では収録内容の詳細を

Sandman Returns ECW Arena 1999-10-23
(DVD-R) (約2時間34分収録)
 ECW存命時に、地方でのドサ回りを含め、その興行の大半をビデオ収
録したと伝えられる米国のプロレス・グッズ屋『RF-VIDEO』をご存知か。
その『RF-VIDEO』が2005年初頭より過去の貴重映像をDVD−R化し、
怒涛のリリース・ラッシュでワシらECWマニアの懐を直撃しているんや。
さて今回ご紹介するのは、2005年6月期に発売された3タイトルの内の
1タイトル。ペンシルベニア州はフィラデルフィアの通称“ECWアリーナ”に
て1999年10月23日に開催された定期興行の模様を収録したものなん
ですワ。では早速内容のご報告を...。

【注意−@】
 本DVD−Rのジャケットには、本興行が行われたのは1999年12月2
3日と明記されており、また『RF-VIDEO』のHPに掲載されている商品紹
介欄には1999年10月23日とあります。で、一体どっちが正解なんや
と調べたところ、1999年10月23日みたい。ワシらプロレス・マニアって
結構興行開催日には拘りがあるし、そこらを『RF-VIDEO』の連中も知らん
訳はないやろに、今回のこの体たらく振り。『RF-VIDEO』には、ちゃんと意
見してやらんとアカンな。

○今夜も波乱の幕開け...
  今夜もECWアリーナは押すな押すなの大観衆を飲み込んでおり、試
 合が始まる前からもう場内は完全に『出来上がって』おります。
 で、怒涛のジョーイ・チャントが沸き起こる中、お馴染みのジョーイ・スタ
 イルスがリング・イン。と、ここでダッドリーズのWWF(当時)移籍により
 失職した元ダッドリーズ専属太鼓持ちのサイン・ガイ・ダッドリーが登場。
 当然熱烈歓迎されたスタイルスとは正反対の、“このクソったれ”チャン
 トがサイン・ガイには浴びせられるのやけど、サイン・ガイは平然とこの
 難局をやり過ごし、その上に黒の上着と羽織り、黒の野球帽を被って、
 「我こそはルー・E・デンジャラスリーなり!」と堂々アピールや。
 そうか、ポール・Eのコス・プレ・キャラのルー・Eって、この興行で初めて
 お披露目されたんか。ウーン、これは勉強になったワ。
 あ、この小芝居を会場奥のモニター席で眺めているポール・E。客席か
 らは「ポール・E、あいつをド突き回せ!」チャントも沸き起こるのやけど、
 この時のポール・Eの表情もこれまた注目でっせ。
@ECW World Heavyweight Championship :
 Mike Awesome (w/Judge Jeff Jones)
 vs. Mikey Whipwreck
  99年9月19日のPPV『ANARCHY RULZ 1999』において、WWF(当
 時)移籍を前にしたタズより世界ヘビーの王座を引き継いだオーサム。
 今夜は虎の子のベルトの防衛戦となったのやけど、挑戦者ってのが、
 ECWからWCWへ移籍したものの全く目が出ず、寂しく(?)生まれ故
 郷に出戻って来たマイキー・ウィップレック。一度はECWに見切りを付け
 てメジャーへ転出したマイキーに対し、それでもECWアリーナのお客さ
 ん達はやさしく「おかえりなさい!」チャントでお迎えや。で、試合の方で
 すが、これがオーサムの怒涛の攻撃一色で塗り潰した感じ。
 さっきまでマイキーに対して、やさしく「おかえりなさい!」チャントを行っ
 ていたはずのお客さんも、残酷に掌を返してオーサムに対し、「机にブチ
 込んでやれ!」チャントを仕掛け、これが皆様の望み通りに現実のもの
 となってマイキーは昇天。ま、この試合、出戻り選手によるミソギみたい
 なものかも知れまへんな。
ANova vs. Chris Candido (w/Tammy Lynn Sytch)
  2005年4月28日(現地時間)、愛する奥方サニーちゃんを残し、呆気
 なくあの世に旅立ったキャンディード君。ここには彼とノヴァとの試合が
 収録されておりますんや。当然キャンディード君に寄り添うサニーちゃん
 (タミー嬢)の姿もあり、モニター画面の前のワシの涙を誘いよります。
 あ、試合内容ですが、キャンディード君の十八番であるハーリー・レイス
 張りのバーティカル・スープレックスなども絡め、これまた十八番のダイ
 ヴィング・ヘッドの自爆にてノヴァに押さえ込まれて惜敗。これ、なかな
 か内容の濃い一戦になっておりまして、試合後にはプロデューサーであ
 るポール・E自らが花道に降りて来てキャンディード君を賞賛する場面も
 確認可能。けど、そのキャンディード君も今やこの世には居ないんやね。
 追記:この当時のキャンディード君の入場テーマってのが、故ボン・スコ
 ットに捧げられたAC/DCの『バック・イン・ブラック』。こうしてキャンデー
 ド君の訃報を聞くと、因縁めいたものも感じてしまいますな。
Bこれが現リタの卒業公演?
  ダニー・ドーイングやロード・キルと一緒にリングに現れたのは、現在
 WWEでリタとして大活躍中のミス・コンジェニアリティ。彼女、この頃は
 ドーイングの婚約者って役回りで、婚約指輪代わりに避妊具を薬指には
 めて貰い大喜び、なんて非常にアホな小芝居を演じておりましたんや。
 で、今夜はここにエレクトラ嬢を引き連れたサイラスが登場。
 どうもサイラス、ドーイングに対してそんなオンナ(←現リタ)より、こっち
 の方がエエやろ、なんてエレクトラ嬢をご推薦しているみたいや。
 当然現リタは、ワタシの方がいいに決まっていると自信タップリなんです
 が、これはどう贔屓目に見てもエレクトラ嬢に軍配が上がって当然の、
 現リタには皆目勝ち目のない勝負(現リタのファンの方、正直に書いて
 堪忍な)。こうなれば話の展開は早いワ。ドーイングとロード・キル、2人
 掛かりで現リタをボコボコにして、エレクトラ嬢と3人で控え室へ。
 哀れなのは現リタ。リング上で完全に伸びてしまいました...。
 追記:現リタ、この興行が終わった後くらいからECWの興行に顔を出さ
 なくなるんやけど、これがWWF(当時)移籍前の最後のお仕事やったん
 やろか。もしそうなら、これまた貴重な映像ではありますな。
CThree Way Dance :
 Super Crazy vs. Little Guido (w/Sal Graziano)
 vs. Spike Dudley
  小兵ながらも腕達者な3人を集めた3WAYダンス。まず序盤はプロレ
 ス・スキルで他より少々劣るスパイクを大きくディスプレイさせるため、ス
 パイクの『土俵』である椅子を使った場外戦を展開や。で、スパイクも待
 ってましたと、なんとかの一つ覚えである(失礼)アシッド・ドロップ(現ダ
 ッドリー・ドッグ)にてグイドーのセコンドに付いた巨漢サルを場外テーブ
 ルに沈め、直後にサルの惨劇を目の当たりにした怒れるグイドーの逆
 襲に遭って敗退。これでお役御免となったスパイクを除外し、以降はグ
 イドーとクレイジーによる定番の超熱戦(←変な喩えやね)へ移行や。
 結局最後はクレイジーがパワー・ボムから無理やりグイドーを押さえ込
 んで試合は幕となるのやけど、前半のラフと後半の高レベルの攻防と、
 正に一粒で二度美味しい、3WAYダンスらしい3WAYダンスでした。
 追記:2000年1月9日のPPV『GUILTY AS CHARGED 2000』では、オ
 ーサムに彼女をボコボコにされたスパイクが怒りの出陣、なんてベタな
 お話が展開されるのやけど、このDVD−Rでは後々その重要な役どこ
 ろ(?)を演ずる事となる、全身ダッドリー・ファッションに身を包んだ女の
 子の姿も確認出来まっせ。
DSimon Diamond (w/Dick Hertz) vs. Jazz
  当時、抜き差しならぬ犬猿の仲であったサイモンとジャズ姉さん。勇敢
 にサイモンに戦いを挑む姉さんでしたが、サイモンのセコンドに付いた巨
 漢ディック・ハーツに力任せに投げ付けられて...。
EYoshihiro Tajiri (w/Steve Corino & Jack Victory)
 vs. Jerry Lynn
  対戦相手のリンに先立ってリングに入ったタジリを待っていたのは満
 場の客席から浴びせられるUSAチャント。で、これに気分を悪くしたの
 ではないでしょうが、なんとタジリは客席に対して中指を突き立てるご乱
 心(よっ、役者やねェ)。それどころか試合になれば、日本製丸ノコ蹴りと
 十八番のタランチュラに、リング設営用の鉄製工具攻撃と自身のコスチ
 ュームより外した腰紐攻撃までを披露ですワ。リンが起死回生にと放っ
 た変形墓石式パイルを被弾しても、セコンドに付いたコリーノとヴィクトリ
 ーが絶妙のタイミングで試合に介入を行い、直後に赤色の毒霧噴射か
 ら再度の日本製丸ノコ蹴り、垂直落下式パイルと繋ぎタジリが勝利。
 今夜も内容の濃い試合で楽しませてくれたタジリと、タジリの暴走ファイ
 ト(?)を上手く引き出してくれたリンに感謝しましょか。
FTom Marquez vs. Kid Kash
  成長株同士の戦いなのに、試合開始早々デヴィト、エンジェル、ヴィト
 ーの『暴走禿頭軍』が試合をブチ壊しに乱入。これは見捨てておけんと、
 マホーニー&ロットンも駆け付け、あっと言う間にリング上は混戦状態。
 その上、頭数では勝るのにマホーニー&ロットンに押され気味の仲間を
 援護すべく『暴走禿頭軍』第4の男であるPNニュースまでが登場や。
 お、これはいよいよ『路上の王』、ニュー・ジャック親分のお出ましかと思
 った途端、会場には親分のテーマである『ナチュラル・ボーン・キラーズ』
 が大音量で流れます。けど今夜の親分、威勢の良かったのは最初だけ
 で、エンジェルによって大型工業用ホチキス攻撃を受けてしまい...。
 追記:この試合は、99年11月7日のPPV『NOVEMBER TO REMEMB
 ER 1999』への伏線ですワ。
GECW World Television Championship :
 Rob Van Dam (w/Bill Alfonso) vs. Sabu (w/Bill Alfonso)
  力の限り戦い抜いた末の両者ノック・ダウン。5分間延長の再試合は
 RVDを押さえたサブゥがあわやカウント3をゲットと思わせた瞬間に時
 間切れ。ならばと再びの5分間延長となったものの、やはり雌雄は決し
 なかったサブゥとRVDの一騎打ち。トータル40分にもならんとする一大
 プロレス絵巻をしかとご賞味あれ。
HECW World Tag Team Championship :
 Tommy Dreamer (w/Francine) & Raven
 vs. The Impact Players (Justin Credible & Lance Storm)
 (w/Dawn Marie & Jason)
  タッグ王座に就いてはいるものの、絶妙のタッチ・ワークを見せるどこ
 ろか、常に一触即発分裂の危機にあるドリーマーとレイヴェン。相方か
 らのタッチを断ってみたり、相方のリング・インを邪魔してみたり、挙句
 にフォール役を巡って小競り合いを起こし折角の勝機を逃してみたり。
 これでは全く試合にならんな、なんて思っていたら悪いことに獣人ライ
 ノまでが試合に介入。これはなんとか迎撃したものの、直後にドリーマ
 ーとレイヴェンはジャスティン&ストームからステレオ・タイプのパイル・
 ドライバーを喰らい絶体絶命の大ピンチに。と、ここで場内が突如暗転
 し、聞き慣れたメタリカの『エンター・サンドマン』がECWアリーナに鳴り
 響きますんや。そう、99年1月のWCW移籍(ECWからは98年9月初
 旬にフェード・アウト)により、ハードコア・ハックなるヘンテコな源氏名に
 改名していたサンドマンが、堂々の古巣ECW復帰でっせ!
 ま、@に出場したマイキー・ウィップレック同様、メジャー団体の水が身
 体にあわず傷心(?)のご帰還だったのかも知れないのですが、サンド
 マンの心の内はとりあえず横に置いて、ECWアリーナの熱狂振りは特
 筆ものでしたな。例によって『エンター・サンドマン』が大合唱となるので
 すが、お客達の歌声がデカ過ぎて、肝心の曲が聞こえない位やもん。
 サンドマン、もしやお客達に拒絶反応を示されたらどないしよ、なんて心
 配も少しはあったと想像しますが、ここまで諸手を挙げて歓迎されたら、
 途端に生来の芸人魂に火が付いてしまいます。サンドマンにシバかれ
 るためだけに出て来たとしか思えない(実際、そうなんやろけど)コリー
 ノ&ヴィクトリー、ライノ、ジャスティン&ストームを竹刀でボコボコにし
 て、ドリーマー&フランシーンとビールでの乾杯へと突入ですワ。
 サンドマン同様、WCWからECWに一歩先に出戻ったレイヴェンがさ
 っさと姿を消した(これまた微妙な心のヒダ、なんでしょうな)ものの、
 酔いどれ天使サンドマンの復帰を祝う酒宴は盛り上がる一方で...。

【注意−A】
  ハンディ・カメラ1台で撮影した映像が元ネタなので、手ブレなどでどう
 しても見辛くなる箇所もあったものの、技術の進歩から画質だけは及第
 点以上のものを提供していた本シリーズでしたが、何故か本作はデジタ
 ル・ノイズが顕著に現れますんや。特に動きの早い箇所では、選手や物
 体の輪郭がボケてしまう事が散見されて。マスター・テープに難があった
 のか、それともDVD−R化の際にビット・レートの設定を誤ったのか。
 はたまたDVD−R×1枚に2時間30分以上も詰め込んだ弊害か。
 いずれにしてもこれはちょっと残念でしたな。


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