちも重々承知。
それでもこの2人が『仕事』とはいえタッグを組むとはねェ......。
試合はサリバンによって木槌(ゴングを叩くあれ、ね)で頭部をド突かれ
たテリーが錯乱し、たまたま近くに居合わせたレフリーに殴り掛かるな
んて御大王道のネタがあり、ブッチャーの凶器攻撃がサリバンを誤爆す
るってこれまた呪術師珠玉のネタがあって、最後は故エディ・ギルバー
ト&ダーク・パトリオット(エディの弟、ダグ)の無法介入で不透明決着。
勿論ブッチャーとサリバンは仲間割れを起して壮絶な番外戦へと突入
するし、これを仲裁せんとリングに上がったホットボディやジェイソンには
ハンセンの憤怒の猛攻(掛け値なしの猛攻やデ)が待っていて...。
【追記】
前任のブッカー&マッチ・メイカー職(故エディ・ギルバート)を乱入役で
使ったポール・E。エディは1993年6月19日の定期興行『Summer Siz
zler 1993』ではテリー・ファンク相手に堂々メインで一騎討ちを行ってい
たので、それを考えると結構厳しいポジション・ダウンや。ここらは団体
オーナーのタッド・ゴードンを含め、ポール・E、エディの3者の腹の中を
覗いてみたい気持ちですな。尚、この興行後、エディ・ギルバートがEC
Wマットに上がったって記録がないようなのですが、やっぱり余程腹に
据えかねる事があったのかな。それにしてもブッカー&マッチ・メイカー
職を兼ねるレスラーが権限を剥奪されると、その団体に居場所がなくな
るってのはホンマなんやなァ...。
EMixed Gender Battle Royal :
Sensational Sherry vs. Hunter Q. Robbinson III
vs. Terrible Tigra vs. Angel vs. Don E. Allen
vs. Jay"Six Pack"Sulli
男女混合のバトル・ロイヤルや。説明をいたしますが、いかにもひ弱
そうなマネージャ役のハンターQ、実況陣のスリイ、一応レスラーである
アレンが男性で、センセーショナル・シェリー(シェリー・マーテル)、テリ
ブル・タイガ、エンジェルが女性。試合はシェリー&エンジェルがサクサク
と男性陣を消し去り、ハンターQに馬乗りとなったエンジェルのコスチュ
ームから巨乳がこぼれる場面もあり。その後、エンジェルのプラチナ・ブ
ロンドのロング・ヘアーが実はズラであったなんて小ネタも仕込みつつ、
最後は謎の介入者(こいつもギルバート一族?)の出現をキッカケとし
て、省力ファイトに徹していたタイガが勝利。ま、内容面ではどうって事
のないもので、エンジェルのパイ・ポロだけあればエエってとこやろか。
FLoser Gets 10 Lashes Match :
"Wildman"Sal Bellomo (w/Sensational Sherry)
vs. Sir Richard Michaels (w/Hunter Q. Robbinson III)
試合に負けた者が10叩きの罰を受けるってルールで、絶対的ベビー
・フェイスのサルがリチャードを圧殺して勝利。粛々と10叩きへと移るの
ですが、ここにロッキン・レベルが突如乱入。リチャードと2人して、サル
を殴る蹴るの大暴走ですワ。
GECW Heavyweight Championship :
Shane Douglas (w/Paul E. Dangerously) vs. The Sandman
『ピッツバーグ(ダグラスの地元)なんてクソったれ』なんてサイン・ボー
ドを客席に見つけたダグラス、お客さん達から嫌われている事を肌で感
じ取ったか、セコンドに付くポール・Eともども「これではやっとれんワ」と
試合を拒否して控え室に逆戻り...。サンドマン相手に世界王座の防
衛戦に臨んだ際の1コマです。試合はレフリーの失神スポット中にサン
ドマンが『幻の3カウント』をゲットし、その後にポール・Eが勇躍介入。
サンドマンの虚を突くダグラスの小包固めが見事に決まっての幕引き。
それにしてもセコな介入ネタを自ら書いて、それを自分でセコく演じて。
ポール・Eもホンマに大変ですなァ(苦笑)。
HBaseball Bat Match :
The Headhunters
vs. Miguel Perez Jr. & Crash The Terminator
ここまで何度も『W★ING』なる語句を使用いたしましたが、この試合
なんてまんまW★ING!。極悪ビクター・キニョネス(懐かしいなァ)軍の
子飼いハンターズと、弱小日本軍の助っ人部隊であったペレス・ジュニ
ア&ターミネータの対戦構図。しかも両陣営が花道奥に陣取り、10カウ
ントと共にリングへと走り込んで唯一公認された凶器であるバット(W★
INGの時は常に有刺鉄線を付加)を奪い殴り合うって試合形式も、『ス
クランブル方式』としてワシら汚れインディー・マニアにはお馴染のもの
ですやんか。で、眠っていた『W★ING魂』に火が点いたか、高所足場
戦の先駆者としてのプライドが疼いたか、Bで使った高所足場を戦場に
求めるペレス・ジュニア。おぉ、これはアイスマン相手に92年3月13日、
静岡産業会館で行った『スキャフォールド・マッチ』の再演や!!。
その後も場外戦の際、ハンターズの巨体に耐え切れず壁が崩壊(壁に
ハンターズの体形の穴が開いてしまい大爆笑)したり、バットでガンガン
と殴り合ったりのはちゃめちゃ場面が多数あって、最後はお馴染ハンタ
ーAの巨体月面水爆でターミネーターが憤死。いやはやこれは、非常に
楽しめる試合でしたワ。
【最後に】
DVD『THE RISE + FALL OF ECW』によるとポール・Eはタッド・ゴード
ンからECWの全権を委ねられるにあたり、モトリー・クルーやポイズン
などが受けていた音楽業界にニルヴァーナが多大な影響を与えた事を
引き合いに、プロレス版のニルヴァーナを目指すと決意したそうですな。
で、その結果実現したのが本興行なんですが、これまでしつこく書き連
ねたように、非常にW★ING色の濃い内容と相成りました。
ウン?、って事はW★INGこそが元祖プロレス界のニルヴァーナ?。
って事は茨城“ミッキー”清志こそが元祖カート・コバーン??。
ま、ポール・EがW★INGの模倣(そもそも本人にそんな気持ちなんて
さらさらなかったやろけど)で終わらなかったのは歴史が証明しており
ますが、これはECWファンと共にW★INGマニアにもお勧め出来るタ
イトル。改めてプロレスって芸が、米国と日本国で通底しているのがよ
く分かりましたデ。MUST BUY !!!。 |

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