では収録内容の詳細を

Taz vs. Awesome 2000-4-13
(DVD-R) (約1時間52分収録)
 ECW存命時に、地方でのドサ回りを含め、その興行の大半をビデオ収
録したと伝えられる米国のプロレス・グッズ屋『RF-VIDEO』をご存知か。
その『RF-VIDEO』が2005年初頭より過去の貴重映像をDVD−R化し、
怒涛のリリース・ラッシュでワシらECWマニアの懐を直撃しているんや。
さて今回ご紹介するのは、2005年6月期に発売された3タイトルの内の
1タイトル。イリノイ州はインディアナポリスにて2000年4月13日に開催
された定期興行の模様を収録したものなんですワ。
では早速内容のご報告を...。

@Chilly Willy vs. Johnny Swinger
  生来のリズム感を発揮してノリノリで入場して来たチリー。会場内での
 人気も高く、これがスゥインガーの気に障ったか、スゥインガーの奇襲
 攻撃により試合は幕開け。チリーと上手く噛み合えない場面もあったも
 のの、スゥインガーはキッチリと負け役を務めております。ただし、チリー
 の電光石火での丸め込みによるフィニッシュ・シーンでは、ちょっとチリ
 ーの青さが露呈(レフリーやスゥインガーも、もっとリードしてやらんと)し
 てしまいました。
ADanny Doring & Roadkill
 vs. Da Baldies (Angel & DeVito)
  しばしの舌戦から始まったタッグ戦ですが、なんと珍しい事にデヴィト
 &エンジェルはちゃんとタッチ・ワークのある試合を披露。彼等、これま
 ではラフ専門で、ルールもへったくれもない乱闘部門ばかりを受け持っ
 て来たもんやから、これはワシには非常に新鮮に映りましたな。
 でも試合は巨漢ロード・キルが場外テーブルへ真ッ逆さま、なんて場面
 もあったものの、最終的にはドーイング&ロード・キルが勝ち名乗り。
 デウィト&エンジェルには、これに腐らんと日々精進して欲しいな。
 ま、彼等に乱闘部門以外を求める人がどれだけ居るかは疑問やけど。
 エ、ワシでっか?。そらやっぱり...、ね(苦笑)。
BSimon Diamond (w/Prodigy & Prodigette & Musketeer)
 vs. Mikey Whipwreck (w/Sinister Minister)
  怪しさ満点の身内に、対戦相手のマイキーにと、サイモンの口撃は今
 夜も絶好調(ヒアリングが苦手なのが辛いワ)。途中、サイモン一派の
 『Musketeer』(どう発音するのやろ?)とマイキーのマネであるミニスタ
 ーが、サーベルvsステッキで洋風チャンバラをやるなんてベタな場面も
 盛り込み、最後はマイキーに凱歌が。ウーン、個々のネタは笑えたんや
 けど、ネタとネタに連続性がなく、全てが『単品料理』状態だったのがち
 ょっと辛かったかな。贅沢ですが、もっと熟成した料理を所望します。
CRhino (w/Jack Victory) vs. Kid Kash
  コーナーでの2ステップ式のボディ・アタックなど、難易度の高い技を
 いくつか披露するキャッシュでしたが、やはり地力に勝るライノの敵では
 ありまへんでした。迫力あるゴア⇒手加減抜きのパイル・ドライバーで
 キャッシュがアッサリと轟沈されておりますワ。    
DNew Dangerous Alliance
 〔CW Anderson &Bill Wiles (w/Lou.E.Dangerously & Elektra)〕
 vs. Nova & Chris Chetti
  試合途中に挿入されるジャズ姉さんとエレクトラ嬢によるキャット・ファ
 イトを含め、この頃の定番中の定番試合は、これまたやはりアライアン
 ス側が敗退してジ・エンド。でも今夜はこれでは終わりません。試合決
 着後にアライアンス側の逆襲が始まり、ノヴァ&チェッティが袋叩きにさ
 れていると、場内には大音量の『ナチュラル・ボーン・キラーズ』が!。
 そう、皆様お待ちかねニュー・ジャック親分の出番ですワ。親分、今夜
 は十八番の高所ダイヴは封印した(ケチやなァ)ものの、フォークでCW
 の額を突きまくり、CWを文字通り血の海に沈める大暴走や。
 そうか、いつもは親分にボコられる役回りのデヴィト&エンジェルが、A
 で楽チンなお仕事をやれたのも、今夜の親分の餌食はCWとビルで決
 まっていたからか(笑)。ま、デヴィト&エンジェルも、なんぼお仕事とは
 言え、毎晩毎晩親分直々に半殺しにされるのは辛いやろからね。
 大量出血となったCWさん、お疲れ様でした。
E場面は変わって...
  グッズ売り場で水着姿のポートレイトにサインを書いて売りさばいてい
 るのは、『クイーン・オブ・エクストリーム』フランシーンちゃん。
 端からフォンジーことビル・アルフォンソがチャチャを入れており、ドサ回
 り巡業でのトイレ休憩時(多分)の様子がよく伝わって来ますワ。
FLittle Guido (w/Sal Graziano)
 vs. Super Crazy
  『シシリー島出身のシューター』グイドーと、『キチガイ・ルチャ・ドーラ』
 クレイジーの顔合わせ。ともにグイドーのセコンドに付いた巨漢サルの
 身体を踏み台に、クレイジーは客席へのダイヴを、グイドーはエルボー
 ・ドロップを各々放ち、いとも簡単そうに客席を沸かせます。
 試合はクレイジーによる滞空時間の長いブレーン・バスターで幕となり
 ましたが、短い時間ながら相変わらず内容の濃いものでしたデ。
GLance Storm (w/Dawn Marie)
 vs. Raven (w/Francine)
  黒のジャケットにジーンズと、日頃とはうって変わり非常に露出度の
 低い井出達で現れた『クイーン・オブ・エクストリーム』フランシーンちゃ
 ん。何を着ても、エエ女はやっぱりエエ女や。ワシはこれもOKですワ。
 で、フランシーンちゃん、試合にうるさく介入するマリー嬢と例によって
 キナ臭くなり、あわやタイマン勝負か、なんて場面もあったものの、これ
 に場内の空気を読めないストームが待ったを掛けてしまいます。
 けどねストームさん。アンタとレイヴェンがただ漫然と一騎打ちをしても
 良い試合にはならんし、第一そんな試合は誰一人として喜びまへんデ。
 プロならプロらしく、お客さんが求めているフランシーン対マリーを見せ
 てやらんと。で、すっかり観戦意欲の萎えた本試合、マリー嬢のパウダ
 ー誤爆があり、申し訳程度のフランシーン対マリーをアクセントに、スト
 ームのどさくさまぎれのスーパー・キックがレイヴェンを捉えてチョン。
 腕はないけど雰囲気美人のレイヴェン、腕はあるけど芸人としての機
 転に欠けるストーム。両者の絡みなら、まぁドサだとこれが限界かもね。
HTajiri (w/Steve Corino & Jack Victory)
 vs. Tommy Dreamer
  『アメリカン・ドリーム』ダスティ・ローデスより強奪したブル・ロープを
 手にしてリングに現れたコリーノ。控え室に居るドリーマー相手にテキ
 サス式のブル・ロープ戦をやらんか、と挑発するのですが、これにまん
 まとドリーマーが乗ってしまいます。で、リングに上がったドリーマーを
 待っていたのは、卑劣極まる背後からのタジリの奇襲攻撃
 けど流石はドリーマー。タジリの奇襲に対し、タジリ十八番のタランチュ
 ラを繰り出して高尚なる神経戦を仕掛け、続いて「この試合はエニィウ
 ェア・ルールに変更じゃ!」と誰も断らずに自分勝手に宣言。
 しかしやはりコリーノ&ビィクトリーの介入もあり、次第に多勢に無勢状
 態へ陥るドリーマー。と、ここで場内にはメタリカのヒット曲『エンター・サ
 ンドマン』が!。よっ、待ってましたのサンドマン登場やな。で、ここから
 は誰でも乱入OKとなったのか、前座に出てきた選手(多分レイヴェン
 以外全員)が次々に登場し...。
 追記:ドリーマーとコリーノによるテキサス式のブル・ロープ戦ですが、
 2000年4月16日に開催された定期興行『Wrestlepalooza 2000』にて
 実現の運びとなっております。ま、この試合に限らず、今夜の興行は全
 て『Wrestlepalooza 2000』に向けてのネタ振りと、本番直前の舞台での
 通し稽古みたいなものなんでしょうな。
IECW World Heavyweight Title Match :
 Taz vs. Mike Awesome (w/Judge Jeff Jones)
  どうにも収集のつかないHの試合でしたが、1人また1人と選手達は
 控え室へと戻り、リング上には誰も居なくなってしまいました。で、今夜
 の興行はこれにてお開きか、と会場内の誰もが思った頃、客席を会場
 後方から真っ直ぐに突っ切ってECW世界王座のベルトを手にしたマイ
 ク・オーサムが、セコンドの陪審員ギミックのジョーンズを従え突然の
 登場。実はオーサムはECWとの契約期間中であるはずなのに、4月
 10日のWCWの定期放送番組『Nitro』に強行出演を行ったばかり。
 当然オーサムに対しては『この裏切り者!』チャントが巻き起こります。
 すると、今度は会場内に心音停止の効果音から始まるタズのテーマ曲
 (これって、WWF版のタズの当時のテーマ曲。キメの細かい仕事振り
 で泣けて来るな)が!!!。なんと業界の不文律に沿って1999年9月
 19日のPPV『Anarchy Rulz 1999』におきオーサムにベルトを引き継
 ぎ、WWF(当時)へ移籍したタズが正に不意討ちの緊急出場ですワ。
 さすがに観客もこれには驚いた様子で、割れんばかりの『Holy Shit!』
 チャントが響き渡り、何の説明もなく唐突にECWマットにてWCW契約
 選手とWWF(当時)契約選手によるECW世界王座戦が始まりました。
 で、ドリーマーの手助けもあって、試合(?)は僅かの時間でタズがオ
 ーサムをチョーク・アウト。オーサムは『仕事は果たしたデ』と言いたげ
 な表情を浮かべてさっさとリングを降り、リングではECW世界王座のベ
 ルトを掲げたタズが、「俺こそがECW世界王者。やれるモンなら、やっ
 てみろ!」とアピールを。

 【補記】
  Iの試合(?)ですが、これは2004年11月にWWEが編集したEC
 WのヒストリーものDVD『THE RISE + FALL OF ECW』にて明らかにさ
 れた(少なくともワシは知らなかったです)、末期ECW時代の裏話。
 本来ならオーサム自身がWCW移籍前に『清算』しておくべきであった
 ECWの世界王座のベルトの処置を巡り、ECW、WCW、WWF(当時)
 が連携して(??)大人の態度で善後策を練った様なんです。
 ま、これでオーサムは綺麗な身体でWCWへ移籍出来るし、ECWとし
 てもベルトが没交渉状態のWCWに渡るよりは、奇妙な共生関係を保
 っているWWF(当時)にある方が、まだマシとの判断やろかね。
 尚、晴れて(???)ECWの世界王座に就いたWWF(当時)所属の
 タズですが、4月18日放送のWWF(当時)の人気番組『SmackDown』
 にECWのベルトを持って出演し、HHHと対戦(ステフ介入で惜敗)。
 その4日後、4月22日には再度ECWの興行に出て、今度はドリーマ
 ーと対戦し、ECWのベルトをドリーマーに引き継ぐ大役を務めました。
 こうしてオーサムのWCW移籍により宙に浮く寸前であったECWのベ
 ルトが、WWF(当時)王者とも互角に張り合えるとの金箔(????)
 までつけて、無事ECWへと戻って来たんです。よかったねぇ。
 ※『THE RISE + FALL OF ECW』には当時ECWの定期放送を行ってい
 たTNN局が撮影したと思われる映像と共に、このDVD−Rで見る事の
 出来る『RF-VIDEO』が撮影した映像も収録されておりました。
 WWE、『RF-VIDEO』にいくらかでもロイヤリティを支払ったのやろか?。

【注意】
  ハンディ・カメラ1台で撮影した映像が元ネタなので、手ブレなどでどう
 しても見辛くなる箇所もあったものの、技術の進歩から画質だけは及第
 点以上のものを提供していた本シリーズでしたが、何故か本作はデジタ
 ル・ノイズが顕著に現れますんや。特に動きの早い箇所では、選手や物
 体の輪郭がボケてしまう事が散見されて。マスター・テープに難があった
 のか、それともDVD−R化の際にビット・レートの設定を誤ったのか。
 いずれにしてもこれはちょっと残念でしたな。


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