では収録内容の詳細を

Tanaka vs. Awesome Classic 1999-12-17
(DVD-R) (約2時間18分収録)
 ECW存命時に、地方でのドサ回りを含め、その興行の大半をビデオ収
録したと伝えられる米国のプロレス・グッズ屋『RF-VIDEO』。
これまでは120分テープのVHSテープを使い、2倍速録画なんて実に得
体の知れないフォーマットで秘蔵映像を収録し、全世界のECWマニア相
手に通販で商売をしておりましたんや。
で、その『RF-VIDEO』も昨今のECW再評価の潮流とデジタル化の波を
感じ取ったか、今となっては非常に貴重な過去の映像ライブラリーをDVD
−R化して順次発売すると決めたみたいなんです。
さて、今回ご紹介するDVD−Rの内容はと言うと、1999年12月17日に
テネシー州の州都ナッシュビルにてECWが開催した定期興行を収録した
もの。ではプロレスや音楽など昔から大衆芸能の盛んな当地での本興行、
どんな塩梅であったのか早速確かめてみましょう。

@3Way Dance :
 Danny Doring (w/Electra) & Roadkill
 vs. Kid Kash & Nova
 vs. Dupp Brothers (Jack Dupp & Bo Dupp)(w/Puck Dupp)
  3WAYダンスによるタッグ戦が本日のオープニング。さてここで注目な
 のが余り聞き慣れぬ『Dupp Brothers』って名のユニットや。ネットで調べ
 たところ、どうもこの時期のECWのドサ回りにはずっと出場し続けてい
 たらしく、まァ1シリーズ契約の負け役さんってところでしょうか。
 ちなみにこの『Dupp Brothers』、長身のジャック、小柄なパック、アホ・キ
 ャラのボーから成っておりますんや。
 で、今夜は試合に出場せず脇役に回ったパックがボーを見え見えの誤
 爆で沈めてしまい、3WAYダンスから脱落。これで試合はドーイング組
 とノヴァ組の直接対決に移行し、エレクトラとジャズ姉さん(ノヴァのピン
 チに控え室から急遽参戦)のキャット・ファイトを盛り込み、最後はドーイ
 ング組の合体技がズバリと決まって幕。結構楽しめる内容でしたデ。
ASuper Crazy vs. Ikuto Hidaka
  場外フェンスを飛び越えての捻りの入ったセントーン・アタックで客席か
 ら『HOLY SHIT!』チャントを獲得したのは、格闘探偵団バトラーツ所
 属の日高郁人。どの様な経緯でECWマットへ参戦となったのか調査不
 足ですが、とりあえずクレイジーの持ち前のスタイルであるルチャにキチ
 ンと順応し、グランドもバッチリと極めるなどと大健闘。勝利こそ得れな
 かったけど、これはなかなかエエ試合でした。タジリがECWでのクレイ
 ジーとの絡みを経て腕を上げ、大メジャーのWWF(WWE)で活躍して
 おりますが、この日高も活動拠点を米国に置いていたら...、などと今
 更言っても仕方のない空想に耽ってしまいましたワ。
BKintaro Kanemura
 vs. Tracy Smothers (w/Tommy Rich)
  元NWA王者のトリー・“野生の炎”リッチを従えリングに現れたのは、
 『純血イタリア人軍』の重鎮トレーシー・スマザーズ。昔々のW★ING参
 戦時に『悪のジェイソン』として暴れ回っていたのを知っているワシなの
 で、金村(←大いに嫌いな選手です)との絡みはちょっと注目だったの
 ですが、トミー・リッチのセコな介入スポットも組み入れて最後は金村に
 凱歌が。試合の途中には『つまらんのォ』チャントもあったものの、そん
 なに酷い出来ではなかったと思いまっせ。
CYoshihiro Tajiri vs. Super Calo
  AAA⇒WCW⇒ECWと流れて来たスペル・カロが今夜のタジリの対
 戦相手。試合前の毒霧から、カロを蹴って叩き付けての勝利まで、タジ
 リのペースでドンドンと進んでしまいましたが、カロも与えられた役割を
 キチンと果たしていて好感が持てました。
DJerry Lynn vs. Little Guido (w/Sal Graziano)
  なんか好カードの続く今夜のナッシュビル大会。今度は『純血イタリア
 人軍』の大看板(笑)グイドーと、仕事人ジェリー・リンの対決でっか!。
 試合は両者のスキルの高さを何気に見せ付けながらも淡々と進み、終
 盤タジリが毒霧を吹き上げながらリング内へ乱入。これを見ては黙って
 おれないとクレイジーも駆け付け、リング内は一気に混迷度を深めます。
 最後はリンの変形墓石パイルでグイドーが沈みましたが、タジリらには
 申し訳ないけど乱入スポットはなしで最後まで見たかったですワ。
ERaven & Tommy Dreamer (w/Francine)
 vs. Da Baldies (Vic Grimes & Angel)(w/Tony DeVito)
  世界タッグ王座に就くレイヴェンとドリーマー。今夜は暴走禿頭軍との
 一戦が組まれました。けど試合前に禿頭軍が客席最前列の男性とイザ
 コザを起こし、ドリーマーが仲裁に向かいます。で、皆の目がドリーマー
 らに向いた途端、何時も通りコーナーにドカりと不良座り(笑)しているレ
 イヴェンに忍び寄る黒い影。これがダーン・マリーとジェイソン(両刀使い
 のゲイ野郎)を従えたインパクト・プレイヤーズ(ジャスティン・クレディブ
 ル&ランス・ストーム)。寄ってたかってレイヴェンをシバき倒し、選手入
 場ゲートへレイヴェンを磔にする大暴挙や。結局禿頭軍との対決はなか
 った事となったみたいで、当時ECWの全国放送を受け持っていたTNN
 局が回しているビデオ・カメラの前でインパクト・プレイヤーズがレイヴェ
 ンを生贄に大見得を切っております。なるほどね、この『絵』が録りたくっ
 てこの試合が組まれたんか...
F場面は変わって...
  TNN局差し向けの番組検閲員ギミックを演ずるサイラスがジョーイ・ス
 タイルスとジョエル・ガートナーの仕切るリングへ。サイラス、2人を追い
 払い、客席最前列ド真ん中に座る田中将斗を満場のお客さんへ紹介。
 どうやらマイク・オーサムの保持する世界王座へ田中を挑戦させようと
 画策しているようで、オーサムのマネジメントを行っている陪審員ギミッ
 クのジェフ・ジョーンズや『ECWの良心回路』スパイク・ダッドリーとひと
 悶着起こし、ついにはポール・E御大までが駆け付け、「世界王座戦は
 来週の予定だ!」とサイラスを一喝。しかしサイラスもTNN局の威光を
 チラつかせ、「これはTNN局の指示だ!」と一歩も退かぬ構え。遂には
 ポール・Eがオーサムの意思を確認し、突然の世界王座戦を承認や。
 ウーン、田舎芝居と言えばそれまでやろけど、皆さん懸命に演じられて
 いるので説得力充分なスケッチですな。
GECW World Championship Match :
 Mike Awesome (w/Judge Jeff Jones)
 vs. Masato Tanaka
  って事で急遽始まった世界王座戦。これ、99年9月19日のPPV『An
 archy Rulz '99』にて火蓋の切られた両者の抗争の、99年11月7日の
 PPV『November To Remember '99』での再戦を経た第三幕でして、今
 夜も掛け値なしで骨の軋む音が会場の最後列まで響き渡る様な熱戦
 披露されました。特に圧巻であったのが、エプロンを走って勢いを付け
 場外に設置したテーブルへとスーパー・アッサム・ボムにてオーサムが
 田中を投げ込んだ場面。田中の頑丈さを信頼し切っているからやれる
 のでしょうが、これにはちょっと声を失いましたワ。この後も田中はオー
 サムの椅子攻撃(これがまた半端やない強烈さ)などを受け続け、最後
 の最後にDDTによるテーブル葬〜弾丸エルボーでオーサムをピン!。
 ECWマットの頂点へ田中が駆け上がった瞬間ですワ。尚、田中の激闘
 振りにオーサムも納得したのか虎の子のベルトを田中の腰へ巻いてや
 る心遣いを見せたものの、これはオーサムの罠。直後にまたまた場外
 のテーブルへと力任せに田中を投げ込み...。
HBalls Mahoney vs.
 Steve Corino (w/Rhino & Jack Victory)
  ライノとビクトリーを従えリングに上がったコリーノ、控え室のマホーニ
 ーに向けて早く出て来いと挑発。で、選手入場ゲートに現れたマホーニ
 ーを見てビックリしました。なんと額を大きく割られて大流血となっており
 ますんや。多分控え室でコリーノ一派が不意討ちを仕掛けたのやろね。
 マホーニーもこれぐらいでへこたれてはおられぬと痛む身体を引きずり
 ながらリングに上がったものの、当然ライノやビクトリーも好き放題に試
 合へ介入し、全くの劣勢状態。すると突然会場内の照明が落ち、聞き
 慣れた『エンター・サンドマン』のイントロが。そう、今夜も千両役者サン
 ドマンの登場ですワ!!!。ただし今夜のサンドマン、堂々の登場でコ
 リーノとビクトリーは蹴散らしましたが、コーナーに立て掛けられた2連
 重ねのテーブルへ獣人ライノによって叩き込まれ天晴れなる憤死や。
 直後にマホーニーが混乱を突きコリーノをフォールしたけど、この試合は
 『座長サンドマン』がスポット・ライトを浴びるためだけに組まれたもの
 したな。脇を固めたマホーニーとコリーノ一派の皆さん、お疲れさん。
IECW World TV Title Match :
 Rob Van Dam (w/Bill Alfonso)
 vs. Mikey Whipwreck
  パイプ椅子に向けたジャーマン・スープレックスをマイキーから喰らって
 あわや、なんて場面も盛り込んだサービス精神旺盛のRVD。そろそろ
 試合も佳境かと思わせた頃、トミー・リッチとトレーシー・スマザーズが無
 法乱入を仕掛け、これに引き続いてサブゥまでが介入。なんとサブゥは
 得意のアラビアン・レッグ・ドロップにてRVDを場外テーブル葬に処する
 大暴れ。そうか、この試合は00年1月9日のPPV『Guilty As Charged
 '00』にて対決がアナウンスされている両者の前哨戦であったんやね。
 あ、試合はRVDが5★スプラッシュで王座防衛を果たしジ・エンド。しか
 しマイキーって、何時もこんな扱われ方ですなァ。ちょっとだけ不憫や。
JTommy Dreamer (w/Francine)
 vs. Lance Storm (w/Dawn Marie)
  Eでの一件を引きずった両者の対戦。ただドリーマーは体調不良のよ
 うでして、試合が始まるなり場外戦を仕掛け、リング上の攻防でボロが
 出ぬようにと心配り。当然助演陣のフランシーンとダーン・マリーはキャ
 ット・ファイト(毎度毎度、とことんエロいなァ)で男性客の股間を刺激し、
 ジャスティンの介入とレイヴェンの追撃などもあって。いやはや皆で一丸
 となってドリーマーを、いやECWを盛り上げようと躍起になっているのが
 手に取るように感じられますな。勿論ドリーマーの相手を務めるランス・
 ストームも、表情を作れぬ分、与えられたジョヴだけは確実に果たすと
 頑張って...。ってな事でドリーマーの激勝により、今夜のナッシュビル
 大会は大団円となりました。目出度し目出度し。


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