では収録内容の詳細を

A Battle In Battle Creek 2000-10-20
(DVD-R) (約1時間40分収録)
 ECW存命時に、地方でのドサ回りを含め、その興行の大半をビデオ収
録したと伝えられる米国のプロレス・グッズ屋『RF-VIDEO』をご存知か。
その『RF-VIDEO』が2005年初頭より過去の貴重映像をDVD−R化し、
怒涛のリリース・ラッシュでワシらECWマニアの懐を直撃しているんや。
さて今回ご紹介するのは、2005年7月期に発売された3タイトルの内の
1タイトル。ミシガン州はバトル・クリークにて2000年10月20日に開催さ
れた定期興行の模様を収録したものなんですワ。あ、この日は10月1日
に開催されたPPV『Anarchy Rulz 2000』の後日談と、11月5日に開催予
定のPPV『November To Remember 2000』前説の場って意味合いもあっ
て、なかなか興味深いカードも用意されている様子で。ではでは早速収録
内容のご報告を...。

@Redd Dogg vs. Michael Shane
  HBKことショーン・マイケルズが主催するTWA(テキサス・レスリング・
 アカデミー)より派遣されたマイケルズの甥であるらしいマイケル・シェー
 ンが、後にWWEに昇格する事になるレッド・ドッグ(ロドニー・マック:ジャ
 ズ姉さんの旦那?)と対戦。約一ヶ月前の9月22日の定期興行でも同
 カードが組まれておりましたが、この間にドッグは蛮人ギミックを強化す
 るため、人骨のオモチャを持ち、首から太いチェーンをブラ下げるまでに
 進化。スープレックスも切れていたし、折角だからロープ悪用のフォール
 なんてセコなのを選択せず、相手をブチのめしての完勝なんてシーンを
 見たかったデ。けどシェーンの奮闘もあり、なかなかの熱戦でしたワ。
○場面は変わって...
  トミー・ドリーマーがリングに上がり、自身の欠場やRVDら主力勢の不
 在、これまでのECW、これからのECWなどをテーマに訥々と心情を吐
 露。これに客席もちょっと湿りがちになったところで...。
AECW World Heavyweight Championship :
 Jerry Lynn vs. Danny Daniels
  ドリーマーに難癖を付けるためレフリーのダニー・ダニエルズがズカズカ
 とリングへ。で、ここにPPV『Anarchy Rulz 2000』でジャスティン・クレディ
 ヴルを破って世界王座に就いたばかりのジェリー・リンまで登場。これが
 突然の世界王座戦へと発展し、当然リンが十八番の変形墓石式パイル
 にてダニエルズを轟沈させますんや。リン、今夜は楽なお仕事でしたな。
BSimon Diamond (w/Lou.E.Dangerously & Chris Chetti)
 vs. Nova
  若い頃のジェリー・ローラーを彷彿させる、ギトギトと脂っこい笑顔がプ
 リティなサイモン・ダイアモンド、笑顔以上の脂っこいファイト振りでノヴァ
 を翻弄ですワ。ルー・Eやチェッティの介入は勿論のお約束で、最後はA
 でリンに負けたばかりのダニエルズを正規レフリー失神スポットの中に、
 疾風登場させて光速カウントで脂っこく己の勝利を演出。ウーン、胸焼け
 しそうですな。誰か胃薬を持って来てくれまへんか(苦笑)。
CKid Kash vs.
 EZ Money (w/Chris Hamrick & Julio Dinero)
  PPV『Anarchy Rulz 2000』でも組まれていたカードですが、これがPPV
 での一戦に負けない仕上がり具合に。介入者2人もまとめて2ステップ式
 の場外ダイヴで吹っ飛ばしたキャッシュ、カンパーナを披露したマネーと、
 ここまではPPV『Anarchy Rulz 2000』と同内容なんやけど、マネーがコソ
 コソと取り出した(RF-VIDEOの撮影者には堂々と誇示、お茶目や)チェ
 ーンを拳に巻いてキャッシュの顔面にパンチを見舞い、キャッシュが流血
 ジョヴを行った辺りから試合はフル・スロットル状態へ突入。過度のセコ
 ンド陣の介入⇒しつこいまでのマネーのフォール⇒もうダメかと思わせな
 がらも、マネーからのフォールを拒否し続けるキャッシュ⇒客席大盛り上
 がりの中にキャッシュがついに逆転勝利。ウーン、ここまでとことん客席
 を煽りまくり、最後にベビー側が勝ったら、そらお客さんも大満足するデ。
 文章化するとワシの筆力のなさもあって上手く伝わらないけど、この古典
 的な展開をキチンと消化した両者(および助演賞もののセコンド陣)には
 感謝感謝やね。しかしこれだけ客席が沸いてくれたら、演者冥利に尽き
 るやろし、実際試合をやっていて本人達も楽しいやろな。羨ましいワ。 
○さぁ、ネタ振りの時間です(A)
  キャッシュの勝利がお気に召さないマネーらが集団でキャッシュをボコ
 ボコにしていると、右膝に大きなギプスを装着したスパイク・ダッドリーが
 キャッシュ救出のために我が身も省みずに緊急出陣。マネーらを追い払
 い、内輪で一番弱いと目されるクリス・ハムリックに一騎討ちを提案や。
DMikey Whipwreck & Yoshihiro Tajiri (w/Sinister Minister)
 vs. ChristianYork & Joey Matthews
  試合前、挨拶代わり(勿論対戦相手やなしに、お客さんにやデ)の緑の
 毒霧を吹き上げたタジリ。これだけでもう客席はタジリの『怪しの世界』
 易々と引き込まれてしまいますんや。こうなればしめたもの、奮闘するヨ
 ーク&マシューズをリードし、リングの上はタジリの独壇場に...。
ESteve Corino (w/Jack Victory & Dawn Marie)
 vs. CW Anderson
  これまたPPV『Anarchy Rulz 2000』のリ・マッチ。ダスティ・ローデスから
 奪い取ったバイオニック・エルボーを使うコリーノと、アーン・アンダーソン
 を思わせるスパイン・バスターの使い手CWの激突は、コリーノが提唱す
 る『オールド・スクール』そのものの素晴らしき内容。ここに小ネタとして、
 レフリーの失神スポットや、またもやのダニー・ダニエルズの介入、そして
 ダニエルズによる強姦すれすれのマリー嬢とのキャット・ファイトなどが絶
 妙のタイミングで挿入されるんやから堪りませんワ。最後はコリーノの勝
 利で幕となったけど、これとCが本日のベスト・マッチやね。
○さぁ、ネタ振りの時間です(B)
  約2週間後に迫ったPPV『November To Remember 2000』での世界王
 座返り咲きを狙うジャスティンが、対抗馬の一角にあるコリーノを少しでも
 痛め付けておこうと思ったか、突然無法乱入を決行。ここに“路上の王”こ
 とニュー・ジャック親分が駆け付け、切れ味鋭そうな鎌を片手にジャスティ
 ンにジワリと迫りますんや。けど今度はライノが現れ、実に豪快なゴアをニ
 ュー・ジャック親分に放つ事によって、惨殺寸前の危機にあったジャスティ
 ンを救出。で、珍しくマイクを握ったニュー・ジャック親分、コリーノに共闘を
 申し入れてジャスティン&ライノとのタッグ戦をアピールや。あ、ジャスティ
 ン一派によって額を割られたニュー・ジャック親分の大流血具合は尋常で
 はなかったでっせ。
FDanny Doring & Roadkill
 vs. Oz & Chris Kruger (w/John Phoenix)
  事実上3対2のハンディ戦なんやけど、駆け出し3選手の持てる力を全
 て結集してもドーイング&キルには皆目歯が立たず。けど、ドーイング&
 キルがフィニッシュに使った合体技、タイミングの外れた失敗ムーヴでし
 たな。秒殺試合もエエけど、それならフィニッシュだけはキチンと決めんと
 アカンでしょ。控え室に戻ったら、2人で猛反省しなさいや
GSpike Dudley vs. Chris Hamrick
  ネタ振り(A)により決まった試合。まずはスパイクの負傷中の右膝をか
 らかうため、ハムリックが悪くもない自身の右膝に包帯を巻いて、大袈裟
 に足を引き摺りながらリング・イン。で、ここまで馬鹿にされてはスパイク
 も黙っておれず、得意の(これしか出来ない?)アシッド・ドロップにてハ
 ムリックを一蹴や。ま、人気者スパイクに無理はさせられんし、反面スパ
 イクが体調万全でもロング・マッチを乗り切る腕はないし、これ位がエエ
 塩梅なんでしょうな。あ、試合後にはマネー&ディネロ、キャッシュ、ドー
 イング&キルの順で乱入スポットもありましたワ。  
HBalls Mahoney & Chilly Willy
 vs. Prodigy & Muskateer (w/Prodigette)
  スペインの闘牛士みたいなコスチュームで決めている“Muskateer”(←
 何て発音するのやろ)、ワシは初めて試合をするところを見たのですが、
 下手なのか、はたまた下手な真似が上手いのか、どうにもこうにも読め
 ない奴でした(けどワシのタイプではあるんや、これが困った事に)
 試合はマホーニーのパイプ椅子をモロに頭部に受けた“天才児”プロディ
 ジーが呆気なく昇天し、“Muskateer”一本に狙いを絞ったマホーニー&
 チリーが合体技を繰り出しての大楽勝。けど、この試合の見所はここから
 なんでっせ。なんとマホーニー&チリー、“天才児”側のセコンドに付いて
 いたプロディゲッティ(←現在はRiptideって名前で女子団体G.L.O.R.Y.に
 て活動)を無理やりリングに上げ、問答無用の火炎テーブル葬!!!
 しかしレスラーとは言え女性相手にやる方もやる方やし、これを受ける方
 も受ける方やね。ワシ、最初は寸でのところで誰かが止めに入るものや
 と甘く考えていたので、プロディゲッティがこのスポットを受け切ったのを
 見てホンマにビックリいたしました。でも無茶はアカンよ、無茶は。
INew Jack & Steve Corino
 vs. Justin Credible (w/Francine) & Rhino
  ネタ振り(B)により決まった試合。ここでの注目は、ニュー・ジャック親
 分との絡みを心底嫌がっているフランシーン嬢の様子やろか。黒の帽子
 と白のタンクトップで決め、例によってオッパイがタンクトップを突き破りそ
 うで勃起ものなんですが、本人はそれどころやないみたいや(苦笑)。
 さてそこまでフランシーン嬢に嫌われた親分、そんなに嫌わなくてもエエ
 やないかとヘソを曲げたか、ジャスティンの額を鎌で切り裂き、フォークで
 突き刺し、場内ところ狭しと引き摺り回して鬱憤晴らし。またジャスティン
 の恐怖で凍り付く表情作り(いや、マジで怖かった?)もグッド・ワーク。
 加えて何時もなら自信満々で絶妙の試合介入を行うフランシーン嬢が、
 ヘッピリ腰で嫌々リングに上がる姿の滑稽な事。いやー、これまた貴重
 な映像で嬉しい限りや。あ、試合はライノに土が付いて幕となったのやけ
 ど、例によって例のごとく負けチームが試合決着後にいきなり強くなって、
 勝ちチームに対してやりたい放題の狼藉。それ、試合中にやっとけよっ
 て突っ込みもあろうかと想像いたしますが、これもやはりネタの一部。
 最後の最後に大看板のサンドマンが堂々のお出ましでっせ。いやはやE
 CW一座のミシガン州バトル・クリーク公演、詰め掛けたお客さんは皆さ
 んそれぞれ大満足で帰路につかれた事と思います。  

【追記】
  ドリーマーによる挨拶にもある様に、RVDら主力選手がゴソッと抜けた
 興行でしたが、CやEのように試合内容でお客さんを納得させたり、H
 での女性レスラーへの火炎テーブル葬があったり、普段は試合を組まれ
 る事の少ない泡沫キャラにスポットを当ててみたりと、工夫と努力で難局
 を乗り切ったECW。こんな映像が手軽に見れるのやからまだまだ『RF-
 VIDEO』との腐れ縁は続きそうですワ。ただし動きの早い場面で散見され
 るデジタル映像特有のブロック・ノイズと、ブツ切りの編集だけは何とかし
 て欲しいな。値段が上がってもエエので、ビット・レートを上げてDVD−R
 2枚組で映像収録し、キチンとカード表記なども挿入すれば商品としての
 グレードは格段にアップするのになァ。ま、もともと海賊商売からスタート
 した『RF-VIDEO』なので、そこまで消費者を意識していないんやろけど。


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